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17年度開催結果


2005年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

「十二歳の私へ」
つくば市立大穂中学校1年生  飯村 桃子
 
  拝啓、十二歳の私へ
 今、あなたはどんな気持ちでこの手紙を読んでいるのだろうか。宇宙について、どう思っているのだろうか。私は、あなたの以前からの夢だった「作家」という職業についている。そして今、世の中は急激に進歩して、宇宙への関心も高まっている。
 宇宙に生命体がいるとわかってから早十年。UFOの謎も、発見された生命体「マスドット・リバー」の協力によって、解明されようとしている。しかし、ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。マスドット・リバーの侵略から起きた戦争まであったのだ。
 すべての始まりは、マスドット・リバーの発見。そう、十年前のあの日からだった。
 -『謎の生命体発見!水星と金星の間にある小さな星、それはリバー星!?』-
 地球上に衝撃が走った。
「えー、こちらが今回発見された、マスドット・リバーさんです。発見されたリバー星は、地球によく似ており、まるで縮小版のようです。言語は、人類の隠れた能力を引き出す作用があり、自然に言葉が通じるようです。」
「$#、&%!?*@~“@#!。」
「うそっ!わかる。こんにちは、我々はあなた達と仲良くしたいです。って言ってる。」
 その日から人類とリバーは、その言葉通りどんどん仲良くなっていった。リバーはとてもいい生命体だった。最初のうちは……。
 大勢のリバーが地球に来るようになったその頃、リバーの態度が一変した。
 “バーン、バーン!!”
 「キャー!!」
 毎日のようにどこかで聞こえるものすごい爆音。それは、リバーが作った、一瞬にして何人もの命を消してしまう放射能爆弾が爆発した音だった。そう、リバーは地球を征服しようとしたのだ!!
 バタバタと人が死んでいく。「だまされた……。」そう思った時は、もう後の祭りだった。人は皆、リバーを憎み、もう終わりだと思った。しかし、リバーは地球を征服できなかった。
 「なぜだろう?」きっとあなたもそう思ったに違いない。その時、一人の男の子の行動が、この地球を救ってくれたのだ。  -突然爆音が止んだ。人々は、放射能から身を守るため、バリアーを張った『生命のタワー』に集結していた。そのガラス張りの部屋の外に、大勢のリバーが見える。どうしたのだろう? リバー達の様子がおかしい。頭をかかえてうずくまっている。よく見ると、リバーの頭を緑色のものがおおっている。
 「コケ」だ! 放射能の中で毒ゴケに変化したものが、リバーの頭をおおっている。リバーの体は、ジメジメしたコケが生えるのには絶好の場所だったのだ。次々とリバーが倒れていく。
 “チャンスだ!”人々はそう思ったに違いない。だれかが叫んだ。
 「今だ! リバーを殺っちまえ!」
 人類の怒りは最高潮に達していた。叫びの渦が巻き上がる。一人の男が前へ進み出た。手には強力な銃を握っている。毒で弱ったリバーを殺そうとしているのだ。次々と人々が後に続く。それはまるで獲物に群がるライオンのようだった。
 その時、運命の瞬間が訪れた。一人の男の子が、ゆっくりと前に出たのだ。手にはコップが握りしめられ、その中には薬草を煎じたお茶が入っていた。男の子は震えながらリバーに言った。
 「大丈夫? これ、毒消しのお茶だよ。」
 大人達は、ポカンとしてその光景を見ていた。男の子が差し出したお茶を飲んだリバーは復活した。けれどその姿は、もう恐ろしい敵ではなくなっていた。
 男の子の恐怖をも超えた純粋な思いやりの心と優しさ、そして勇気が、リバーだけではなく、大人達の醜い心を消したのだ。空には虹がかかっていた。――
 それからは本当の協力が始まった。リバー達の力も加わり、街はアッという間に復興した。今、あの男の子はどうしているのだろう。純粋な心を持ち続けているだろうか。
 今の私にできることは、時を逆上って、十二歳の私に大切なメッセージを送ることだ。これから先、どんなことにあっても、未来からのこのメッセージを忘れないでほしい。必ず、よい未来がやってくることを信じて。
 『人は、人としての感情を忘れてはいけない。一人の男の子の思いやりの心と優しさ、そして勇気が、虹と共にあなたの心に残ることを願っている。どんなにつらい時でもこの事を思い出してほしい。』
 二〇五五年 平和宇宙記念日に
           五十年後の私より


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