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27年度開催結果


2015年 作文の部
<小学生部門>入賞作品
日本科学未来館館長賞

「エレベーターで七十二年の宇宙旅行」
埼玉県 西武学園文理小学校6年 木村 凪登
 
 ぼくの名前は横山誠で、理科がきらいだ。理科を習って良いことなんてあると思う? ただ星のことを勉強したり、水と氷のちがいを調べたり、自分のクローンを作ったり……ちょっと待って、きみは人間のクローンを作ったことがないの? 二〇五〇年の理科の授業では当たり前だよ。えっ、君は二〇一五年から来たの?
 ま、こんなことは後にして、ある月曜日の朝ぼくは学校の朝会に行った。ぼくは、友達の木下君と田中君の間に座った。まず、理科室の先生、鈴木先生がステージに上がり、「今年の修学旅行の行き先を発表します!」と言った。「来たよ。」とぼくは木下君にささやいた。
「今年の行き先は……宇宙です!」なっなんだって?「どうやって宇宙に行くんですか?」と田中君が聞いた。「宇宙エレベータを使います。」おー。ぼくは一回でも乗ってみたいと思ってたが、修学旅行で乗れるとは!「すごいじゃん!」と木下君にささやいた。
 ぼく達は一ヶ月後、宇宙エレベーターの出発駅がある島に旅立った。五時間位でエレベーターの出発駅に着いた。宇宙エレベーターには、小さな食堂とトイレ、ベッドがあった。
 エレベータは二時間もしないうちに、上空百キロメートルまで上がった。しかし、四時間後にガクっというゆれとともに、エレベーターが回り始めた。「なんだ? なんだ?」とみんながさけび始めた。ぼくは、外をのぞいてみた。なんとエレベーターのひもが切れていた! 宇宙エレベータはどんどん地球からはなれていった。みんなはとても不安そうだった。「助けて! ママー! キャー!」いや、ほとんどの人が不安そうだった。鈴木先生は、目をかがやせていた。「太陽系の惑星を見られるぞ!」そして、おどりだした!
 四週間後、宇宙エレベーターは火星を通り過ぎた。火星はとても赤くて、ごつごつしていた。鈴木先生は、「ツイッターにのせるぞ!」と言って、火星をカメラでとった。
 三ヶ月後、木星が目の前に現れた。木星に近づいていくにつれて、台風みたいな物が見えてきた。「あれは、大赤斑です。」と鈴木先生が言った。ぼくには赤飯に見えないけど?
 その後、ぼくらは宇宙旅行の最大の危機に直面してしまった。宇宙エレベーターのエアコンがこわれてしまったのだ! ここは太陽からかなりはなれているので、室温も上がらない。そんなある日、エレベーターは土星のかげに入ってしまった。温度計は、連日氷点下七十度位を指し、部屋に置いてあったジュースも水も氷になってしまった。食べ物もカチンコチンになってしまった。どうしようもない。どうしよう、寒い、だれか、おーい……
 ぼくは、ピーピーという機械の音で目が覚めた。ぼくは、病院のベッドにねていた。そこに、白毛のおじさんが入ってきた。彼は白衣を着ていて、とう明なタブレットを持っていた。「ああっ、起きましたね。こんにちは、私は主医師の石井です。」「あの……」とぼくはたずねた。「今は何日ですか。」「ああ、二一二三年の九月二十三日木曜日です。」なっなんだって?「これ……ドッキリテレビとかじゃないんですか?」「いいえ、あなたは宇宙エレベーターの中の低い気温で冬眠をしたんだよ。ちょうど有人宇宙船『オールト二十号』が通りかかった時にきみが乗っていた宇宙エレベーターを発見したんだよ。」「それで、ぼくの友達と先生は……」「死んでしまったよ。きみは冬眠している間、日光に当たっていたので体温が少しあったのだが、他の人は凍死したよ。」とても悲しかった。病室の中はちんもくの時間が流れた。しかし、ぼくは大きな疑問をかかえていた。「なぜぼくは二一二三年いるんですか?」「冬眠をした期間だけ、ほとんど年をとらないんだ。本当はきみは八十二才だけど、きみはまだ十才ってことさ。ああそういえば世界で初めて冬眠した人として、千件以上の取材の予約が……」たおれそうだ!
 というわけで、ぼくの七十二年間の宇宙旅行は幕を閉じた。ひょっとしたら、二〇一五年の理科の授業で人間のクローンを作る機会があるかも。ひょっとしたら、鈴木先生がとった火星の写真は、「オールト二十号」の人達によってツイッターに投稿されたかも。ひょっとしたら、木星に赤飯があると分かるかも。ひょっとしたら、ぼくはテレビ番組に出て有名になるかも。ひょっとしたら、ぼくは、二〇五〇年にもどれるかも。ひょっとしたら、ぼくは理科や宇宙のことが好きになるかも。ひょっとしたら、ぼくはまた宇宙エレベーターに乗るかも。ひょっとしたら、ぼくが天国に行ったら、木下君達に会えるかも。ひょっとしたら、宇宙エレベーターの会社から賠償金がでるかも。ひょっとしたら、ぼくはまた冬眠をして二二〇〇年代、いや三〇〇〇年代で起きるかも。
 でも、そう簡単にはいかないな!

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