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18年度開催結果


2006年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

「三色菫」
江別市立大麻中学校3年生  三好 奈央
 
 西暦二千二十年。地球は他の星との外交により、高度な科学技術を身につけていた。
 私はスメラ星人のイラ。スメラは地球と外交している星の一つだ。スメラ人と地球人、見ためにたいした差はない。ただ地球人の方が少し色素が濃い。それ以外の差はあまり見られない気がする。まあ、もちろん言葉は違うし、DNAレベルで見ればもっと違いがあると思うけれども。
 私は今地球に来ている。もっと言えば地球に来て世界各地を旅している。
 アメリカ・フランス・イギリス・ベルギー・イタリア等を旅して、残すのは、中国・日本等のアジアだけだ。
 「そろそろ時間だから、飛行機に乗りましょっか。」
 そう言ってチケットを渡してくれたのは、私の唯一の地球人の友達にして、今回の旅の仲間、源雪代。日本人で高校二年生らしい。
 このイタリアの空港にも大量のマスコミがいた。私達二人は、笑顔でやりすごしながら飛行機(チャーター)に乗りこんだ。
 この時を待っていたのか、雪代が堰を切ったようにしゃべりだした。
「本当にもう疲れちゃうよね。どこに行ってもマスコミばっかりでさ。イラは、確かにめったにやって来ない宇宙人で、各国の要人とも会ってるけれど、たんなる旅行に来ただけなのにさ。」
「確かに、飛行機の中ぐらいだよね、気を抜いていられるの。」
 もちろんこの間の会話は、おたがい母国語だ。同時翻訳機を使っているから会話に支障は無い。
「イラが帰るまで後一週間か。早かったなぁ。そう言えば私、四ヶ月近く一緒にいて、大切なこと聞いてなかった。」
「何? 大切なことって。」
「うん。スメラについて。ねえ、教えてどんな星なのか。」
 雪代は好奇心に顔を輝かせて聞いてきた。
「そうだなぁ。一年が三百七十日で、月が二個有り、宗教・言葉が違えど、一つの政府によりまとめられてる星。自然が豊かで、特に空の青と海の青が綺麗な星。そして、科学が進歩しているけれども、自然の美しさ・偉大さを守るために全力を注いでる星。こんな感じかな。」
 私は一気に言うと雪代の様子をうかがった。
 雪代は、難しい顔をしていた。
「どうしたの?」
「いや、なんか今の『科学が進歩してるけれども』のあたりに違和感が。気のせいだよね?」
 ドキリとした。でも、そんなのバレないように笑顔でうなずく。
 「ところで、今度は地球紹介の番だよ。雪代からの紹介が聞きたい。」
 私はムリに話題を変えた。
「地球紹介か。一年三百六十五日有り、世界が約百九十ヶ国に分かれている星。科学の進歩により、車が空を飛び、IT社会の発展により、生活が楽になった星……。でも、実は国の間の貧富の差は広がり、森林は乱開発され、国・民族・宗教間の争いが絶えない星。進歩した科学で核兵器を作っちゃう星。」
 私はギョッとした。雪代は異星人に話してはいけない話をしている。
 雪代は苦笑を浮かべながら続けた。
「びっくりした? でもこれが本当のこと。イラにこんな話をしたってしょうがないのにね。ごめん。」
 そう言うと晴れやかに笑った。
 その顔を見て私も決心した。
「ねぇ、私の一人言だと思って聞いて。昔々とある星の話です。その星は国同士の争いが絶えず、どの国も強力な兵器を持ちたがりました。そして、とうとう世界大戦が起こりました。そのせいで地上に人が住めなくなり、地下に住むようになりました。もちろん動植物も持ちこみましたが、必要最低限の量だけです。人々はこの状況を悲しみ、反省しました。現在人々は、自然を守って生活しています。」
 今度は雪代がギョッとする番だった。
「もしかして、それはスメラの……?」
「フフ、だから私達の色素は薄いのよ。ねぇ約束して、この地球をスメラのようにはしないって。次の世代のあなたが約束して。」
 雪代は真剣な顔でうなずき「約束する。」と宣言した。
 この後はいつもの二人に戻った。飛行機の着いた先は、なんと南の島。雪代のマスコミをまくためのサプライズだ。
 最終日。雪代は私に果樹の苗と大量の三色菫の種をくれた。三色菫の花言葉は『私を忘れないで』『心の平和』私達の友情と約束の証だ。地上に三色菫を咲かせると誓った。


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