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24年度開催結果


2012年 作文の部<中学生部門>入賞作品
日本宇宙少年団理事長賞

私の夢、みんなの夢、地球の未来
北海道 釧路市立山花中学校2年  小玉 裕果
 
 「……それじゃあ、行ってきます!」
 にっこりと微笑む家族を背に、私は水星行きの電車に乗る。
 時は未来。宇宙との交流がとても盛んな時代。宇宙では、各星の代表を集めて五年に一度、宇宙オリンピックが行われている。今年はちょうどその五年目。私、星美は、宇宙オリンピックの地球代表となった。そして、今日はオリンピック最後の日。種目は宇宙マラソン。前回のオリンピックの優勝星、水星がスタート地点で金星、地球……の順で色々な星を走り、また水星に戻って来て、最初にゴールテープを切ったものが優勝となる。
 電車の窓から外を眺めていると、宇宙放送局のロケットや、マラソンに出る選手たち、応援に向かう人達を乗せた宇宙バスが走っている。すると、急にたくさんの流れ星が流れてきた。よく目をこらして見てみると、色んな星からの応援メッセージが書かれた流れ星だった。その中に、地球からのメッセージを見つけた。
「『頑張って下さい』……かぁ……。」
 私は自分の夢を叶えたくて、オリンピックの選手になった。地球のオリンピックと違い、たくさんある競技を全て一人でこなさなくてはいけない。そして、今日行われる宇宙マラソンで、勝敗が決まる。今のところ、優勝候補に土星、水星、……そして、地球がある。自分の夢のためだけだったはずが、いつの間にかたくさんの人の夢をこの背中にせおっていた。私は勝たなくてはいけない。自分の夢のためにも、私を応援してくれるたくさんの人のためにも……!
 水星に着き、地球代表と書かれたゼッケンをもらうと、先に来ていた他の星の選手たちにあいさつをしに行った。今日出場するのは、水星、地球、木星、土星、太陽、月の選手だ。他の選手たちは、今までの競技で最下位になったり、途中で棄権したりして、マラソンへの出場資格が与えられなかった、だから、私がマラソンに出場できるのは、本当に奇跡みたいなことなのだ。
「おはようございます!」
 ブラックホールみたいな入口をくぐり、選手控え室に入る。
「◯×△□◇?」
 おっと、宇宙共通語じゃないと通じないんだった……。
〈おはようございます〉
〈……おはよう。〉
 そう返事をしてくれたのは、水星代表のアミーラ。前回のオリンピックの優勝者だ。
〈今日で最後だ。お互いに、自分のベストを尽くそう。〉
 すっと、アミーラの右手らしきものが差し出された。水星の人類は、誰もが知っているような、灰色の細い体に大きな頭、そして大きな目という見た目だ。だが性格はサッパリした者が多く、人気が高い。
〈こちらこそ。手加減なしでよろしく!〉
 私は、その右手らしきものを強く握った。
〈星美、今日はよろしく。〉
 そう言って、私の前に現れた二つの影。見た目は人間に近い土星の代表、ナクリ。そして、緑色をしたアメーバみたいな見た目の木星代表、ゴッツ。ゴッツとは今回のオリンピックで初めて会ったが、ナクリとは今までに何度も面識があった。土星と地球は貿易がとても盛んで人類同士の交流もたくさんあった。ナクリとは、その時に出会った。
〈おはようございます!二人とも、今日はよろしくね!!〉
 二人と別れた後、私はただ一人、部屋の隅に立って、自分を集中させていた。
 今日で最後。私の夢、みんなの夢。そして地球の未来がかかったオリンピックが、今日で終わる。今までに何度も出てきた、私の夢。それは、オリンピックに優勝して、地球を有名にすること。現在の地球は、地球温暖化が進み、あまり良いと言える環境ではない。地球の環境を良くするには、地球中の、いや、宇宙中の協力が必要なのだ。オリンピックに出て優勝すれば、地球は有名になり、地球へ関心をもつひとが増えるはず……! 私はそう信じて、血のにじむような努力をした。
『各星の選手のみなさん。そろそろマラソンが始まりますので、スタート地点にお集りください。』
 どんな環境でも対応できる体作り。体力を長続きさせるための体力作り……。たくさんの練習を重ねて、重ねた。そして今、私は夢へと続く、線上に立っている。
『では、みなさん準備を。よーい……。』
「パァンッ!」と、ピストルの音が鳴り響く。私の夢、みんなの夢、地球の未来をかけた宇宙オリンピック最後のマラソンが、今、始まる……!


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