「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

22年度開催結果


2010年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)リモート・センシング技術センター理事長賞

宇宙を利用した未来の宇宙万国博覧会~桜にこめた想い~
兵庫県 姫路市立高丘中学校2年生  福井 沙耶
 
 私は夜空を見上げた。いつもと変わらない、無数の星が散りばめられた輝く夜空を……。普通なら「綺麗だなあ。」と思うだろう。でも、私にとっては単なる綺麗な夜空ではない。大好きな母のいる輝く宇宙なのだ。
 私の母は宇宙飛行士。私が幼い頃に宇宙での研究の誘いがきて、宇宙へと旅だって行った。あの広い宇宙のどこかに母がいるのだ。
 「遅刻するよ! 起きなさい!」という父の声で私は目覚めると、時計を見た。慌てて支度をして家を飛び出した。急がないと! すると、父に呼び止められた。
 「手紙がきているよ、学校で読みなさい。」
 もう、急いでいるのに! 手紙を受け取り、通学路を駆け抜けた。通学路には満開の桜並木が続いている。桜は、私の大好きな花なのだ。毎年、この時期を過ぎると儚く散っていく桜。その姿にはどこか魅せられる部分がある。私は、初夏にやってくる自分の誕生日を満開の桜の下で迎えることが夢なのだ。
 学校に着き、ふと手紙のことを思い出し開けてみた。封筒の中には、
 『西暦二三〇〇年、宇宙万国博覧会にご招待! 場所=宇宙ステーションⅦ』と大きく印刷された金色のチケットが入っていた。それから、桜の花びらも……。もしかしたら、通学路の桜並木の桜が入ってしまったのかもしれない。しかし、それは人工の桜だった。どうして人工の桜が入っているのだろうか? 結局、桜の謎は解けないまま、宇宙に出発する日がやってきた。
 開催地の宇宙ステーションⅦは月と地球の中間にある。また、今回の博覧会は地球の国々のみの参加で、銀河の各異星人の方々を招待し、地球の科学技術を紹介する場でもある。
 私は日本発→宇宙ステーションⅦ行きシャトルに乗り込んだ。三十人乗りの中型シャトルだ。宇宙ステーションに着き、その規模の大きさに驚いた。沢山のパビリオンがひしめき合い、私には、限りなく広いように見えた。ここが宇宙だと思うと不思議な感じがした。
 まず、最初に訪れたのはアメリカ館。ここでは、地球最速の光速で走るジェットコースターが展示されてあった。もちろん、試乗することもでき、私も乗ってみることにした。何といっても光速で走るのだ。ほんの数秒で月の周りをぐるぐる回って帰って来る。駆け巡る景色は流星群のように見え、スリル満点だった。次は中国館。今、地球では宇宙からやって来た異星人がたくさん滞在している。しかし、なかなか会話が成り立たない。そこで開発されたのが聞こえてきた言葉を自動的に自分の母国語に変えてしまう翻訳機である。ここに展示されているのは、頭にセットするだけでなんと、話す言葉も自動的に相手に応じた言葉に変えてしまい、同時に何人もの異星人と会話ができる優れものだ。これで、銀河宇宙会議もスムーズに進行できる。次はロシア館。ここでは、いわゆる逆バンジージャンプが体験できる。それは、腰に長くゴムを付け、少し地面を蹴るだけでその反動で飛んで行くというものだ。簡単に誰でも遠くへ飛んで行くことができるので行列ができるほどの大人気だった。そして、最後に訪れたのは、日本館だ。何が展示されているのかとワクワクしながら中へ入って行った。最初に目にしたのは、宇宙野菜園だった。外見と味は地球野菜と同じだが、大きさは十分の一と小さい。しかし、栄養分が地球野菜の百倍もあるのだ。僅かな水分と宇宙エネルギーだけで、超スピードで生長するのも特長だ。地球の人口増加による食糧不足の解決策の一つになりそうだ。
 次にドーム型のドアを抜けると、そこは満点の星空の中、満開に咲き乱れる桜並木……。それは、とても美しく懐かしい光景だった。しかし、その桜は人工の桜だった。
 「よく来てくれたわね。」
 気が付くと、隣には母が立っていた。母は宇宙に行ってから、この万博のために研究を重ねてきたのだ。そして、どうしても私の大好きな桜を展示したいと思い、研究したのだが、自然の桜は万博には間に合わなかった。
 「でもね、私はいつかここで自然の桜が咲くことを夢見ているの。宇宙は無重力だから桜が散ることもないわ。そう、私の夢が叶う時あなたの夢も叶うのよ。」と、母は言った。
 そして、万博の終了と共に、母は任務を終え地球へと帰って来た。私は、あの時の母の言葉を胸に刻み、あることを決意した。
 これから科学技術を担うのは私たちの世代だ。私はいつかきっと、自分であの夢を、母と私の夢を叶えるのだと。
 二十年後――。私は、宇宙新聞のある記事を切り抜き、ソメイヨシノの花びらと共に地球にいる父母のもとへと送った。
 『ついに成功! 自然の桜・ソメイヨシノが宇宙で満開に!』
 ついに、私たちの夢が叶ったのだ。
 そう、この日は、私の誕生日でもあった。

もどる