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15年度開催結果


2003年 作文の部<小学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙フォーラム理事長賞

「火星からのメッセージが聞こえますか」
仙台市立吉成小学校3年生  鈴木 紗月
 
  ある夜、お母さんが本を読んでいました。「高村光太郎」という人が書いた本です。時々夜空をながめては、考えごとをしているよう。わたしはそっと聞いてみました。
「その本、そんなにおもしろい?」
 そしたらお母さん、
「これこれ、この『火星が出てゐる』っていう詩。宇宙の中の地球、そしてその地球に生きる人間のことを考えてしまったわ。そうそう今年の夏、火星がよく見えるんだってよ。十五年に一度地球に近づくらしいけど、こんなに近づくのは六万年ぶりだそうよ。次の大せっ近は、二二八七年だって。せっかくのチャンス、火星からも地球を見たいわね。」
と、子どもみたいにはしゃいで言いました。
「そういえば、あなたの名前ものっている火星たんさき『のぞみ』が、宇宙をとんでいるわね。来年には火星に着くみたいだけど。」
 そのばんのこと。わたしは、だれかにねているところをおこされました。
「わたし、火星人のコータと言います。」
「火星人! 火星人がわたしに何の用?」
「火星では、地球人に火星や宇宙のことを知ってもらいたく、テーマパーク『火星グリーンランド』を作ることになりました。今、火星が地球に一ばん近づく八月二七日十時オープンに向けて、じゅんびをしているところです。でもテーマパークを作るには、地球人の協力がひつようです。その時、ぐうぜん『のぞみ』を見ました。多くの名前の中で、"サツキ"あなたの名前が目に入ったのです。」
のぞみーー! わたしは、さっきお母さんが言っていた話の中身が見えてきました。
「なるほどね。それじゃ、わたしは何をお手伝いすればいいのかしら?」
 わたしのノリノリのへんじに、コータは安心した顔をしてこう言いました。
「火星と地球をむすぶ"親ぜん大使"になってください。そして、テーマパークのためにアドバイスもたくさんください。」
 その次の日から毎ばん、わたしはコータにUFOでむかえに来てもらって、火星に行きました。UFOの中で、私とコータはいろいろなことを話しました。
「ねえ、サツキ。地球人には『火星を地球のようにしょくぶつの生えたみどりの大地にする』という計画があるって知ってた?」
「知らない。そんなことができるの?」
「そのままじゃムリだよ。だって火星は平きん気おんがマイナス五八度という寒さだよ。しかも風は強いし、『ダストストーム』というすなあらしもあるんだぜ。むかしはあたたかくて海があったらしいんだけどね。そんなとこ、サツキはいられるかい?」
 わたしたちは、すぐ友だちになりました。わたしが首を横にふると、コータは、
「だから、ぼくたちが火星を地球のように作ったのさ。地球人がやる前にね。地球人に知ってもらいたいこと、見てもらいたいこと、考えてほしいことがたくさんあるからね。」
 わたしは毎ばん、みどりの大地に変身した「火星」に行きました。火星では地球人の代表として、大いそがしの毎日です。
「地球の社会はね、お年よりにも子どもにもしょうがい者にもやさしいのが一ばんなんだから、"バリアフリー"でおねがいね!」
 一方、二つの星を行き来するのけんきゅうが進んでいます。わたしは、「スペースプレーン」のてい案をしました。ジェットきとロケットが合体したようなスペースプレーンなら、だれでも宇宙にいけるということを、前に本で読んだことがあるからです。
「そうだね。UFOもいいけど、スペースプレーンもいいよね。さすがサツキ!」
 今日は七月二七日。オープンまであと一ヶ月。「ようこそ、火星へ!」のおうだんまくもできあがりました。仕事をおえたコータとわたしは、てんぼう台に上りました。
「ねえ、これがわたしがすんでいる地球? とってもきれいね。でもねコータ、こんな美しい星のあちこちで人々がにくしみあい、たたかいをしているのよ。信じられないわ。」
「地球も火星も、宇宙の中のかけがいのない一つの星なんだ。ここから地球を見ると、そのことがよくわかるだろう。地球人が火星に来たら、まっ先にこのきれいな地球のすがたを、自分たちの目でたしかめてほしいな。」
 広い広い宇宙の中の、とても小さな地球。そこにいるもっと小さな人間――。今、ここにある命を大切にしたい。あたたかい心をもって生きていきたい。みんなで地球を守りたい。青くて丸い地球を見ながら、それらを伝えるのがわたしのやく目だと思いました。
 夏の夜空にひときわかがやく赤い星。その火星に行った日には、火星人からのこんなメッセージが聞こえてくるはずです。
「ようこそ、火星グリーンランドへ! 宇宙の目から見た地球はいかがですか? 地球の自ぜん、人間、そして自分のこと、いろいろなことを見つめていってください。」


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