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23年度開催結果


2011年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

星の兄弟
千葉県 千葉大学教育学部附属中学校3年  横尾 貴哉
 
 今、地球は西暦二一〇〇年。宇宙開発が発展途上な今、世界各地の宇宙開発機関は希望で満ちていた。なぜかというと、だいたい冥王星から地球までの距離の二倍、地球から離れた場所に緑の豊かな星が発見されたからだ。そして、その星は緑の豊かなことから、「緑星」と名付けられた。早速、地球から探検隊が組織され、送られることになった。現在、冥王星ぐらいまでの距離なら、行くまでのルートの間に五つ以上、星があれば一日、三つ以上五つ未満であれば一日と半日で行けるようになっていた。これは、宇宙船がハイテクかつ、秒速二五万kmまで出せるようになったこと、空間瞬間移動装置という、一度行った場所にその装置を設置することで、その場所になら一瞬で移動できるというものが開発されたことで、地球から移動できる範囲が飛躍的に広くなったからである。というのも、まず宇宙船で一番近い星まで速度MAXで移動する。そして、その星に装置を設置し、地球から燃料である、エネルギーバッテリーを送ってもらい補充したら、次の星へ速度MAXで移動するというのをくり返すことで星と星との間を短い時間で進めるようになったからである。とにかく、このような方法で緑星に探検隊が派遣されたのだった。緑星に向かう途中、驚くべきことが一つ発見された。何と緑星とその周辺の星の外見、並び順、公転の周期などが太陽系の惑星たちと似ていたのだ。そして、それらの星の中心には太陽らしき星、つまり恒星があるのも確認された。そしてついに探検隊を乗せた宇宙船は緑星に着いた。
「本当にここは地球ではないのか……。」
 それが、宇宙船を出た時、探検隊隊長つまり私が言った、第一声だった。それほど、我々の到着した「緑星」が少し前の地球にそっくりだったのだ。空気も地球と変わらなかった。
「子供の頃に戻ったみたいだ……。」私は少しなつかしく感じた。今や、緑が残っているのは田舎と呼ばれる所だけであり、四、五十年以上前でしか日常では見られなかったため、若い隊員たちは物珍しそうに周りを見回していた。その後、私たちは早速、この緑星の民とコンタクトをとることにした。そして、宇宙船のサポート班から北に一〇kmの場所に町があると報告を受け、行くことにした。その際、緑星の衛星写真を送ってもらった。すると、なんと細かい部分を抜けば、地球にそっくりなのである。そこで、私はふと、疑問に思った。
 この星は単に地球に似ているだけなのだろうか。少しモヤモヤとしつつ、ついにコンタクトをとることに成功したのだった。
「私の言葉、分かりますか。」私は彼にきいた。彼というのは、町の近くの森で狩りをしていた、いわば猟人だ。
「あんた、何言ってんだ。わかるに決まっているだろう。」なんと言葉も通じたのだ。
 その後の会話で以下のことがわかった。
 一つ、この星を、住民たちは「地球」と呼んでいること。二つ、この星では現在は一八九八年である、ということなどである。
 つまり、我々の地球より約二〇〇年若いのである。そこで、私は地球にある本部にこれらのことを報告し、これからの指示を仰いだ。
 すると、たったの一日後、帰還命令が出た。よって、探検隊による緑星探検はたった三日で終わった。帰還後、私は宇宙開発連盟長にこのことについてきいた。私はどうしても腑におちなかったのだ。すると、連盟長は語った。「私はだね、あの星は単に地球に似ているのではなく、我々の地球の弟の星だと、思ったのだよ。だから、あちらの地球は二〇〇年ほど若かったと、考えたのだよ。そもそも宇宙というのは広い空間ではなく、一つの大家族ではないのか、とも私は考えた。ここまで言えば君も結論がわかるだろう。」そう言うと、連盟長は静かに立ち去って行った。
 私はしばらく呆然としていたが、ようやく理解ができた。緑星が我々の地球の弟の星であるならば干渉することもないのではないだろうか。兄弟は必ずしも同じ道をたどるとも限らない。それなら、手出しはせず、見守っていくのが我々ができる賢明なことなのだ……。
 五年後、二一〇五年。「緑星」へのむやみな干渉は禁止され、年六~十五回「様子を見る」目的で、様々な宇宙船で行く位だった。
 まあ、緑星ではUFO騒動にはなっていたが……。ところで私はというと、今も探検隊隊長として働いている。まだ、緑星ほどの星は見つかってはいないが、近い未来、見つかるだろう。そして、時に私は思うのだ。我々の地球の弟なる星はどんな道を歩んでいるのか。やはり、同じ道を歩んでいるだろうか。だが、私は信じたい。弟の地球がそこの生き物たちと共生し、美しくすばらしい星となっていることを……。そして、我々の地球も未来、そんな星になっていること……。


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