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25年度開催結果


2013年 作文の部<中学生部門>入賞作品
日本宇宙フォーラム理事長賞

「支え合う仕事、助け合う仲間」
鹿児島県 鹿児島修学館中学校2年  野中 光泰
 
 西暦二五一三年――宇宙開発が順調に進んだ結果、数多くの人工衛星が地球の周りを覆い、星空が見えにくくなっていた。
 「どれが星なのか分からないや。ススムたち宇宙科学者はよく考えてほしいなあ。」
 そうつぶやいたのは、キヨシだった。キヨシは、宇宙ゴミの掃除をする汚染管理者だ。
 ススムはキヨシの親友である。子どものころから、お互いの夢を語り合っていた。キヨシは、汚染管理のレスキュー隊員を目指していた。一方、ススムは宇宙科学者を目指していた。キヨシはススムにいつもこう言っていた。
 「星ばっかり眺めていても、世の中の役には立たないんじゃないか? ぼくみたいに、宇宙のごみを掃除するほうが役に立つんじゃないか?」
 ススムは、口をとがらせて言い返した。
 「ゴミの掃除はきりがないだろう。それよりも、宇宙開発を進めるほうが人類にとって意味があるさ。」
 お互いいつも仲良しだったが、将来の仕事の話だけは折り合わなかった。その後二人とも大人になり、それぞれの夢を実現し、キヨシは汚染管理のレスキュー隊員になり、ススムは宇宙科学者になった。
 キヨシは、故障した人工衛星を回収する仕事をしていた。宇宙空間に大きな破片が浮かんでいたらロボットアームを使ってつかみ取り、小さい破片だったら強力な電磁石で吸い付け、液体燃料が漏れ出ていたら巨大な掃除機で吸い取る。こういうシステムを作りだしたのは、すべてキヨシだ。キヨシは、自分の仕事に誇りをもっていた。
 一方のススムは、宇宙科学者になって宇宙エレベーターを開発した。これは地球と月をつなぐ直径十メートルの透明なチューブで、その中をゴンドラが行き来する。誰でも簡単に月に行けるようになった。ススムも、自分の仕事に誇りをもっていた。
 宇宙エレベーターを開発しおえたススムは、離れた人工衛星どうしを連携させてネットワークを作る仕事に進んだ。たとえば、離れたところにある赤外線探知衛星、大容量通信衛星、高感度撮影衛星を連携させて、ひとつの仕事をさせるのだ。
 ある日のこと、人類の危機が突然訪れた。軌道をはずれた人工衛星が宇宙エレベーターに衝突してしまったのだ。チューブやゴンドラの破片が宇宙空間に飛び散り、地球をとりまくほかの人工衛星に、次々に衝突し始めたのである。
 地球上の携帯電話、インターネット、テレビ、ラジオ、GPSなどの機能がどんどん停止していった。あちこちで破片が人工衛星に衝突するたびに火花があがった。地球を周回していた約十万機の人工衛星が、九万、八万、七万と減っていった。このまま減少すると人工衛星が全滅してしまい、地球の通信機能は完全にマヒしてしまう。
 そのとき地球の危機を救ったのが、汚染管理のレスキュー隊だった。キヨシたちは、猛烈な勢いで飛散した部品を回収していった。すると、少しずつ破片の量が減っていった。そうして、残り八三機のところでようやく人工衛星の破棄が止まった。
 そのころ地球基地では、ススムたち科学者が残った人工衛星の機能を連携させて、観察・撮影・通信などをすることができるようにしていた。そのまま順調に回復するかと見えたその時、月の裏側に隠れていた大きな破片が、レスキュー隊の背後に迫っていた。
 「まだ、破片が残っていたのか!」
 肉眼では見えなかったが、赤外線探知衛星によって、ススムが早めに発見したのである。キヨシも後ろを振り返って破片に気づいたが、目の前まで迫っていてどうすることもできなかった。その時、ススムが遠かく操作でレスキュー隊の乗った宇宙船の軌道を変えてくれたのだ。宇宙船のすぐ横を、大きな破片が通り過ぎていくのが見えた。
 「ふう、助かった!」
 すべての破片を回収し終えて、キヨシたちレスキュー隊は地球に帰還した。キヨシはススムの手をしっかり握ってお礼を言った。
 「ありがとう。科学者たちの作ってくれた通信連携技術がなければ、僕たちレスキュー隊はいまごろ全滅していたよ。」
 すると、ススムがキヨシの手を握り返した。
 「何を言うんだ。君たちレスキュー隊がいてくれたからこそ、人工衛星の全滅が防げたんだ。人工衛星が全滅していたら、地球は大混乱に陥っていただろう。僕のほうこそ、ありがとう。」
 そして、二人はほとんど同時に、言った。
 「君の仕事は、すばらしいよ!」
 二人は目を見合わせてほほ笑んだ。感動の涙が二人のほほをつたっていた。

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