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27年度開催結果


2015年 作文の部
<中学生部門>入賞作品
宇宙航空研究開発機構理事長賞

「もうひとつの地球」
東京都 東京都立南多摩中等教育学校2年 星 桃子
 
 「目的地が見えたぞ!」
 その報告に、僕ら乗組員は歓声をあげた。地球を出てから今までずっと、広い宇宙を進んできた。やはり目的地が見えるというのは嬉しい。
 僕らの目的地は太陽系の外にある惑星だ。特に目立つ星ではない。しかし、僕らにとっては重要な星だった。その惑星からメッセージが届いたのだ。そのきっかけは、一九七七年に打ち上げられたボイジャー一号だ。
 ボイジャー一号は、一九七七年九月五日に打ち上げられたNASAの無人惑星探査機で、木星、土星とその衛星を観測した後、二〇一二年八月頃に太陽系を飛び出していった。
 同じ年の八月二〇日に打ち上げられたボイジャー二号は、木星や土星の他に天王星、海王星などの探査も行っている。
 その進路は違うが、二つの探査機には共通点がある。レコードが積まれていることだ。それもただのレコードではない。地球外の知的生命体に向けた、世界五十五ヵ国語でのあいさつや音楽などを搭載しているのだ。
 しかし、それから時は流れた。ボイジャーのことは忘れ去られており、まさか返信があるとは誰も思っていなかったのである。
 地球外生命体に出会ったのは、ボイジャー一号の方だった。メッセージといっても簡単なもので、ただその文明の場所が書いてあるだけだった。
 それでもその一文は、僕らを驚かせ興奮させるには充分すぎた。こうして、今僕らは光速で進む宇宙船の中にいるわけである。
「どんな星なんだ?」
 僕らは急いで窓に近づいた。その向こうに見えたのは、
「地球?」
 三人の声が揃い、船内に響いた。そう、そこに見えたのは紛れもなく、美しく青色に輝く水の星、地球だった。
 まったく同じにしか見えなかった。陸は緑に覆われ、海は青く輝く。海の中では何かきらきらと光るものが動いている。
 一体どういうことか。何とも言えない感覚に包まれながら僕らは地表に降り立った。
 何も言えずに僕らは歩きだした。するとすぐに、音が聞こえた。地球を出てからまったく聞かなかった音だ。都会の喧騒だった。
 この音に周りの皆も気づき、僕らは走りだした。とうとう、あのメッセージの送り主を見つけたのだ。
 僕らが見たのは、まさしく見慣れた地球の都市の姿だった。建物も車も、そしてその住人までもが僕らのしっているものによく似ていた。住人は人間と同じといっていいぐらいだ。ただ、衣服が違う。建物も、車も、同じ目的で作られたものだろう。しかし、そのデザインは地球にはないものだ。
 でも、どこかで見たことがある……。そう思って、気づいた。映画の中だ。ここは、映画に出てきた未来の地球にそっくりなのだ。
 今、目の前には大きな建物がそびえたっていた。一目でここの中心施設だとわかる。おかしな服を着た僕らを住人たちはけげんそうに見て通り過ぎていく。
「行ってみよう。あの中に。」
 誰かが言い、僕らはゆっくりと歩きだした。
 そこは、確かにこの町の中心部だった。僕らはすぐにこの街の長に会うことができた。
 話によると、この惑星は地球と全く同じ歴史をたどってきたようだ。違うのは、この星は今の地球より何世紀か進んだ文明を持っているということだ。僕らは地球の兄弟星に出会ったのだ。
 地球に向けてメッセージを返すことができたのも、その技術力があったからだ。
 こうして、メッセージの送信者を見つけ出した僕らは、地球に帰ったとき、あのメッセージが来たとき以上の熱狂で迎えられた。
 その後も兄弟星との交流は続いた。常にその技術を真似し、あるいは参考にしながら僕らの地球の技術は進んでいる。
 宇宙開発も始まり、月にも人が住めるようになった。宇宙のなぞも、いずれ解明されていくだろう。
 今僕は新しい宇宙船の開発をしている。教えてもらった技術に地球なりの改良を加え、もっと速く、快適な宇宙船にすることが目標だ。
 今回の旅で、未来の地球を見つけ出すことができた。この宇宙船を完成させたら、また宇宙へ旅立ちたいと思う。そこにはどんな星があるのだろう。どんな宇宙の神秘がまっているのだろう。楽しみだ。

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