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2015.08.25
お知らせ「理事長の独り言 第3号」を掲載しました

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【第3号】「こうのとり」が運ぶもの

 

                                                             平成27年8月25日

 

19日午後8時50分、種子島宇宙センターから、H-IIB5号機の打ち上げが成功してとても良かった。積み荷のHTV5号機「こうのとり」は約15分後に無事に分離された。これでH-IIAとH-IIBの打ち上げ合計27回連続成功になる。筆者は2003年11月のH-IIA6号機の打ち上げ失敗に関わり、事故原因究明と再発防止策の策定に忙殺された経験があるだけに、その後の連続成功をことのほか喜んでいる。日本のロケット技術の信頼性が格段に向上したことは素晴らしい。ロケットの打ち上げにあたり、JSFでは記録写真の撮影や打ち上げ放送の中継業務を請け負っており、一端を担えていることも感慨深い。

 

「こうのとり」は、地上と国際宇宙ステーション(ISS)の間で、いわば無人で荷物を運ぶコンテナ・トラックのような役割を果たす。規模は直径約4.4m、長さ約10mだ。荷物の中味はISSで宇宙飛行士が生活し、活動するための水、食料、酸素、そして各種の実験装置などだ。今回の「こうのとり」5号機が運んだ主な実験装置は、日本の実験棟「きぼう」で利用される。中味は、小動物実験装置、静電浮遊炉、高エネルギー電子・ガンマ線観測装置などだ。これらは、マウスを使った宇宙での生物影響の研究、地上では作れない新機能材料の実現、宇宙線の起源や暗黒物質の正体の解明などに使われる。2基の超小型衛星をISSから放出することも予定されている。ISSが良い評価を得られるか否かは、ISSの無重力環境での様々な実験研究の成果に大いに影響を受ける。油井宇宙飛行士は先月ISSに着いたばかりだが、多くの実験を担当する予定なので頑張ってほしい。いくつかの実験については、JSFでも支援を行うことになっている。

 

ISS向けの輸送機は今「こうのとり」のほかには、米のシグナスとドラゴン、ロシアのプログレスMがある。この中で「こうのとり」はISSへの輸送能力が6トンあり、これは他の3つの輸送機に比べて約2倍から約3倍の能力に相当する。また、ハッチサイズが一番大きいので大型物資の輸送もできる。そのため、ISS計画での「こうのとり」の重要度が増しているようだ。日本の貢献が評価を受けているのは嬉しいことである。

 

「こうのとり」は、自らISSに近づいて行き、24日に無事ISSにドッキングした。その際、油井宇宙飛行士がロボットアームで「こうのとり」を捕まえた。“日本勢”が大活躍しているのは誇らしい!このドッキング方式は日本が世界で初めて実現し、新たなISSスタンダードになっていると聞く。実は1997年11月に技術試験衛星VII型(ETS-VII)という衛星が打ち上げられた。「おりひめ」、「ひこぼし」の愛称の2機の衛星が一体となったもので、宇宙でこの2つの衛星は、自動操縦で分離や接近・ドッキングを行うランデブー・ドッキング飛行をした。この技術が、「こうのとり」がISSに近づくために活用されている。

 

一つの研究開発成果が次の応用発展をもたらし、新たな目的を達成するということは非常に重要だ。「こうのとり」はISS計画に連動して、9号機までの打ち上げが予定されている。問題はその後の「こうのとり」あるいはその技術の活用をどうするかだ。JAXAなど関係者が検討中と聞く。基本は物資の“輸送”を担うということだろう。そうすると、宇宙に何かを運び、それで何を成し遂げるのかということになる。費用対効果は重要だが、成し遂げる目的が分かりやすく、“なるほど”と国民が納得できるようなものであってほしい。

 

『こうのとり』は赤ちゃんを運び、家庭に幸せを運んでくる象徴だ。「こうのとり」も運ぶものを選んで、遠い将来に渡り日本と世界の宇宙開発利用の発展に貢献してもらいたい。

 

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