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20年度開催結果


2008年 作文の部<中学生部門>入賞作品
宇宙航空研究開発機構理事長賞

「海王星の宇宙ステーション」
三木学園白陵中学校2年生  林田 優毅
 
 今は二十五世紀。人類の科学力がもの凄く進歩した時代だ。この世界では、宇宙に行くことがあたりまえのようになっており、宇宙ステーションに住んでいる人も多数存在する。さらにそこで働いている人もたくさんいる。なぜそんなことが出来ようになったかというと、一つぶで一食分の栄養が簡単にとれる宇宙食の開発や、近くの星にある物質をエネルギーに変える装置等が作れたからだ。そんな中、僕は海王星の周りを回っている宇宙ステーションで働いている。ここには約三千の人が住んで働いている。僕の仕事は電波の受信、送信の係だ。メンバーは三人で、一日八時間ずつやっている。仕事はいたって簡単で宇宙ステーション中の電波を集めて一時間ごとにまとめて地球に送ったり、地球から来た電波をあて先の人に流したりするだけだ。この宇宙ステーションの郵便局みたいなものだ。しかも、電波の受信、送信はコンピューターが全自動でやってくれるので、勤務中はコンピュータールームにいるだけで良い。いままで仕事らしい仕事をしたのは一度だけで、システムのエラーを解じょするだけの簡単なものだった。
 ある日、いつも通りにコンピュータールームのふかふかの椅子の上でうとうとしていたら、突然一通のメールを受信した。まだ地球から送られてくる時間じゃないのになんだろう? と不審に思いながらそのメールの内容を確認してみると、
「タスケテ、タスケテ」
と書かれてあった。初めは他の宇宙ステーションのいたずらメールかと思ったが、何回も何回も送られてくるので、さすがにおかしいと思って送信先を調べてみると、なんと海王星からだ。これは世紀の大発見かもしれないと思い、急いで宇宙服を着て海王星に向かって出発した。海王星で生命活動をしているものは見つかっていないからだ。宇宙船の中で高圧スーツに着替え、酸素ボンベを満たんにして海王星に着くのを待った。  三十分程して海王星に着いた。急いで宇宙船を降りて、高精度の電波探知機を持ち、電波を発する謎の生物探しを始めた。するとほどなく電波探知機が反応し、位置を特定することができた。その場所へ行ってみると、マリモみたいな丸い毛むくじゃらの、植物か動物か分からないちんちくりんな生物がいた。
(これは一体何なんだ?)
と考えたら、頭の中で、
(僕たちはこの海王星で唯一生命を持ったものだよ。)
という声がした。さらに続けて、
(僕たち感情や思っていることを電波で相手に伝えることができて、相手の感情や思っていることを読みとることができるんだ。)
 何と目の前のマリモがそういう能力を持っていたのだ。少し頭が混乱したが、思い切って
(なぜ、あなた達は僕に向かって「タスケテ」と送ったのですか?)
と頭の中でたずねてみた。すると、
(僕たちは水素をエネルギーとして体に取り込み生きているんだ。だけど宇宙ステーションがここに来てから、大気が薄くなって生きることが難しくなっているんだ。)
と言ってきた。僕はすぐに、
(どうゆうこと?)
と聴き返した。何で大気が薄くなったか分からなかったからだ。マリモみたいな生物は
(何で宇宙ステーションがエネルギーを出し続けることができるのか知らないの? それはね、人間が開発した海王星の大気をエネルギーに変える装置があるからなんだよ。だから僕達の星の大気がどんどん無くなっていって僕達は生きることが困難になるんだ。このままじゃ絶滅してしまうから、あなたのいる宇宙ステーションに「タスケテ」と送ったんだ。)
 僕はこれを聴いた瞬間、世紀の大発見のことなんかどうでも良くなった。ただ人類が宇宙に行くだけで色々な命が失われているという事実を知った。このマリモたちは最も大事なことを教えてくれたのだった。
 海王星から宇宙ステーションに戻った後、すぐに僕は転職し、宇宙の自然を守ることをテーマとした組合に入りました。今までと比べものにならない程、忙しいけれど、あのマリモ達の言葉を胸に、今日も仕事にはげんでいます。


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