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23年度開催結果


2011年 作文の部<小学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

レトロ気分で宇宙へGO!
埼玉県 さいたま市立尾間木小学校6年  津久井 南帆
 
 「まあ、ティッシュでももらって来てよ。」
 夢のような出来事は、お母さんのそんな一言から始まった。
 それは夏休み初日のこと。私は、昭和・平成レトロブームでよみがえった商店街へ、くじを引きにやって来た。コンピューターのくじしか知らない私は、とまどいながら三角の紙のくじを一枚引いた。それを開いた瞬間、「カランカランカラーン!」
 鳴りひびく大きな鐘の音に人だかりが出来た。なんと一等! 商品は……レトロ宇宙旅行!!
 私は今、宇宙船ディスカバリーⅡ号の中。レトロブームの影響で作られたこの宇宙船の外見は、平成に活躍したスペースシャトルにそっくりらしい。しかし実際は、最新技術を結集して作られた宇宙船だ。信じられないほどの超高速移動が可能で、例えば金星までの距離なら、三日で移動できる。私達が今日向かうのは、「宇宙エネルギー研究所」。金星までの半分の距離だけど、一日半で到着できるなんて驚きだ。
 初めての宇宙に興奮してなかなか寝つけなかった私だけど、いつの間にか眠っていた。ビービーとなる電子音で目を覚ますと、情報モニターには、「まもなく到着」とあった。大変! 早く宇宙服に着がえなくちゃ。用意されていた昔の宇宙服の復刻版を身に付けた。
デザインはそっくりだが、重さは百分の一になっている。まあ、研究所内では宇宙服を着なくてもだいじょうぶらしいけど、これが今日の私達のユニフォーム。
 待ちに待った瞬間がやってきた。ディスカバリーⅡのドアが開くと同時に、研究所に透明のトンネル型の橋がかけられた時には、拍手がわきおこった。
 まず私達は、「宇宙エネルギー研究所」の屋上にあるドーム型の太陽観測室へ。地球から見るより、太陽がかなり大きく見える。特別なレンズ入りのサングラスをかけると、そこには未知の世界が広がっていた。すごい! フレアまでくっきり見える。
「大きい!メラメラ燃えてる!!」
 口々にみんながさわいだ。そして、しばらくすると、みんな無口になって太陽を見つめていた。私もみんなも、こわいくらい力強い太陽に圧倒されていた。
 太陽観測の後は、研究所内を自由に見学していいことになった。研究所は、どこを歩いても冒険気分! 星の衝突の力を利用した発電の研究室、宇宙放射線を利用した発電の研究室などいろいろな研究室があった。宇宙ってたくさん可能性を秘めているんだなと感じる。この研究所は、五十年前に起きた原発事故がきっかけで作られたと聞いた。そのころから今までずっと、エネルギー不足は深こくな問題だ。確かに宇宙での発電は、まだ大きく実用化されていない。でも、この十年で宇宙はどんどん身近なものになり、今では宇宙での発電の研究は注目の的だ。
 歩いていくうちに、私は何も書かれていない研究室を見つけ、のぞきこんだ。すると、
「ぶかぶかの宇宙服ね。小学生さんかしら。」という声。奥の方に、女の人がにっこり笑って立っていた。
「はい。小学六年生です。」
「私はこの新しく出来た研究室のリーダーで、星野。よろしくね。」
 私はあわてて、ペコッと頭を下げた。その拍子に、胸ポケットに入れていたボールペンを落としてしまった。その時、星野さんの表情が真剣になり、つぶやきが聞こえた。
「そうだ……。この研究テーマでいくわ!」
 私のボールペンは、レトロブームで復活した蒸気機関車に乗った時に買った物で、機関車のマスコットが付いている。ふと、さっき見た燃えるような太陽を思い出して、私もひらめき、ワクワクしながらたずねた。
「太陽の熱で水をふっとうさせて、その水蒸気を発電に使うんですね!」
「そう!水蒸気の圧力で大きなピストンを動かし、それでモーターを回して発電。昔から知られてきた方法の応用だけど、ここは地球よりも太陽の熱を集めやすいし、くわしい太陽観測データもあるわ。この場所にはもってこいの発電方法だと思わない?」
 昔ながらの方法の応用、とってもいいと思います!レトロブームですしね。」
 私がそう言うと、二人で笑い合った。
 そんな宇宙旅行も終わり、無事地球に帰ってきた。そうそう。帰りの宇宙船の中で、今回の旅行の記念品が配られたんだ。家に帰ってすぐ、
「はい。ちょっとおそくなっちゃったけど。」
ってお母さんに記念品を渡したら、首をかしげていたけど、私はおもしろくて仕方がなかった。だって記念品は、ディスカバリーⅡのイラスト入りポケットティッシュだったんだもの。


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