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26年度開催結果


2014年 作文の部<中学生部門>入賞作品
文部科学大臣賞

「地球外生命の発見―今伝えたいこと―」
山形県 酒田市立東部中学校3年  土門 瞳
 
 「全システム準備完了。」
 僕は息を飲んだ。
 「メインエンジンスタート。」
 もうすぐだ。
 「SRB-A点火。リフトオフ!」
 体がおしつけられる。ものすごい音とともに高なる鼓動。今、僕は宇宙に旅立つのだ。
 僕の名前は「いのち。」二〇四〇年の夏、種子島宇宙センターから打ち上げられた人工衛星だ。僕は木星のガリレオ衛星エウロパに行き、地球外生命を発見するんだ。実はエウロパには氷の下に塩分を含む海があると言われている。他の衛星の潮汐作用によって変形し、内部に摩擦熱ができ、その熱で氷が融け、海ができたと言われているんだ。しかも、南極の地表から水蒸気が確認されていて、北極では酸素イオンも確認されているんだ。フィロ酸塩とよばれる鉱物も発見されている。微星物でもいそうだよね。地球でもありえない環境に生きる生物が発見されているから、地球以外にも生物がいたっておかしくないと僕は思うよ。
 僕はNASAとJAXAの共同ミッションを成功させるのが夢なんだ。そう、このミッションはNASAと合同。僕がエウロパで水蒸気を採取する。またはエウロパに穴を開け、氷の下の海の液体を採取する。氷の厚さもわかっていないから、どっちの方法で採取するかはまだ不明。エウロパに着いたときの僕の知能が試されるんだ。
 さあ、今僕は、地球の大気圏をぬけて宇宙を旅している。今から四十年ほど前に「イトカワ」に行った僕の先輩「はやぶさ」と同じイオンエンジンでぐんぐんスピードをあげるんだ。あっという間に僕の故郷、地球が小さくなっていく。僕の翼、太陽光パネルは常に太陽に向いている。太陽からエネルギーをもらうため。そして、僕の故郷の方向がいつでもわかるように。
 ただ今、火星付近に僕はいる。火星を見ていると、地球もいつかこんなふうになるのか、そんな思いが頭をよぎった。このまま地球温暖化が進み、生物が滅亡すると、火星のように荒れ地になってしまうと言われている。でも、僕は知っているんだ。「電気」による化石燃料がもうすぐ底をつき、どんどん温暖化が進む反面、新しい電力方法で化石燃料が底をつくまでの間に、様々な発電機械を設置し、エネルギー資源別発電量をいい方向へ変え、地球温暖化を防ごうとしていることを。だから、僕もエネルギーをむだにせずにエウロパに着き、地球に帰ったら地球の未来を一緒に考えたいと思う。
 「ピー。」
 ふと、僕の頭の中で音が鳴った。それはエウロパに近づいてきた証だ。火星を通り過ぎるとあともう少し。確実に僕は進んでいる。体の前は寒くて、後ろは暑くて苦しいけれど、夢を叶えるために僕は頑張るよ。
 ようやく今、僕の前にエウロパが見えてきた。ブレーキをかけて速度を落とす。僕は氷の厚さを測るためレーダーをエウロパに向けて放つ。すると、エウロパからレーダーが返ってきた。分析したところ、案の定、そう薄くはなかった。だから僕は水蒸気を採取する判断を出した。すると地球の管制官からの承認がきた。せっかくの僕の自慢のドリルは使わないことになったけれども、確実に水蒸気を採取して地球に届けようと思う。
 南極付近にやってきた。近くに木星や他の衛星が見える。僕は水蒸気の噴出現場へ向かう。そして特殊なカメラで噴出元を特定し、水蒸気を無事に採取することができたのだ。地球からも喜びの声が届いた。そして僕は地球を目指す。いよいよ帰るのだ、地球に。
 地球に向かっている途中、僕が製作されているときに言われた一言を思い出していた。
 「生命を発見してどうするんだ。お金のむだではないのか。」
 生命発見の証拠を持っている今、僕にはようやく、その答えがわかった。きっとそれは、大きな科学の一歩になるからだと。地球外生命が発見されれば宇宙がもっと身近になる。そしていろんなことがわかっていくと、地球の大切さや環境のあり方に気づくことができる。宇宙旅行も夢ではなくなる。宇宙を知ることは、僕の生みの親「人類」を知ることだ。僕が考えた僕なりの答えを、地球のみんなに伝えられるように僕は地球を目指す。夢を追う大切さも、これからの地球を創っていく少年少女に伝えなければならないと僕は思う。
 ああ、どんどん水の惑星「地球」が見えてきた。僕の体はなくなる運命だけど、この思いも生命発見の証と共に届けたい。届け、地球のみんなへ。

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