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29年度開催結果


2017年 作文の部
グランプリ 【小学生部門】
文部科学大臣賞

『月でみどりを育てたい』
東京学芸大学付属小金井小学校 3年生 栗田 知征
 
 ぼくは夜にながめる月が好きです。毎日少しずつ形は変わるし、まん丸の満月を見るといつもワクワクします。とくに去年はスーパームーンだったので、いつもより大きく黄金色にかがやく満月はとても迫力があって、ながめていると、ふわっと月に吸い込まれてしまうような気がしました。しかし、アポロ号が月面に着陸した時の写真やえい星写真で本当の月面の様子を見た時は、とてもおどろきました。なぜなら、月面は一面灰色の岩石と砂でおおわれていて、水も空気もなく生き物も生息していない、まるで死の世界のようだったからです。ぼくがいつもながめている月からは想ぞう出来ない、全くちがう姿がそこにありました。そしてその時、ぼくは、月に「みどり」があったら良いのになぁと思ったのです。
 ぼくが考える、みどりを育てるために必要なものは、五つあります。水・空気・光・土そして、たねや苗木です。月でみどりを育てるためには、この五つを月に用意しなければなりません。全部地球から運べたらかん単ですが、何十回も地球と月を往復するゆ送ひ用を考えたら、とても無理です。たねや小さな苗木は最初だけ地球から運んで、あとは月で栽培します。あとの水や空気・光・土は、なるべく月にあるものや月のかんきょうを活用して用意します。また、月でみどりを育てるために大切なこととして、この五つのものを月のきびしいかんきょうから守るためのドームの建設も不可欠です。
 月で用意する水・空気・光・土の中で、ぼくは一番調達するのが大変なのは水だと思います。水は地球には沢山あるので、地球から運ぶことも出来ますが、長い間月で生活することを考えると、月で調達すること、そしてその水をむだにしない、リサイクルシステムが必要です。ぼくは月に存在する岩石や砂から科学技術を使って水を生み出したり、みどりを育てるための土を作ることができたら良いなと思っています。水のリサイクルシステムは、今、宇宙ステーションで行われている方法を活用したいと考えています。また、水を月で生み出すことができれば、一ヶ月の内の半分が太陽の光で二百度まで上がる熱いかんきょうになる月だから、太陽光パネルを設置して水を電気分解して空気を発生させることが出来るし、人工の光を作ることもできます。これも宇宙ステーションの技術です。このような方法で、ぼくは月でみどりを育てたいと思っています。月で育てたみどりは、食べ物やみんなを和ませる場所として、月を訪れる世界中の人に提供します。
 月で「みどり」を育てることは、宇宙を旅する人や、月で生活する人々の食生活を豊かにします。いつも真空パックされた料理を吸って食べるより、月で取れた新鮮な野菜や果物を、食感を楽しみながら食べることができます。月で「地産地消」を行います。いつか月でしか食べることのできない、幻の野菜や果物ができるかもしれません。また、月という何もないきびしいかんきょうで育てる技術は、どんどん自然がはかいされている地球を助ける技術として利用できるはずです。そして、地球と似たみどりのあるかんきょうは、訪れた人々の心をやさしく和ませてくれると思います。月に限らず、宇宙での生活が長くなればなるほど、地球のすばらしさ、豊かな自然の大切さを感じると思うからです。ぼくはよく家族で山登りをしますが、山で鳥や虫の鳴き声、川の流れる音を聞くのが大好きです。山に咲く花を見ると、え顔になります。月で「みどり」を育てることで、月を訪れた人々が、自然の大切さを考えてくれるきっかけになれば、うれしいです。
 四十八年前に人類が初めて月に到着して以来、月に関する研究や計画は進み、少しずつ月のことが分かるようになりました。今年、月を目指すレースが始まり、いつか、宇宙ひ行士だけでなく、仕事のために月で生活する人たち、そして宇宙の他の場所に行くための中けい地として月を訪れる人たちなど、多くの人たちが月にたい在する時代が来ると思います。その時、月の「みどり」が、こわされ続けている地球を助ける存在となることが、ぼくの願いです。宇宙も月も地球も、みんなのものです。世界の人たちと協力しなければ、何の問題も解決しません。地球の未来のために、ぼくは世界の仲間と月で「みどり」を育てます。

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