「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

28年度開催結果


2016年 作文の部
<小学生部門>入賞作品
宇宙航空研究開発機構理事長賞

「星を見上げて見つめる未来」
開智小学校6年生 稲村 柚里香
 
 藍色の空に一番星がぽつり。またぽつり。
 またたく間に、満天の星空となった。
 ここは、仙台市天文台の近くのコンビニエンスストア。夏になると、父とよくクワガタムシを探しに来る場所だ。
 あっ、はくちょう座だ。白く光っているのは、一等星のデネブ。それから、こと座のベガ。夏の大三角形の最後の頂点は、アルタイル。少しはなれてさそり座。神話では、さそりがオリオンを殺したので、さそり座が出てくると、オリオン座は逃げてかくれるという。
 初めて仙台市天文台に行ったのは、錦ヶ丘住民への開放日だった。でも、幼すぎて、あまり覚えていない。小学三年生で校外学習に行ったときは、展示室で模型を動かして楽しんだ記憶がある。大きくなって、クイズに参加したり、プラネタリウムで星座の解説を聞いたりするうちに、真けんに宇宙について考えるようになった。
 あるとき、私は学芸員さんに聞いてみた。
「宇宙人は、いるんですか。」
「もしかしたら、いるかもしれませんよ。」
 えっ、おどろいた。
「地球以外にも、生物は存在するかもしれませんね。」
 その一言で、星を見る目が変わった。
 あの星の近くの惑星に私たちのような人間が住んでいるのかもしれない。
 そう思うと、自分があの遠い星ともどこかでつながっているような気がして嬉しくなった。
 去年の夏には、つくばサイエンスキャンプに参加した。つくば宇宙センターに行って、宇宙ステーション補給船「こうのとり」を見学したり、普段は入れない、宇宙飛行士の訓練場を見たりした。夜には、宿の屋上で星空観察をした。宿にJAXAの人が来て、大きい天体望遠鏡で星を見せてくれた。
 つくば山から見える星空は、プラネタリウムの中にいるような見わたす限りの星だった。望遠鏡の中をのぞくと、ベガや土星の輪が見えた。いつもは肉眼で見ていたので、遠くにぼやけて見えるというくらいだったが、望遠鏡では星を身近に感じ、そこに本当に星や惑星が存在するのだと実感した。
 その後、科学雑誌「ニュートン」で、「パラレル宇宙論」という理論を知った。今、どこかの惑星で私とそっくりな人物が作文を書いているのかもしれないという理論だ。
 本当のところはよく分からないが、私が宇宙の一員であることはまちがいない。他の惑星から見ると、太陽系の一部として、地球は輝いて見える。私も輝く光の一部なのだ。
 祖父が危とくになった夜、車の中で待っていた私は泣きじゃくっていた。ふと上を見上げると、星が夜空に輝いていた。大学病院の明かりが点々とついているのも、星のように夜空ににじんでいた。
 その冬は、星空が美しかった。錦ヶ丘の祖父の家を出て見上げる度に、星が雪のように降りそそいでいた。まるで宝石をちりばめたように、星空が無限に続いているのだった。
 息をのむような星空を、悲しいときに見上げると、くっきり心に刻まれる。悲しみが美しさをきわだたせるのか、美しさが悲しみによりそっているのかは、分からない。ただ、祖父の思い出はいつも、星空とともによみがえり、美しく輝く。
 忘れられない二〇一一年三月十一日、たくさんの人が星になった。雪がちらつく日だったのに、なぜか星が輝いていたことを、東北の人たちはみんな覚えている。私も、祖父がどこかの星となって、私や家族のことを、静かに見守ってくれている気がする。
  私たちは、星に命を感じる。星の光は、私の心に光を照らしてくれる。だから星空を見ると、かべにつき当たったときも、心が落ち着いて、おだやかな気持ちになるのだと思う。
 星空を見上げて、私は考える。
 宇宙人は、本当にいるのだろうか。
 果たして、人類は宇宙に命のこん跡を見つけることができるのだろうか。
 私の夢の一つは、JAXAに勤めることだ。近い将来、世界中で過去や現在の生命探査が行われると言われている。私も、未知の生命体の探査に関われたらいいなと思う。
 もし、宇宙人に出会ったら、地球人は何をするだろう。
 私なら、映画「スター・ウォーズ6」のエンディングのように銀河系のお祭りを計画したい。オリンピックを企画してもいい。主人公が宇宙人と出会う楽しい小説も書いてみたい。
 空に輝くたくさんの命を感じることは、私に夢を与えてくれる。この四月、私は埼玉県に引っ越した。埼玉から、錦ヶ丘のなつかしい星空を思い浮かべながら、私は今夜も夢をふくらませている。

もどる