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23年度開催結果


2011年 作文の部<小学生部門>入賞作品
文部科学大臣賞

「宇宙は一つ」の大合唱旅行
鹿児島県 鹿児島市立田上小学校6年  野中 光泰
   「世紀の大発見!」というニュースが世界中をかけめぐった。ナスカの地上絵は実は宇宙地図だったのだ。鳥や魚の絵のきょりや方向が、地球から見た星座や位置と一ちしていたのだ。鳥の絵は実はほうおう座で、その目の部分の地中から金の石が発見された。それを光にかざすと、かすかに文字がうかび上がった。それは、ほうおう座α星の言葉だった。
 実はぼくは宇宙中の言葉を通訳でき、宇宙語の教師でもある。大昔、西れき二〇〇〇年ごろの地球にエスペラント語という共通語があった。それと同じように、どの宇宙人も使えるようにした宇宙の共通語が宇宙語だ。ぼくたちがそれを全宇宙に広めようとしている。
 金の石がぼくの前に差し出された。
 「え~っと、『宇宙で一番美しく、一番豊かな星への手がかり』と書いてある。」
 ぼくが読み上げると、みんながさけんだ。
 「ナスカの地上絵はこのためにかかれたんだ! そこへ行ってみよう!」
 ぼくたちは、「宇宙で一番の星」への手がかりを探しに旅立った。七年七か月かかって、ほうおう座α星にとう着した。恒星に同じ面を向けながら公転している惑星で、半面は一年中高温で砂ばく化していた。反対側は一年中氷の世界だった。ぼくたち地球人は、その境目のところに降り立った。
 「ほんとうに、こんな星が宇宙で一番?」
 「いやいや、そうじゃなくて、そういう星への『手がかり』なんだ。」とぼくが説明した。
 その星の砂ばくのほうには色の黒い砂ばく人、反対側には色の白い氷雪人が住んでいた。それぞれ砂ばく語と氷雪語をしゃべっていて、交流がない。さっそくぼくは、砂ばく人と氷雪人に宇宙語を教えてあげた。すると、砂ばく人と氷雪人が境目のところに来て会話が直接できるようになった。境目では、砂ばく人は寒そうにふるえていて、氷雪人は暑くて汗をだらだらかいている。ぼくは、思わず笑った。砂ばく人も笑った。氷雪人も笑った。
 「そうか! これまで交流ができなかったのは、仲が悪かったからではなくて、言葉が通じなかったからなんだ!」
 ぼくは、砂ばく人・氷雪人に、「宇宙で一番美しく、一番豊かな星への手がかり」について、何か知らないか聞いてみた。
 砂ばく人が寒さにふるえながら答えた。
 「大昔、空から箱が降ってきました。箱の中にCDがあり、何かデータが入っていたけれど、その意味はわかりませんでした。」
 氷雪人が汗をふきながら言った。
 「ぼくたちの所にも大昔、箱が降ってきて、やはりCDが入っていたけど、何か音が出るだけで、意味はわかりませんでした。」
 宇宙語の教師であるぼくは、すぐにその内容が解読できた。砂ばくのCDには地図のデータが入っていた。それは銀河系宇宙の太陽系第三惑星への道順を示したものだった。
 「そうか! 宇宙で一番の星って……」
 ぼくは思い出した。ボイジャー29号という探査機が大昔、地球から打ち上げられた話を。CD入りの二つのカプセルを積みこみ、CDの一枚目は地球への地図、二枚目は宇宙語の歌詞で書かれた合唱曲だった。
 「宇宙は一つ」と書かれたCDを再生した。
  今は分かれているけれど
  宇宙を見ると思い出す
  ふるさとは一つだったということを
  宇宙に国境はない
  ぼくらはみんな兄弟だ
  争いなんてむなしいだけだ
  差別なんて無意味なことだ
  いつも宇宙の昔を思い出し
  おたがいに支え合おう
  おたがいに助け合おう
 曲をリピートしているうちに、砂ばく人も氷雪人も宇宙語で歌い始めた。いつの間にか、すべての砂ばく人・氷雪人が境目のところに集まり、手をつなぎ、数万人の大合唱になった。みんなの心が一つになった。
 「そうだ。地球には、地球人が使っていない土地がある。サハラ砂ばくには砂ばく人が住めばいい。南極には氷雪人が住めばいい。」
 帰りのロケットの中で聞いた話だ。α星の気候が温暖だった昔、かれらの先祖が天体観測で「宇宙で一番の星」を見つけた。人を乗せて行くほどの大型ロケットはまだ作れなかったので、せめて「手がかり」になる金の石をその星に打ち込み、大型ロケットの開発は子孫にたくしたのだ。その後、α星が砂ばく地帯と氷雪地帯に分かれてしまい、人々も分かれて住んで何百年もたったということだ。
 「そうか、その金の石がたまたまナスカのほうおうの絵の目の部分に落ちたのか!」
 ぼくたちは、地球へ向かうロケットの窓から外をながめながら、いつまでも歌い続けた。
  宇宙を見ると思い出す
  ふるさとは一つだったということを


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