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23年度開催結果


2011年 作文の部<中学生部門>入賞作品
日本科学未来館館長賞

宇宙への修学旅行
群馬県 館林市立多々良中学校3年  井戸 健太
 
 「持ち物は用意した? おやつは三百円以内だよ。宇宙食じゃないと食べられないからね。集合時間はしっかりと守りなさいよ。」
 宇宙への修学旅行を明日に控え、学校の先生から最終確認があった。
 宇宙への修学旅行も、今となっては一般的だ。しかし自分としては初めてなので、楽しみで楽しみで仕方が無かった。
 宇宙へはエレベーターで行く。とても長いエレベーターのため、建設に十年もかかった。世界中の国々が協力して行った、大作業であった。
 夜になり母に、
「明日旅行なんだから、早く寝なさい」
と言われ、床に着こうとしたが、楽しみでなかなか眠れなかった。
 寝坊をしてしまい、集合時間に遅れそうになったが、なんとか間に合った。「いよいよ宇宙だ。」と期待を膨らませながら、エレベーターに乗りこんだ。時速二千キロメートルでエレベーターは進むため、体には重力加速度が働き押し潰されそうになったが、何とか乗り切った。
 宇宙へは無事到着した。そこは、地球とは別世界だった。白々と輝く星たち。燃えるように赤い太陽。幻想的な月。そして青々と輝く私たちの地球。目に入るすべてのものに感動していた。
 予定では、エレベーターで月まで行き、月からは宇宙船で太陽系の惑星を巡り、また月へ戻って最後にサプライズがあるということになっていた。
 エレベーターは月に到着した。エレベーターから降りてまず目に入ったのがクレーターだった。へこみが想像以上に大きかった。巨人の足跡のようだった。地球に戻ってから研究してみようと思った。そして宇宙船に乗り換えた。
 太陽系の惑星巡りといっても、時間を短縮するために宇宙船の窓から観察する程度だ。だが、私にはそれで十分だった。特に、土星に感動した。綺麗な輪の模様。周りにあるリング。とても神秘的だった。
 宇宙船にはワープ機能がついているため、月へはすぐに戻ることができた。いよいよ最後のサプライズだ。先生から説明があった。
「みなさん一人一人に、未来から手紙が届いています。差出人は未来のみなさん自身です。」
 そして先生から手紙が渡された。日付には、二一〇〇年七月一日とあった。手紙にはこう書いてあった。
 「こんにちは、中学生の僕。君にどうしても伝えたいことがあるので、この機会に伝えたいと思う。
 今、僕たちが生活している二十二世紀は、中学生の君が生きている世界からどの分野においても格段に進歩している。地上は物で満ちあふれ、自動車は空を飛んでいる。宇宙エレベーターはなくなり、各家庭が専用の宇宙船を持つこと当たり前になっている……。」
 ここまでを読んで、未来は希望に満ちているなあと思った。しかし、この続きには次のようなことが書いてあった。
 「だが、大きな問題がある。私たち人間は自分たちのことばかりを考えるあまり、地球の環境はどんどん悪化していった。あと十年で滅んでしまうだろうといわれている。それだけではない。人類は地球上にためきれなくなったゴミを宇宙へ捨てたため、綺麗だった宇宙はゴミの海となってしまった。もう私たちはどうすることもできない。そのために、君たちが努力をしてくれ。」
 これを見て、私は衝撃を受けた。地球だけではなくこの素晴らしい宇宙までもが汚染されているなんて……。悲しさでいっぱいになった。
 帰りのエレベーターの中でも、手紙のことが頭から離れなかった。今、自分には何ができるのか……。未来の自分が言う「努力」とは何か。
 それは、エアコンの温度を一度上げて行う節電のような「努力」なのかもしれない。
 それは、普段家庭から出るゴミを分別するような「努力」なのかもしれない。
 地球へ戻ったら、まず自分の生活を見直そう。そして周りへ生活の見直しを呼びかけよう。そう思った。
 修学旅行を終え、何日か過ぎた日の夜、空を見上げると、沢山の星が輝いていた。旅行で宇宙へ行ったとき、地球も同じように輝いていた。いつまでも輝いた地球でいてもらうため、またいつまでも素晴らしい宇宙であってもらうため、私たちは「努力」をしなければならない。


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