「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

27年度開催結果


2015年 作文の部
<中学生部門>入賞作品
リモート・センシング技術センター理事長賞
メディアパートナー賞 朝日新聞デジタル賞

「新たなる挑戦を目指して」
宮城県 宮城県仙台二華中学校1年 井崎 英乃
 
 夏休みが始まる数日前に、とある実験教室へ申し込みをし、たまたま抽選に当選した私。実験当日、会場となっていた東北大学青葉山キャンパスでは、オープンキャンパスが行われており、せっかくだからとスタンプラリーに参加をした。スタンプを集め、キャンパスのあちこちをさ迷っている途中、偶然一緒にエレベーターに乗ったお兄さんから、
「四階にも来てね。」
と声をかけられ、たまたま行った教室で出会ったもの、それが「テトリス」だった。
 その時の私は、ローバー、「テトリス」や「ムーンレイカー」の話を聞いても、すごい研究だなと思ったくらいで、残りひとつとなったスタンプの場所の方が、気になって仕方がなかった。しかし、隣で目をキラキラさせながら話を聞く妹を置いて次の場所へも移動できず、ただ何となく話を聞いてその日は終わった。あの日の「テトリス」で思い出せることと言えば、研究室の砂の入った箱の中で、リモートコントローラーによって操作され、充電切れで止まった姿くらいである。
 ところが、偶然とは続くもので、その数日後にまた、私は「テトリス」に再会する。
 その時改めて、吉田教授からHAKUTOによって開発された「テトリス」と「ムーンレイカー」のミッションを聞き、とても感動した。
 さらには、実際に「テトリス」を自分の手で操作させてもらい、今では「テトリス」に夢中である。
 今、宇宙のなぞにせまっているもののひとつ。それがHAKUTOのローバーだと私は思う。
 私たち日本人はずっと昔から、月が大好きだった。はるか昔の歌にも、たくさん月が登場している。私たちの祖先は、常に月を見上げ、嬉しいことや悲しいことを月に語りかけてきたのだろう。
 はるか遠くの宇宙へ向けて、調査を進める活動が行われる中、今さら月? と思われるかもしれない。十六世紀の天体望遠鏡の発明からずっと、月については調査が続けられ、アポロ計画によって人間が直接月へ行き、表面の様子を詳しく観察し、月の石を持ち帰っている。その後の数多くの無人探査機が、月を調べており、JAXAが打ち上げた「かぐや」がまだ記憶に新しいことと思う。
 HAKUTOの「テトリス」も同じか? そんなことはない。同じ旅を二度繰り返すことができないように、「テトリス」の調査だって、これまで行ってきた調査とは違うものになるはずだ。
 私は、「テトリス」を抱かせてもらった。私の手で抱けるほど小さい機械である。そんな小さな「テトリス」が、昼の表面温度が百度以上、夜はマイナス百五十度以下という厳しい温度環境の中、クレーターや岩石を避けながら月面を移動し、月面の縦孔を探査するのである。
 そしてローバーは、一度地球を離れてしまったら、誰も助けることができない。研究室の箱の中で止まってしまった「テトリス」の姿が頭をよぎる。
 もし、月の中に大きな空洞が見つかったら、その場所は月の表面とは違い、温度差が少なく、放射線も防げることが予想され、近い将来人間が月に住むことも期待できるのだ。
 今、そんな私たちの夢を背負ったローバーが、二〇一六年の打ち上げに向けて準備を続けている。
 こんな身近に、宇宙のなぞにせまる小さな存在がある偶然をうれしく思う。この夏に出会った偶然が、素晴らしい結果を持ち帰ることを期待しながら、「テトリス」の行方を見守り、応援し続けたいと思う。
 頑張れ、テトリス!

もどる