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25年度開催結果


2013年 作文の部<中学生部門>入賞作品
宇宙航空研究開発機構理事長賞

「宇宙で一番美しい星『地球』」
北海道 札幌市立前田中学校1年  畑 翔太
 
 二〇六一年。チンパンジーのハムが、アメリカ初の宇宙飛行に成功してから、一〇〇年が経っていた。今、僕はとある宇宙船の中で、火星に降り立つ準備をしている。
 日本人宇宙飛行士の僕は、他国の宇宙飛行士二人と共に、きれいな青い海と緑の自然に囲まれた種子島から二年前、日本の有人宇宙ロケット「H-VI」に乗って、火星へと飛び立った。種子島は、確実な打ち上げ技術を持つ世界唯一の射場であり、二〇二〇年に世界自然遺産に登録されたすばらしい射場である。僕はそこから飛び立つことができたのだ。ちなみに、十五年前まで使われていたアメリカのケネディ宇宙センターは、民間宇宙旅行の打ち上げが多く、ロシアのバイコヌールは十年前から地球寒冷化の影響で打ち上げができなくなっている。
 「着陸まで一〇〇メートル」……三人は目を合わせ、小さくうなずいた。人類初の火星着陸なので、なんとしても成功させたい。「五メートル……三、二、一」……「コトン」まるでアスファルトに着地したような音と共に着陸した。三人は大きくうなずいた。すぐに窓から外を見た。「わぁ」三人そろって驚きの声をあげた。そこには、地球と同じように陸地や水、川がとてもきれいにできていたのだ!!僕たちは、JAXAが開発した動きやすさと防護性の二つの利点を合わせ持つ「ハイブリットタイプ」という宇宙服を着用する。二〇一〇年代に使われていた、宇宙環境保護層などの計十四層構造で、一二〇キログラムもあった宇宙服が、国際宇宙ステーションからの船外活動に繰り返し使用されたおかげで、バージョンアップしたのだ。
 ――ついに降り立った。そこには、オリンポス火山が残っているものの、地球と同じ「自然」が広がっていた。「ピピピッ……ピピピッ……」宇宙服の手元についた気体検知装置が反応した。「……」言葉が出なかった。その画面にはなんと、「酸素21%、二酸化炭素1%、窒素78%、気温23度」と表示されていた。僕たち三人は宇宙服を脱ぐことにした。火星探査を始めた数十年の間に、地球に似た環境になったのだろうか――。火星の空気を大きく吸いこみ、はき出した。とても快適で、気持ちが良かった。
 僕たち三人は、生命が存在すると確信し、探しはじめた。――探すこと十分。急に目の前にイカ星人のような生き物が歩いて来た。僕たち三人は、びっくりした。そして、正直、何か悪さをするのではと考え、少し後ろへ下がった。すると、イカ星人が、
 「こんにちは、だいじょうぶですよ。」
と、優しい口調で言った。日本語である。なぜ日本語を話しているのか聞いてみると……、
 「四〇年前、地球という星から金のカプセルが届いたんです。」
 そう、日本の人工衛星に積んだ「宇宙人への手紙」だ。その手紙には、日本語や地球のことが書いてある。彼らは、ほんの四〇年の間にそれを見て、日本語を勉強したり、わずかな水から、地球と似た環境を作り出したのだという。その後も「どうしてこんなに町がきれいなのか?」や「電気はどのように作っているのか?」など会話を続けた……。
 僕たちは、火星がこんなに美しい星になっていることに驚いた。しかも、それが地球人が送った「金のカプセル」を生かした成果だということにとてもとても感動した――。
 僕たちは火星人に何度もお礼を言った。
 ――無事地球に帰還した。僕は「宇宙飛行士」として世界中の人々に話した。
 「火星には生命が存在していた。その火星では、みんなが協力していた。そして電気は、窒素と雪を混ぜ合わす空気発電というのを行なっていた。我が地球も、この空気発電を取り入れ、人々が協力し、物事を進めていけば、きっと地球が宇宙で一番美しい星となるだろう。」――世界中で拍手が沸き起こった。
 宇宙開発は昔、「競争」という形で行われていた。おたがいが争うことにより、宇宙開発が発展してきたが、現在はそうではない。現在は、豊かな暮らしのために、そして地球の自然を守るために、みんなが協力し、宇宙開発が行なわれている。
 宇宙空間で仕事をすることは、すべてが地球のためとなる。今回の火星探査では、生命の発見が目的だったが、発見どころではなく、火星から学んだこと、全てを地球に持ち帰ることができたのだ――。こうして、火星探査の仕事はひとまずひとくぎりできたので、次は木星に行く計画をしている。たくさんの仲間と共に――。火星のイカ星人からも、一緒に行こうとメールが来ている。その時は、今、開発中の日本の新型長距離ロケット「MR-SX7」を使う予定だ。
 地球は宇宙で一番生命の歴史が長いけれど、宇宙で一番美しい星『地球』なのだ――。

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