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16年度開催結果


2004年 作文の部<小学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

「今日は楽しい銀河オリンピック」
香川大学教育学部附属高松小学校4年生  前田健吾
 
 今年は四年に一度の銀河オリンピックが開さいされる。銀河オリンピックとは、いわゆる地球のオリ ンピックににたスポーツの祭典だ。サッカー、野球、テニス、バレーボール、じゅう道、マラソン、競泳……。ぼくは競泳が大好きだ。なぜならぼく自身が競泳の選手だからだ。それに水の中を泳ぐのはとても気持ちがいいし、とくに海の中にいると、地球の大きさを感じることができて最高だ。
 というわけで、ぼくは銀河オリンピックの競泳の会場「ギャラクシープール」に向かった。
 この競泳に出場できるのは、水のある星から来た選手たちである。今のところ、地球人、火星人、エウロパ人ということだ。
 コースは三コース。プールの長さは千メートル。競ぎの方法はとてもかんたん。スタートから八百メートル地点までまっすぐ進む。残り二百メートルになると逆流の波が来る。そこをクリアすると落差十メートルの滝が待っている。この滝を一番早くくぐった者が勝ちである。
 ここで各星(ほし)の代表選手をしょうかいしておこう。
 第一コースは火星からやって来た火星人、「タコクラゲ」。吸盤を持つ長い八本の足が自まんのようだ。
 第二コースはわれらが地球人のホープ「南島こうすけ」。ちなみに南島はアテネオリンピックで優勝し、銀河オリンピックへの出場権を得た地球でのメダリストなのである。
 第三コースは木星のえい星エウロパからやって来たエウロパ人「カキオネ」。深海での泳ぎを得意としているらしい。ちなみに地球にはクリオネというカキオネによくにたまき貝がいる。羽を広げた姿から「流氷の天使」といわれている。
 いよいよスタートだ。選手たちが現れて、めいめいじゅんび体そうをしている。みんな少し緊張しているようだ。南島が大きく深呼吸するのが見えた。
 そして整列の合図が鳴った。
「ピーッ。」
「バーン!!!」
 地ひびきがした。レースは始まった。地球からおうえんに来ている人はメガホンを使って大声を出したり、たいこやラッパをパフパフ鳴らしたりしている。火星から来たタコたちは、手をつないでウェーブをくり返している。エウロパからきた天使たちはプールの底をうつしだすモニター画面にくぎづけである。
 最初に飛び出したのはタコクラゲ。赤い体を伸ばしたりちぢめたりしながら前へ進んでいく。さすが全身きん肉だ。おっとカキオネが姿を現さない。そうだった。カキオネはプールの底を一気に進む。息つぎは一度もしないはずだ。ぼくは少し心配になってモニター画面をのぞきこんだ。体は小さくて、二センチメートルぐらいしかないが、ひらひらとゆうがに泳いでいる。やっぱり天使だ。
 地球のメダリスト南島は得意の平泳ぎである。何と美しいフォームだろう。しかし油断は禁物だ。カキオネが信じられないほどのスピードで南島にせまっている。気がつくとぼくは手をかたくにぎりしめていた。
 いよいよ逆流二百メートル地点。タコクラゲはまもなくゴールの滝だ。カキオネは逆流のえいきょうのないプールの底をひらひらと泳ぎ続けている。苦しい南島。がんばれ南島。
 南島が滝をくぐった! 続いてカキオネ。タコクラゲはまだ滝の前にいる。ここまではみんなタコクラゲの優勝だと思っていた。しかし勝負はま物だ。
 観客席からどよめきがあがった。タコクラゲが滝をくぐらなかったのだ。かんちがいしてしまったのだ。かわいそうに。タコクラゲはこの失敗におこってスミをはいた。会場はドッと笑いに包まれた。
 表彰式が始まった。ファンファーレが高らかに鳴った。メダルをくれるのは海の神様の「ネプチューン」だ。こしに青い布をまき、頭に金のかんむりをかぶっている。
 やがて会場はしずまり返った。
「三位、火星代表、タコクラゲ選手!」
 まだむっとした表情のままだった。
「二位、エウロパ代表、カキオネ選手!!」
 相変わらず天使のほほえみだった。
「優勝、地球代表、南島こうすけ選手!!!」
 とびっきりの笑顔だった。
 選手たちはおたがいの健とうをたたえあった。そしてまた四年後に会おうと約束した。ぼくも彼らに負けず、もっと強い競泳選手になろうと心にちかった。四年後が楽しみだ。


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