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21年度開催結果


2009年 作文の部<中学生部門>入賞作品
宇宙航空研究開発機構理事長賞

「私たちの未来」
東京都 府中市立府中第一中学校3年生  照井 凱大
 
「はあ。」
と私はため息をついた。漆黒の闇の中を進む宇宙船に私はいる。後方には無数の星があり、その中で大きく、よく見える星が我々の住む星、太陽系第三惑星だ。この星に我々が誕生してから四百十万年になり、五千年ほど前から急速に文明を発展させ、我々にとっては住みやすい環境をつくりあげた。しかし、それに伴って問題も発生している。資源の問題だ。我々は生きるために、この星の資源をずいぶん使っていて、今それがあと数百年で尽きてしまうといわれている。資源を確保しようといろんな場所で戦争が起こっていて、我々も資源のある星、または我々が移住できる星を探すために今こうしている訳であり、私はその隊長をしているのである。
 ――しかしこのままでいいのだろうか。これからの我々のためにここの探索は重要だ。それはわかっている。だが本当にこれでいいのか。我々の進むべき道はこれで正しいのだろうか。
「まもなく到着します。」
と、隊員が言った。
 我々の行く星――今回探索するこの太陽系の星は、生命、それも知的生命体の痕跡が何度か発見されている。水もあったようだ。何百万年か前に気候変動によって環境が悪化し、生物が絶滅してから大気もなくなったらしい。
 無事に着陸しこの星のことを船内から調べると、やはり大気はなく、重力は我々の星の三倍だそうだ。宇宙服に着がえてこの星に降り立つと、たしかに重力が強く、慣れるのに時間がかかった。
「それでは探索を始める。A班は向こう、B班は私と一緒に向こうを探索だ。」
 辺りは砂漠と化していて、殺風景だが、足もとを見ると、金属やガラスがあちらこちらに落ちている。そのまま探索を続けていると、A班から無線で連絡がきた。 「箱のようなものが見つかりました。」
 急いで行くと、そこには二辺二メートルほどの金属でできた立方体が砂に埋もれていた。上面に何か彫ってある。船内にそれを運んで翻訳機を使うと、「末来の他の星の者たちへ」とあるようだ。箱にはふたがついていて、外から中を調べてみて安全そうなので、開けてみると、中には画面のついた機械が大切に保管されていた。なんとかそれを起動させると、この星の知的生命体の文化や発展を表す文章やグラフがでてきた。我々の文明とさほど変わりないようだ。その中に私は「未来の他の星の者たちへ」という題のメッセージをみつけた。
『  末来の星の者たちへ
 この星の私たち人類は繁栄するためにたくさんのことを研究し、住みやすい世界をつくってきた。しかし私たちは身勝手で自分達以外の事を考えなかったため、この星の資源を使い尽くし、戦争をし、差別、核、温暖化等の問題を抱えた。それでもまだ私利私欲に走り、この星の気候はどんどん悪化していった。さらに水星という星が隕石で破壊されたことによって私たちは甚大な被害をうけ、あと数年で私たちは滅びるだろう。そこで私たちの願いを聞いてほしい。もしこれを読む者が星に住んでいるなら、その星のことを大切にしてほしい。そして今抱えている問題を先送りにしないで解決できるよう努力してほしい。私たちができることは後世に私たちと同じ過ちを繰り返させないことだ。私たちの願いを読んで行動しなければ、いずれあなた達も滅ぶだろう。大切なことは自分のことだけ考えるのではなく、協力し、思いやりの心を持つことだ。
 私たちの思いが少しでも伝わることを願う。
                         ――この星の人類 』
 これを読み終えた瞬間、私ははっとした。自分の心にあったもやもやが一気に晴れたようだった。そうだ、我々はこのままではいけない。先人達の言うように、資源を探したり、移住したりすることで問題から逃げてはいけない。我々の起こした問題だ。我々が自分で解決しないでどうする。
「さぁ急いで帰るぞ。このメッセージを我々の星にも伝えなければ。」
「しかし……まだ探索予定が……」
 隊員の一人が言った。
「そんなことはどうでもいい。我々は今すぐにでも問題に立ち向かうべきなんだ。ぐずぐずしてはいられない。」
 私は大きな声で言った。隊員達も分かってくれたようで、すぐに準備し、この星を後にした。(ありがとう先人達よ。我々の誤りを正してくれて。私はこのメッセージを伝え、協力して我々の星を大切にしていきたいと思う。)と私の心に強い決意がみなぎった。
 こうして我々は、自らの星に帰っていくのだった。太陽系第三惑星「火星」へ。

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