「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

24年度開催結果


2012年 作文の部<中学生部門>入賞作品
リモート・センシング技術センター理事長賞

走れ!結花 青い宝石、地球を守れ
茨城県 つくば市立桜中学校3年  古賀 結花
 
 ついにこの日がやってきた。
 二〇二二年、七月二七日。

 ロンドンオリンピックが開かれたのは二〇一二年。あれから十年も経ったのか……。時が経つのは早い。
 「宇宙オリンピックに出たいです。」
 七夕の日に、短冊に書いたのもちょうどあのころだった。私は中学三年生。物心ついたときから宇宙が大好きだった。毎日星空を見上げては、宇宙ってどこまで広がっているのだろう、とドキドキわくわくしたものだ。

 私は、ドームの中にいた。四〇〇メートルトラックが広がっている。軽い準備運動を済ませてから、スターティングブロックに足を合わせる。前を見ると、巨大な土星の輪が見える。そうだ、ついに宇宙まで来たのだ。今年は宇宙オリンピックの年。一億以上の星が参加する、世紀の一大イベントだ。私は地球代表の選手として、競技に出場する。

 小さいころは、運動は苦手だった。運動会の徒競走の順位も後ろから数えた方が早かったし、水泳も嫌いだった。そんな私が陸上競技に憧れたのはいつごろだっただろう。昔の記憶を振り返っていく。
 小学六年生のころ。こんなプリントが学校で配られたのだった。
『陸上競技で宇宙に行こう!』
 運動嫌いだった私は、それを二つ折りにしてランドセルの中に無造作に放り込んだ。でも、やはり気になる。宇宙で陸上? 宇宙に興味のあった私は、ランドセルからプリントを引っぱり出して、広げて広げて読む。
 『宇宙オリンピックに、参加しませんか。十三年後に宇宙でオリンピックがあります。小・中学生向けの陸上競技の練習会があるので、是非参加してください。』
 宇宙でオリンピックか。おもしろそうだな。宇宙に行ってみたいし、練習会に参加してみようかな。それが始まりだった。練習はきつかったけれど、宇宙に行けると思えば苦にはならなった。

 レディ、ゴー!
 ピストルの合図と共に選手たちが走り出す。しまった、出遅れた。他の選手たちが、遠ざかっていく。もう追いつけないかもしれない。スタートの一瞬の遅れも命取りなのだ。
 それでも走る、走る、走る。無我夢中に走る。前を向くと、我が故郷の地球が見えた。透き通るような青と白い雲のコントラスト。こんなに美しい地球を見るのは初めてだ。

 走りながら、地球に残してきた家族のことを考える。父や母は、今ごろ何をしているのだろう。私を応援してくれているだろうか。宇宙オリンピックの中継は、地球でも放送されているはずだ。「結花、ガンバレ、ガンバレ!」と言いながら応援してくれているだろう。なんとしてでも勝たなければならない。私を期待し応援してくれている、地球の人々、そして家族のために。走れ! 結花。

 最後の直線一〇〇メートル。気づけば前方にはただ一人だけ。相手との距離はほんの少しだ。追い抜ける、いや、追いぬかなければならない。ゴールまであと五〇メートル、二〇メートル、五メートル……。

 「やったぁ!」
 会心のガッツポーズ。応援席から大きな歓声が沸き起こる。(地球のみんなありがとう。)心の中で、地球に向けて叫ぶ。

 競技が終わり、他の選手たちと雑談で盛り上がっていると、ふと青いものが目に入った。地球だ。太陽の光を受けて、きらきらと輝いている。美しい。まるで青い宝石のようだ。地球が、こんなにも青かったなんて……。心の底からこみ上げる感動。あっと言う間に目の前が涙でぼやけて青一色になった。

 今、この青い美しい宝石を、私たち人類が破壊し始めている。地球温暖化、生物の絶滅、森林破壊……。こうしている間にも自然が破壊されていると思うと、心が締め付けられる。より良い生活、より便利な生活を求めて開発を推し進めていったことが、自然破壊につながった。地球では、大洪水や干ばつなどの異常気象が起きているという。
 しかし、宇宙から見た地球は、そんなことを感じさせないくらい美しかった。今からでも遅くない。できることはたくさんある。小さなことから始めていこう。地球に帰ってからやらなければならないことは分かっている。青い、美しい地球を守ってゆくために――。


もどる