「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

14年度開催結果


2002年 作文の部<中学生部門>入賞作品
宇宙開発事業団理事長賞

「銀河中央駅の宝物」
八戸市立市川中学校2年  木村 明日美
 
多くの宇宙人が騒がしく銀河鉄道から降りた。ここは銀河中央駅。駅といっても木星くらいの大きさだ。たくさんの宇宙人が行き交う中、一人つまらなそうに歩く少年がいた。
彼の名は、泉丈斗という。彼は地球人で十四歳だ。彼はどんな願いでも叶えるという宝を探しにきた。宝の話しは学校の帰り道に老人から聞いたものだ。
銀河中央駅に来る十日前、丈斗は急いで家へ帰ろうとしている所を老人に呼び止められ、話しを無理矢理聞かされた。
「銀河中央駅には、どんな願いでも叶える宝がある。わしは若い頃にそれをみつけた。」
「おじいさんはどんな願いを願ったの。」
「わしは願っておらんよ。なぜならそれ以上にすばらしい物を得たのだからな。」
老人はそう言うと沈みゆく太陽と共に消えた。
丈斗は信じなかった。話が嘘臭いこともあるが、丈斗は人間不信で人を信じられないのだ。宝がみつかったら人を信じようと決めていた。

丈斗は駅を歩く。特定の場所では宇宙服は必要ない。丈斗は宇宙人の少女に声をかけた。
「この駅にある宝って知ってるかい。」
「そんなの伝説にしかないよ。君、どこの人。」
「地球からきたんだ。」
「そんな遠い所からきたの。探すの手伝おうか。」
丈斗は少女に手伝いを頼んだ。
「私はアルミネ。ついでに十四歳だよ。」
丈斗は自分のことと宝のことを教えた。
「宝は中央駅の地下遺跡にあるの。行こう。」
ここから遺跡までは近いので歩いて行った。透明なカバンを持ったタコみたいな生物、人の姿の宇宙人、様々な宇宙人が歩いていたが遺跡に近付くにつれ人が少なくなっていった。
「宝の伝説が流行していた頃のこの辺はとてもにぎやかで人がいっぱいいたの。ここからは宇宙服を着て。」
特定の場所には酸素を作る機械があるが、人通りの少ない場所には機械はなく宇宙服が必要だった。酸素を作る機械は現在の最高技術で大変貴重であった。丈斗とアルミネはレインコートに似ている宇宙服を着た。
「地下遺跡に行くには機関車に乗らなくちゃいけないの。乗りましょう。」
二人は遺跡行きの機関車に乗るために無重力エレベーターに乗った。遺跡は地下百メートルにあり、エレベーターでは十メートルしか下がれないのだ。ついたのだがそこには誰もいなかった。乗客も、駅員さえも。
「おーい、誰かいないか。」
丈斗の問いかけに誰も答えなかった。二人は機関車の中に入った。すると機関車が急に動き始めた。スピードはとても速く、動くのは危険なので二人はてすりにしがみついた。
機関車が止まった。二人がでるとそこは様々な星、惑星の広がる場所だった。ここは地下遺跡。

「ねぇ、丈斗君。機関車の中に誰もいないの。もう、もどれないのかなぁ。」
「大丈夫、戻れるよ。絶対に戻してみせる。」
丈斗は心の底からそう思った。自分のプライドからでもあるが、それはまきこんでしまった彼女をどうしても返したいと思う気持ちもあった。それは以前の丈斗にはない、相手を思いやる気持ちだった。
「宝をみつけよう。そうすれば帰れる。」
「それでいいの? 丈斗君はわざわざ遠い地球からきたんだよ。」
「別にいいんだ。なくても君だけは帰す。君がここにきたのは僕のせいだ。」
「だったら、丈斗君がここにきたのは私のせいだよ。一緒に帰ろう。私と丈斗君で。」
「うん、そうだね。」
丈斗は笑って答えた。その時、丈斗とアルミネを包みこむように光があふれた。

光が消えるとそこは列車の中であった。丈斗はこの列車を知っていた。宇宙初の窒素を燃料にして動く列車であった。二人のすぐそこにガラスケースに入った宝石があった。
「これが伝説の宝なのかしら。」
その問いに答えたのはあの老人であった。
「違うぞ。これはただの宝じゃ。」
「おじいさんがここになんでいるんだ?」
「これは全部、わしが仕組んだことじゃ。丈斗、わしの孫に人を信じてもらいたくてな。でも、アルミネがでてきたのは予定外じゃ。」
「おじいさんが僕の祖父!?」
「そうじゃ。わしは銀河中央駅の駅長。丈斗、宝よりすばらしい物が手に入ったじゃろ。」
「はい。」
「わたしも。銀河中央駅にはとても素敵な宝があったのね。」
「そうだね。」

銀河中央駅には宝がある。どんな宝より素敵な宝。いくつもの星が広がる美しい銀河中央駅。出会いと別れのステーション。


もどる