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16年度開催結果


2004年 作文の部<小学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙フォーラム理事長賞

「宇宙迷路フェスティバル」
八戸市立明治小学校6年生  熊野翔一
 
  「ピッ、ピッ、ピッ、ピーッ」
 静止衛星に接続されたロケット内に、電子音が鳴りひびき、ロケットが発射した。
 「さあ、始まりだ、全力で進もう!」
 みんなで声をかけ合い、ガッツポーズをした。
 今、ぼくはロケット『ミラクル号』に四人の仲間と乗っている。宇宙ビッグチャレンジフェスティバルに当選したからだ。メンバーは、ぼくと同じように当選したケン、ヒロ、ユウの地球人と火星からの当選者ダダの五人。
 このフェスティバルは、太陽系のわく星をポイントにして巨大迷路が作られている。決められたわく星を通過して、ゴールの地球まで無事にたどり着くと、メンバー全員に星を一つずつプレゼントされることになっている。星に自分の名前をつけられるなんてすごいことだ! 宇宙が大好きなぼくは、張りきった。
 あっという間に火星の入口に到着。早くも道が二つに分かれている。右はS、左はN。すぐにヒントが空間に映し出された。
『大穴・クレーター』
 すると、火星人のダダが
「ナンブニアル、ショウトツクレーターノコトダ。ココハ、Sノホウダ。」
 さすが、火星人! 自分の住む星にはくわしい。ロケットはSの方向に進んでいった。窓の外には、赤い砂漠が広がり、どんどん進んで行くと大きなクレーターがあった。その手前にまたヒントが映し出されている。
『青くて横だおしのわく星』
 目の前には左、右、上に道が三つに分かれている。左は地球へ、右は海王星へ、そして上には天王星へ続く入口だ。ここでみんなの意見が分かれてしまった。ケンは、
「青い星って言ったら絶対地球に決まってる。」
と言い張り、それに対してユウが、
 「確かに地球は青いけど横倒しって言ったら天王星だよ。天王星のことを以前に調べた時、『自転軸が公転面に対して九十八度もかたむいている』って書いてあったよ。」
と言い張った。ケンは、ふくれたように
「フン、えらそうに。」
とそっぽをむいてしまった。みんなは何となく二人の様子がまずいと思ったが、どっちとも言えずにだまっていた。そのとき、
「ケンガ、キメテクレ。マチガッタラ、マタモドレバ、イイサ。」
と、火星人のダダが言った。ケンは、ユウの答えが正しいと気づいたけれど、素直にそれを言えなかったのだ。だから、いつまでもすねてはいけないと思った。
「ユウ、ごめん。ぼくのは、ただのカンだから君の言う通り上の天王星へ進もう!」
 ケンのかけ声で、みんなはまたにっこりと笑顔になった。ロケットは、天王星に向かってどんどん進む。すると、とつ然ヒロの声!
「うわぁ!まぶしい!何?!この光は。」
 なんとものすごい数の星のかけらがキラキラとかがやきながら流れて行く。なんて美しいのだろう。宇宙って本当にすごいなぁ。
「あっ、あれが天王星だ!」
 ところが、ぼく達が到着したのはガスの中。降りようと思ってもこれでは降りられない。困っていると、またヒントが出現した。
『自転が逆・しゃく熱地ごく、ゴール近道』
 道は右に金星、左に太陽となっている。ここは全員なやんだ。だれもわからない。
「こうしててもしかたないよ。しゃく熱の太陽にレッツ、ゴーだ! 近道かも。」
 ぼくは、みんなに呼びかけた。
「とりあえず、行ってみよう。」
 どうなるかわからないけど、行けばきっと道が開けるはずだ。ロケットは大きく左に進路をとった。迷路は、くねくねと曲がりスピードが出せない。なんだか様子が変だ。すると道は行き止まりに。
「まちがえちゃったね。もどるしかないね。」
 がっくりしながらもどり始めた時、真上からいん石が通過して、ロケットはもう少しでぶつかるところだった。ものすごい圧力で下に押されて、ぼく達はどこに飛ばされたのかわからなくなった。が、窓の外には青い海のような……。緑の島のような……。ゴールのふだ。
「あれ? ここって地球じゃない?」
「本当だ! 生きてるよね? ぼく達……」
 ぼく達は、思いっきり大失敗をしてしまった。金星を通過しないでゴールへ真っさかさまにゴールしたなんて。
「すごい近道だったね。」
 そう言ってユウが笑い出したらみんなつられて大笑いになった。チャレンジは失敗したけど、ぼくはとてもうれしくて満足だった。だって、こんなに一つのことを目標にして、みんなで全力でがんばれたのだから。出会ったメンバー全員、またチャレンジすることを約束して強く手をにぎり合った。星はもらえなかったけれど、僕の心の中には『友情』の星がキラッと生まれた。


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