「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

28年度開催結果


2016年 作文の部
<小学生部門>入賞作品
文部科学大臣賞
メディアパートナー賞 朝日新聞デジタル賞

「私と地球」
千葉市立土気南小学校6年 飯田 ちさ
 
 私はぷかぷかと宇宙を漂っている。今はただの宇宙を漂うゴミ。いわゆるスペースデブリとなった。そう、私はほんの少し前までは各国が注目する有名な人工衛星だった。私は毎日のように地球の写真を送り続けていた。先日、新しい機能をもった代わりの衛生が打ち上げられ、私はついに役目を終えた。そして今、私はこの青く美しい地球の周りを回っている。
 私は毎日地球を眺める。地球は水色に輝く宝石のようなきれいな星。その周りをグルグルと回るだけでもとても幸せな気持ちになった。そういえば前、私を造ってくれた人がこんなこと言っていたな…。
「いいかい君はみんなのために地球を見守ってくれよ。私たちと離れることはさみしいかもしれないが大丈夫。地球の周りにいる限り、君は僕の大事な家族だ。空の星と同じように空を見るたび君のことをいつも思っているからね。」
 ああ、私を造った人は元気だろうか?今でも私のことを家族だと思ってくれているだろうか?私は宇宙に来てから地球を、地球にいる全てのものを愛しい家族だと思うようになった。この思いがあるからこそ宇宙から見える地球をとても心配になることがある。
 地球だと夜の時間に大きな光が見えた。何度も何度も光ったり消えたりを繰り返す。次の日も心配で見てみると昨日まであったかぼそい光が今日は見あたらなかった。あの場所では何があったのだろう。もしかしたら、大きな光の下ではたくさん泣いているのかもしれない。
 また、こんなことも感じる。真っ青な海と真っ白な雲。その中を生命の力を感じさせる緑。その緑が少しずつ少しずつ少なくなっている。その代わりに茶色の大地が増えてきた。緑、青、白、茶色がトパーズのように合わさってきれいだったのに。
 空から見れば多くの問題に気が付くことがある。だが、私は眺めることしかできない…。私はスペースデブリだから何もできない。空を見上げて私のことを思っていてくれる人がいるのに。せめて何か一つできること。一つでいいから私の気持ちを届けてほしい。そう思いながら月日は流れていく。
 そんな日々を送る私に光が差した。私のようなスペースデブリ達から教えてもらった。その物たちは、衛星としての役目を終了すると大気圏に突入して地球の空気の一つになるのだという。そんなものがあるのかと思い、私もやりたいと思った。宇宙からでなく地球の一つになって地球から私のことを思っていてくれる人の力になりたかった。そして私はたくさんのスペースデブリを集め、みんなで一緒に旅立った。私たちのことを気付いてもらうため夜を目がけて。
「さあ、帰ろう。私たちの故郷。地球へ。」
 スペースデブリが一斉に地球に戻っていった。まるで生まれた川に戻る鮭のようだ。私たちが地球に戻るとき光となった。外から見たら流れ星というかもしれない。小さな光、大きな光。大小さまざまな光は夜空を彩る。夜の地球を明るく照らした。あそこでは戦争であろうか?激しい爆発を起こしていたが、この空の光に驚き手を止めた。しばらくの間銃声も爆発音、人が悲しむ声も聞こえなかった。ただ、人間も動物たちも全てこの光り輝く夜空を静かに見上げていた。
 今私は他のスペースデブリと共に地球の空気の一つになった。もう私たちは目に見える存在ではないが、宇宙と地球の狭間にある大気となって地球や宇宙を見守る。気付いてもらうことはもう無いが、この地球を見ているだけで私はとても幸せなのだ。

もどる