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17年度開催結果


2005年 作文の部<小学生部門>入賞作品
日本科学未来館館長賞

「五億年前の地球人」
倉敷市立富田小学校5年生  兼信 遥里
 
  ある八月の夜。暑苦しくて、私は目が覚めた。ふと、窓の外が緑色に光ったように見えた。そっと窓を開けてみると、外の空き地には、見たこともない、光る物体と動く物が見えた。好奇心から、私は外に出てみた。戸が閉まる音に気づいて、その動いていた物が私の方に寄って来た。
「あっ。」
  それは、私たち人間と同じような姿をしていたが、皮ふはすごくうすくて、もう体の内部がすけて見えるようだった。一目で、私たち地球人とは別の生物であると分かった。三人いた。
「×○□※☆×」
  何かしゃべっているが、私にはさっぱり分からない。ポカンと開けている私の口に、一人が何か放りこんだ。おえー。それは、すぐに溶けた。口の中に、ハッカの香りが広がった。
「何するの。」としゃべったつもりの私の言葉は、「×○☆」と奇妙な音になって、相手にとどいた。彼らは、口々に、説明した。
「心配しなくても、大丈夫。今、口に入れたのは、通訳ハッカキャンディーだよ。」
「これをなめると、言葉が通じるんだよ。」
「私たちは、五億年前まで、地球に住んでいたんです。長い宇宙の旅の後、今夜やっと地球に帰って来たんです。」
  私は、びっくりした。五億年前に、地球に人がいたなんて、聞いたことがない。
「あなたたちは、五億年も生きているの。」
「いいえ。千年くらいです。五億年前に地球に住んでいたのは、私たちのご先ぞ様です。」
「どうして地球から出て行ったの。」
「彼らは、今の地球人よりもっと高度な技術を持っていました。宇宙空間でこきゅうに困らない宇宙服などもあり、宇宙には自由に出て行けました。でも、かんじんの地球に大問題が起こりました。オゾンそうのあちこちに穴があいて、人々は皮ふガンになって、どんどん死んでいきました。その上、地球は温だん化していって住めなくなりました。それで、地球を捨てて、住める星を求めて旅立ったのです。」
  私は、ゾッとした。五億年前の人たちが、今の私たちと同じ問題を持っていたのだ。
「それで、住める星はみつかったの。」
「まず、彼らは、火星に行きました。その時は、火星にも火星人による高度な文明社会があり、彼らは、火星人と仲よくくらしていました。しかし、火星でも、かんきょうをはかいしてしまい、火星を追い出されました。結局、火星はその後、今のような星になってしまいました。」
  五億年前の地球人は、二つの星をダメにしたのだ。
「それからどうしたの。」
「地球に似た星をさがして、あっちの星、こっちの星と飛んでいきました。ずっと宇宙船の中にいたので、外気から守る皮ふは、強い必要がなくなり、こんなにすけてしまいました。火星を出発してからの四億年の間、ずっとさがし続けたけれど、いろんな星に住んでみたけれど、この広い宇宙の中に、地球に似た星は一つも見つかりませんでした。それで、私たちは、地球に帰って来ることに決めました。私たちのコンピューターが、五億年もたてば、地球のかんきょうは良くなっていると教えてくれました。」
  あー、何てことだ。その地球のかんきょうを、現代の地球人が再びはかいしかかっているとは、彼らのコンピューターも計算できなかったらしい。
「あのー、言いにくいんだけど、今の地球も。」
「分かっています。かんきょうがはかいされかかっているのですね。でも、私たちはもうにげません。私たちは地球を守るためにがんばってみたいのです。」
「実は、私たちの仲間は、もう何万人も地球に帰って来ています。十日くらい地球にいれば、皮ふは再びあつくなり、現代人と見分けはつかなくなります。」
「さあ、私たちも、いろいろ準備することがあります。もう移動します。さようなら。」
「五億年の旅の記録が入った、メモリーペンダントをプレゼントしましょう。またいつか、会いましょう。」
  朝、目覚めた私は、七色に輝くペンダントを首にかけていた。夢ではなかった。彼らがまた私の前に現われて、メモリーペンダントの記録を画面に写してくれるのを楽しみにしている。それにしても、宇宙はこんなに広いのに、地球に代わる星は一つもなかったなんて、おどろきだ。彼らの話は過去の話だけど、未来の話のようでもある。私は、この地球をもっと大事にしなければと強く思った。この宇宙の中で、私が住める星は、地球だけなのだから。


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