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26年度開催結果


2014年 作文の部<中学生部門>入賞作品
国立天文台長賞

「地球を守る為に」
大阪府 茨木市立平田中学校1年  坪内 優奈
 
 私の趣味は宇宙探検。もちろん実際にではない。私には「Google Earth」という強い味方がいる。これで私は寝る前のひととき、ベッドに横になりながら天体観測や宇宙探検の旅に出かける。
「パソコンの前で宇宙飛行士気分になれるなんて最高!! さぁ、今日はどこに出かけようかな……。」
 ベッドにピョンと飛び乗り、パソコンの電源に手を伸ばした瞬間、パッと部屋の電気が消えた。というより何かとてつもなく大きな、そしてまっ暗な空間に落ちていく感じ。体にギュッと力が入って目を閉じた。しばらくして目を開けると……
「え? えっ? えぇ〜っ?!」
 私の目の前には巨大な宇宙空間が広がっていた。
「何か光が近づいてくる。」
 私がそれに近づいているのか、向こうが近づいて来るのかよくわからなかったけれど、それが「ベテルギウス」だということはすぐにわかった。昨日検索したばかりだったから。ベテルギウスはオリオン座の恒星で、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンと共に冬の大三角を形成している有名な星だ。そして地球周辺で超新星爆発を起こすであろう赤色巨星の一つとされている。
 ふいに頭の中で誰かの声がした。
「よく見ておくんだよ。」
「誰っ?」
 ふり返ったがそこに誰かがいるわけではなく声だけが私の頭の中に響いた。私は少し離れた所に赤く光り輝く大きな星を見つめた。
「あっ!!」
 その星は急速に小さくなり始めた。
「これが何を意味するかわかるかね?」
「超新星爆発……ですか?」
 確か地球上での観測でもここ十数年でベテルギウスは加速的に収縮しているという結果が出ている。しかも本体からはガスが放出されすでに球形を保てなくなっているという。
「これが地球滅亡へのカウントダウンの始まりだ!!」
 少し強めの声色に驚いたが、私も言葉を返した。
「ガンマ線バーストの直撃ですか? でもベテルギウスの自転軸は地球から二十度ずれていることが観測されて直撃する心配はないって天文学者の人達が……。」
 そこまで言うと言葉につまってしまった。私はもう目の前の星を見るどころではなくなっていた。地球滅亡という言葉が頭から離れない。けれど目の前の星はまるで早送りをしているかのようにどんどん姿を変えていっている。そしてそれは突然目を開けていられない程の強い光を放った。
「あぁ、爆発した……。」
 私は目を閉じた。でも目を閉じていてもこの先の状況は何となくわかる。日々、仮想の宇宙探検を続けていたのだから……。しばらく強い光を放ったベテルギウスは急速に減光し、やがて中性子星になるはず。地球滅亡なんてありえない。目を閉じていても辺りが暗くなったことを感じた私はそっと目を開けた。そこで私が目にしたものは予想とはかけ離れた事実だった。
「あぁっ!!」
 思わぬ光景に悲鳴を上げた。目の前には不気味なブラックホールが存在していたのだ。
「太陽の20倍の質量とされていたベテルギウスだが、実際には30倍近くの質量があった。爆発後ブラックホールが出来ても不思議はない。そしてこの後、太陽系の惑星の軌道は大きく乱れることになる……。」
 それを聞いた瞬間もう頭の中は真っ白になってしまった。軌道がずれ、地球が太陽の方向に向かえば灼熱地獄。太陽の外側に向かえば暗黒の世界が待っている。どちらにしても生物が絶滅するのは間違いない。この事実にこらえていたものが一気にふきだし、涙が溢れた。涙でかすんでいくブラックホール。するとそこに今度は私達の住む地球が見えてきた。
「あぁ、青くて……何て綺麗なの。この素晴らしい地球は絶対に守らなきゃ。」
 まだ謎の多いブラックホールを解明するのに時間は充分にある。その時、まるで急降下するように私の体は地球に吸い込まれていった。
 ガクン!! とすごい衝撃で目が覚めた。
「あれっ? 夢……か、な?」
「夢ではない。これは現実だ。今ならまだ間に合う。地球の未来を救ってくれ。」
 また例の声が頭の中に響いた。
 どんなに文明が発達しても、技術が向上しても決して世界中が平和だとは言えない今の世の中。人権や人命が軽視されるような事件が相次いで起きているこの現代社会に生きる私達は、これから全ての人々が一丸となって世界平和を願わなくてはならない。この素晴らしい地球を宇宙規模で大切にし、これから何百年、何千年と守り抜いていくために……。

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