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18年度開催結果


2006年 作文の部<中学生部門>入賞作品
日本科学未来館館長賞

「私の大好きなパピッチ星」
奈良市立伏見中学校1年生  猪川 真琴
 
 「きれいね。」「パピッチ星より大きいね。」「海が多いなぁ。」青い地球が見えてきた。ワクワクする。一緒にいる家族も興奮している。地球はどんな所だろう。楽しみだ。今、地球ではロボット博が開催されている。そのイベントの一つとして子供ロボットコンクールがあり、私も応募したら、私がパピッチ星代表として出場できることになった。だから、応援をかねて家族も一緒に地球へ来たのだ。
 コンクールの前日、会場で私がパピ(私のロボット)の調整をしていると、同じ位の年の女の子が「かわいいロボットね。私はエコ。地球代表よ。」と話しかけてきた。私はマコ。パピッチ星代表だと答えると「パピッチ星? 高度な技術が必要なことで有名な全宇宙レスキューロボット隊コンクールで、十年連続優勝している星でしょ。すごいわね。でもさ、パピッチ星を山と湖の美しい癒しの星と宣伝しているのをよく見るのよ。ロボット技術宇宙一の星というイメージと違うのよね。どんな星なの?」エコに聞かれるまま私は答えた。
 パピッチ星はどこも自然がきれいだ。心の安らぐ宇宙一美しい星と言われ続けていられるよう、美しい自然を保つために色々努力している。例えば、落ちているゴミ五個と消しゴム一個交換というような制度を充実させたり、毎日ロボットに山の手入れをさせたりしている。建物は全部木造で、周りの景色にとけこむようなデザインのものしかない。宇宙一美しいと言われ、色々な星から観光客がたくさんやってくるキラ湖は、蝶の形の湖で、天候や時間によって湖面の色が七色に変わる。満月の晩は湖底の石が月光に反射してキラキラ輝き宝石でできた大きな蝶のように見える。パピッチ星は人口が少ないということもあって、ロボットと人間はとても仲が良い。どの家庭にも、運搬・家事・修理・医療を担当するロボットがいて、ロボットに名前をつけ家族のように暮らしている。私の家では運搬ロボットを力(リキ)、修理ロボットを元(ゲン)と呼んでいる。力(リキ)は荷物を運ぶだけでなく、人も乗せられる。地球の車のようには速く走れないがとても安全だ。急ぐ時は高速で空を飛ぶこともできる。元(ゲン)は、小物・電化製品・家・ロボット・何でも修理できるので、私の家の大部分の物は私が生まれる前からある。何百年も使われている物さえある。乱暴に扱ってこわすと、元(ゲン)に叱られる。
「えー。ロボットは人間の言う通りに動くだけじゃないの?」エコが驚いたので、逆に私が驚いた。「じゃあ、もし人間がロボットに悪いことを命令したら大変な事にならない? それに、元(ゲン)は怒ると怖いけど、普段は優しいよ。どのロボットもちゃんとロボット三原則を守るようにできているし。」私の言葉にエコは、さすがロボコン十連勝の星だと素直に感心してくれた。私は自分がほめられたみたいに嬉しくなった。私達はとても気が合った。色々話しているうちに喉が渇いたので、エコと飲み物を買いに行き、私は初めて自動販売機を見た。感心しているとエコに驚かれた。
「えー。自販機がないの? めっちゃ不便!」
エコの勢いに押されて私の星は不便なんだと思い始めた時、「いつもどうしてたん?」とエコに聞かれ気がついた。家事ロボットの福(フク)が常に在庫をチェックしてちょうどよく買い物をしておいてくれるので、必要な物は必ずある。外出先からでも携帯端末で必要な物を連絡すると、力(リキ)が届けてくれる。だから、自動販売機はなくても困らない。エコは、また感心してくれた。「自然もロボットも宇宙一なんてすごい星ね。それならどんな病気でも治せそうね。」私の星では、常に最新情報を取り込んでいる医療ロボットが各家庭にいて、けがや病気の治療をする。ほとんど治るのだが治らない時もある。エコに病院はないのかと聞かれ、「ただでさえ病気で苦しいのに病院まで行くなんてしんどくない?」と答えたら、エコは「家で治らなくて死ぬよりは、しんどくても病院に行って治した方がいいんじゃない?」と言う。たしかにエコの言う通り、病院で専門の知識を持った人が特別な設備と最高の技術で治療すれば治る人がもっと増えるはずだ。私の祖母だって、病院で胆管の中に極小ロボットを入れてよくない部分をとり除くという手術ができたら、今でも生きていられたと思う。
 明日はコンクールだ。今日調整した所がうまく動くか少し心配だけど、がんばろう。他の出場者のロボットはどんなだろう? 宇宙開発ロボットや深海探査ロボット・宇宙最小ロボットなど普段見ることのできない物をたくさん展示しているというロボット博も、楽しみだ。エコに地球を案内してもらう約束もした。色々見たり聞いたりして、私の星の長所や短所をもっと知りたい。そして私達の生活がもっと楽しく幸せになるよう工夫したい。私は私の星パピッチ星が大好きだし、パピッチ星のあるこの宇宙とそこに住む人達が大好きだ。


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