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15年度開催結果


2003年 作文の部<小学生部門>入賞作品
独立行政法人 航空宇宙技術研究所理事長賞

「地球と火星の絆」
釧路市立鳥取西小学校6年生  山本 華菜子
 
  「やっと見つけたよ。起きて。」不思議な声に、起こされた。ゆっくりと目を開けてみると、目の前には肌の赤い人間が私を見ていた。
「ここは火星。僕はマークス。君に火星を、救ってもらうためにここに来てもらった。」
「私が火星を救う?」頭の中がぐるぐるまわった。体が痛くて、夢じゃないと確信した。
 ここは大きなドームの中で、周りには小中学生が何十人もいて、火星人と共にいろいろな方向に向かって歩いていく。
 私はマークスに、「何をすればいい? どうして私を選んだの?」とたずねてみた。
 マークスは、「今から説明する。そろそろ、行こうか。」と言った。私はとてもどきどきした。自分にしかできない、大切な使命を果たす冒険がなぜか、始まる気がしたからだ。
 マークスは話し始めた。ここのドームは、地球人が火星に来て、最初に着く場所だ。そして、あなたが何をするために、来てもらったのかと言うと「そもそも火星は地球に、大きな影響を受けている。火星は地球の鏡のような星だ。最近、地球人は自分の星を大切にせず、好き勝手に生活している。そのため、火星人も火星を破壊していく。止めるには、あなたのような澄んだ心を内に持ち、未来を作っていく子供達の力が必要だ。火星を知り、鏡の塔で自分を見つめて変わらなければいけない。」私は火星と地球の関係に驚き、地球人のせいで火星がひどくなるなんて、ひどいと思った。私の力で火星を助けたいと思った。
 ドームを出ると、そこには火星の町が広がっていた。「ここは火星の都市、アリールだ。芸術などの娯楽がさかんだ。」マークスの言う通りだ。建物は丸やひし形、色は赤、黄、緑などで、見ると楽しくなる。音楽が鳴り響き、私はとってもうきうきし、心が弾んだ。
 私はマークスに、「火星は芸術以外には何がさかん?」と聞いた。マークスは、「農業、工業、たくさんある。火星はとても良い星だ。」と言った。私は、火星はすごいと感心した。
 アリールを出て角を曲がると、悲惨な光景が目の前に広がっていた。植物は刈り出され、動物がころがり、灰色の地面が広がっている。
「都市を出るとこんな土地がたくさんあり、ひどくなる一方だ。」マークスは哀しげに言い、私は情けない自分に腹が立った。火星と地球が苦しんでいるのに、自分の星でさえ何もしていなかった。私は絶対火星を救おうともっと強く決心した。私は、マークスに「使命を果たせば、火星はまたもとに戻るよ。」と元気づけると、「うん、あと少しで鏡の塔だ。がんばろう。」と反対に元気づけられた。
 少し歩くと、光り輝く大きな塔がそびえていた。ドームにいた子供達が、ぞくぞくと塔に入っていく。「あれが塔だ。さあ、入ろう。」私は緊張してどきどきした。中に入ると、壁が全部鏡で、誰かに見られている気がして、気味が悪いと思った。「ここでお別れだ。この部屋に入り、自分を変えろ。がんばれ。」と言って火星にそっくりな玉をくれた。私は、「今までありがとう。」と言うと、ポケットに玉を入れて、そっとドアを開けた。
 そこには大きな鏡があるだけで、なんとなく、鏡を見つめた。すると、鏡は普段の私を映し出した。地球の現状を先生が話していても、無関心な私。地球なんてどうでもいいと話す私。私は自分がこんなことをしていたなんて。地球も火星も苦しいのにと、とてもショックを受けた。鏡は地球を破壊する地球人、火星を破壊する火星人、他にも自分の星を破壊する宇宙人を映し出した。私は「火星だけではなく、地球は宇宙とつながっている。宇宙を救うには私が変わり、地球をまず、救わないといけない!」と思わず叫んだ。すると、鏡はもとの私になり、鏡の私は手まねきをした。おそるおそる鏡に手をふれると、鏡に吸いこまれるように中に入った。鏡の中は何もなく、心細くなった。でも地球に帰れる。そう信じ、「地球に帰ったら、地球を私が救うんだ!」と叫んだ。そうすれば帰れると思ったからだ。突然地面がゆれてはずれ、私はまっさかさまに落ちていった。恐くて目をつぶっていると、私は何かにトンとぶつかった。そっと目を開けてみると、私は自分の部屋に立っていた。
「やった! 地球に帰れた!」うれしくて、うれしくて、部屋をとびはねた。ふとポケットに手を入れると、火星の玉が光っていた。机の引き出しに、そっと玉をいれてしまった。
 私の長いようで短い旅はそうして終わった。私は火星へ行ったことで、多くのことを学び、かけがえのない思い出ができた。私が一番、学んだことは人も星も絆で結ばれ、助け合わなければいけない、ということだ。火星は地球の鏡であり、地球が悪い星になると宇宙のバランスがくずれてしまう。私は助け合いながら、地球を良い星にしていこうと思う。無理だと思う人もいるだろう。でもきっとできる。地球の未来を作っていくのは、私達なのだから。

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