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21年度開催結果


2009年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

「宇宙(そら)に架かる虹」
大阪府 交野市立第三中学校1年生  岡田 智実
 
 「期末テストが終わった。やったー、もうすぐ夏休みだ。」
と喜びたいところだが、そうもいかない。なぜなら「宇宙大発見」というレポートを書く夏休みの宿題があるからだ。またそのレポートのために、生徒は宇宙の星のどこかに短期留学しなければならないのだ。留学期間は一週間。みんなに留学先候補の書かれた短期留学星パンフレットが配られた。中には様々な星が書かれていた。中でも人気ナンバーワンはプレジャーランド星。ここは宇宙のいろんな星を体験できることで有名だ。でも毎年人気が高くて抽選になるらしい。抽選も面倒くさいなぁと思いながらふと目をやると、隅の方にダーク星と書かれた星が目にとまった。確か田舎くさいイメージで毎年人気が無い星だったような。でもレポートを書くには静かで最適かも。私はその星に決めた。それからはとても忙しかった。めまぐるしい用意の日々も終わり、夏休みの始め私はダーク星の宇宙ステーションに降りたった。
 噂どおりダーク星に華やかさはなかった。ちょっとがっかりだ。月のようなところに低い建物が点在しているだけで、ダーク(未開)と呼ばれるのもわかる気がする。でも迎えに出てくれた人々の歓迎はとても温かく、私は何だか家に帰ったような安心感を覚えた。その日はさすがに疲れが出ていたのか、私は案内されたホームステイ先であっという間にぐっすり寝てしまった。次の日、私は早速ダーク星のシンボルであるミーティングルームに連れていってもらった。そこは驚くべき光景だった。大人や年寄り、また子どもまでもが政治や街づくりについて議論しあっている。決して堅苦しいところはなく、むしろ和気あいあいと話が弾んでいる。私も思わず話に加わりたくなってしまうほどだ。聞いてみると、この星は何でも話し合いで決めるらしい。『コミュニケーションを大切にする』これがこの星の特徴らしい。また互いの意見を尊重しあうため、争いごともないそうだ。その夜私は今日学んだことを日記に書きとめながら、ふと夏休み前に仲たがいした友達のことを思い出した。彼女とは口をきかないまま夏休みを迎えてしまった。あの時意地を張らずにもっとお互いに話をしていれば……。そうだ、帰ったらすぐ自分から話をしよう。そう思うと何だか心の重荷が軽くなった気がした。その時ドアをノックする音がして、ダーク星で一番に友達になったシー達十数人が入ってきた。「みんなに地球の話を聞かせて」そう頼まれた私は地球を出発する前家族で撮った写真を見せることにした。それは琵琶湖で撮ったのだが、ちょうど散歩中、比叡山に虹がかかったところを写真に収めることができたのだ。「わぁ何これ。きれい。あなたが描いたの?」私は今まで気づかなかったがダーク星の人は虹はもちろん山も湖も生まれて初めて見るものばかりだったのだ。そこで私は地球の歴史から説明し始めた。火の玉だった地球が冷えて雨が降り、海ができたこと。植物が生まれ、植物の光合成のおかげで酸素ができ、生き物が生まれたこと、また虹は雨と光によるなかなか見ることが出来ない自然の現象であること。話し終えるとただただみんなは感動して写真に食いつかんばかりだった。
「地球ってあなた達を守る大きな家のようなものなのね。」
 私はその言葉にはっとした。『地球があるから私達がいる。』言われるまでそんな当たり前のことに気づきもしなかったのだ。
 楽しかった一週間はあっという間に過ぎた。別れる前私は言った。
「私はここで大切なものをたくさん学んだわ。地球に帰ったらぜひ実行したいと思ってる。ありがとう。」
 するとシーも言った。
「私達も宇宙にこんなステキな星があることを知って嬉しかった。」
 私達は今度は必ず地球で会うことを約束し、私はダーク星を後にした。レポートに書く内容はもうしっかり決まっている。一つは自分が生まれた地球が宇宙の中でもかけがえのないすばらしい星であること。もう一つはダーク星で学んだコミュニケーションの大切さ。中でも特に大切なのは相手の意見を尊重し、それを受け入れる心のゆとりをもつことだ。私達は言葉を話せるのに、ともすると自分の意見ばかり主張しがちで、都合の悪いことには耳を塞いでしまう。相手の話に耳を傾けることによって、お互いにもっとわかりあえることは多くなる。それが実現すれば、地球はますますすばらしい星となるだろう。水や緑、私達の温かい心。そんな地球の姿をダーク星の人に見てもらえたら……。残念ながら空に架かる虹は見ることができないかもしれない。でも虹は確かに架かっている。地球の人々とダーク星の人々の心の架け橋となって。


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