「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

16年度開催結果


2004年 作文の部<小学生部門>入賞作品
宇宙航空研究開発機構理事長賞

「スペース・ミュージック・フェスティバル」
本荘市立南中学校1年生  佐藤華純
 
  私の名前はカスミ。中学校の吹奏楽部でホルンを担当している。部活で仲良しのナツミはトランペット、ジュンはトロンボーン、ショウはチューバを担当しているので、四人で金管四重奏の練習もしている。グループ名はビートリンズ。時々ミニコンサートを開いたりしている。
 そんな私たちビートリンズに、一通の手紙が届いた。そこには次のように書かれていた。
 「ビートリンズの皆さんこんにちは。突然の手紙でビックリしたでしょう。皆さんを、土星で行われるスペース・ミュージック・フェスティバルにご招待します。皆さんご存じのとおり、宇宙にはたくさんの仲間が住んでいますが、それぞれ言葉も歴史も文明もちがうので、これまでなかなか交流ができないでいました。しかし、私たち『宇宙交流事業団』がいろいろ調べてみたところ、宇宙の仲間には、一つの共通点があることが分かりました。それは音楽です。宇宙のそれぞれの星には表現方法に多少ちがいがあるものの、必ず音楽というものが存在していたのです。そこで、音楽を通じて交流するために、このフェスティバルを企画しました。あなたたちビートリンズは、地球の代表です。くちびるの振動で音を出す楽器は地球の金管楽器だけなので、あなたたちが代表に選ばれました。ぜひ、宇宙の皆さんに、金管四重奏を聴かせてください。また、フェスティバルの最後に、参加者全員で交響曲「大宇宙」という曲を演奏します。その楽譜も同封しましたので、練習してきてください。それでは当日お会いできることを楽しみにしています。」
 本当にビックリした。私たちが地球の代表になるなんて。しかも宇宙のいろいろな友達と交流できる。私たちは、それから三か月、金管四重奏と交響曲「大宇宙」の猛練習をして、土星へと向かった。
 土星のフェスティバル会場には、五千人以上の人が集まっていた。それぞれの星の代表の人たちが、プログラムに沿って順番に演奏を始めた。クラリン星の演奏団は、自分たちの背中に生えている羽をこすり合わせて、鈴虫のような音楽を披露した。フルトン星の子ども達は、巨大マンモスの皮を張り合わせて作った打楽器を演奏した。ギターン星のソロ歌手は、ソロといいながら一人で口を四つももっているので、それぞれの口が音程を変え合唱を行った。サクソー星の大合唱団は、直径三十センチメートルもある大きな口を開けて、すごい音量の合唱を聴かせてくれた。
 そしていよいよ私たちの番になった。私たちの曲は金管四重奏「アリア舞曲」。金管楽器は地球にしかない楽器ということで、みんな興味をもって聴いてくれた。特訓の成果が表れて、きれいな音を出すことができた。終わった後、大きな拍手をもらった。ステージを降りると、たくさんの人に楽器のつくりや音の出し方を質問され、汗だくになって説明した。
 いろいろな星のいろいろな音楽を堪能したあと、最後に全員で交響曲「大宇宙」を演奏することになった。楽譜はもらっていたが、自分たちのパートしか練習していないし、聴いたこともない。どんな音楽になるのだろう。私はドキドキしながらホルンを手にした。
 第一楽章は、宇宙の始まりを表している。ビックバンの大音響で始まり、宇宙の広がりを表現している。バオリン星の、重低音ベースに圧倒された。第二楽章は、星の誕生を表している。いろいろな音がぶつかり合い、結びつき合って、一つの曲が形作られていった。第三楽章は、星の輝きを表している。私たちの金管楽器がこの部分のメインになっていた。
 そして、最後の第四楽章は生命の誕生と発展である。すべての星のすべての楽器、すべての声がここで一つになった。何という音量、何というハーモニーだろう。宇宙の音がここで融合し、新しい音を作り上げている。私はホルンを吹きながら、体の震えが止まらなかった。そして涙があふれてきた。これが、これこそが、宇宙の絆なんだと思った。
 スペース・ミュージック・フェスティバルは、大きな大きな拍手の中で終了した。私は音楽をやっていて本当によかったと思う。そして、この感動を地球の人々に伝えることが自分の新しい仕事であると思った。音楽のもつ力はこれから宇宙の未来を明るく照らしていくことだろう。


もどる