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25年度開催結果


2013年 作文の部<小学生部門>入賞作品
文部科学大臣賞

「宇宙バレエ団~月公演の演出」
東京都 杉並区立井荻小学校6年  豊田 彩楓
 
「ただいまより、宇宙バレエ団による公演が始まります。月のクレーターを見学されているお客様はすみやかに席にお着きください。」
 アナウンスが流れた。ブー……。音が鳴り、幕が開いた。
 二〇四三年現在。地球から月へ、一般の人が普通に行けるようになった。休みの日には、誰でも気軽に月旅行に行っている。
 ここは月の基地。基地の中には空気もあるので、宇宙服を着ないですむ。私たち宇宙バレエ団は、世界で初めて宇宙でバレエ公演をすることになった。その最初の場所が月の基地の中だ。
 実は、月での旅行の楽しみの一つとして、バレエ公演が認められたのだ。それは、地球にいながらまるで重力がないかのようにおどらなければならないバレエを、宇宙でおどったらどうなるかという研究の成果がでたからだ。
 今回の演目は、「真夏の夜の夢」だ。よう精の国の話というのが、月での公演にぴったり合うということでこの演目に決まった。
 メンデルスゾーンの音楽が流れ始めてすぐに警報音が鳴った。レゴリスの警報だ。
 レゴリスとは一ミリより小さな月の砂だ。この砂はとがっているため、月の基地内に持ちこまれて呼吸により肺に入ると、石綿健康被害のような病気の原因になってしまう。だから急いで掃除をしなくてはならない。
「客席のみなさま、いったん基地内の通路へ出てください。」
 アナウンスが流れた。と同時に大勢の掃除係の人が、マスクをしてレゴリス専用掃除機を持ちやってきた。客席にいた人たちも通路に出た。
 五分くらいすると掃除も終わり、お客さんも全員もとの席にもどった。
「ただいま、レゴリスがたくさん中に入ってきてしまったためいったん公演を中断しましたが、無事除去したため公演を再開します。」
 再開のアナウンスが流れた。私はほっとした。お客さんも安心した様子だ。
 再び音楽が流れ始めて、よう精パックやオーベロン王やタイターニア王妃など、たくさんのバレエダンサーが出てきた。
 月は地球の重力の六分の一になる。だから、飛ぶとものすごい高さになる。そして、回転をすると、くるくるとゆっくりと空中に上っていくように見える。地球では出来ないそういった動きが宇宙バレエの見どころだ。
 オーベロンは貫禄たっぷりに、パックはまさに空間を自由に飛び回り、たくさんのよう精たちが軽やかに飛んで、はく力たっぷりだ。
 公演も盛り上がってきたところで、月面車の手配がされた。お客さんが乗って帰るためだ。月面車といっても、昔のようなオープンカーのようなものではなく、バスのような形をしていて、中には空気もある。月旅行者は、宇宙服を着なくても旅行が出来るのだ。
 バレエは盛り上がって終わった。お客さんの拍手が鳴りひびいた。そして、バレエダンサーたちのあいさつが終わると、お客さんは、さらに大きな拍手をした。
 公演は大成功だ。
 宇宙でバレエを演出する、という私の仕事はうまくいった。次は「白鳥の湖」を演出する。白鳥が飛んでいくところを実現出来るからだ。
 月での公演だけではなく、火星や無重力状態でのバレエ公演も考えている。

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