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14年度開催結果


2002年 作文の部<中学生部門>入賞作品
文部科学大臣賞

「まもなく、地球行き『シャトル』発車いたします!!」
駿台甲府中学校1年  嶋田 修一郎
 
「すごい列だ!ずーっと並んでいるよ。」
ここは銀河中央駅。ぼくの住むM31のアンドロメダ銀河から、ぼく達家族はやってきた。
目的は、初めて『宇宙遺産』に指定された『地球』というちっちゃな星を見るためだ。
旅行前に、『地球』という星を宇宙地図で確認した。「なーんだ。こんなちっぽけな、小さな星だよ。」でも、ぼくらの星からも、みんながこぞって地球旅行に出かけているのは事実。「地球旅行は一時的なブームだろう。」なんて、思っていた。「すぐに、すたれるさ!」
ぼくの住む星から6時間。ここ、宇宙銀河中央駅で、地球行きの「グリーンシャトル」に乗り換える。長い列の一番後ろに並ぶ。
「やんなっちゃうな!」周りを見るとびっくり。頭が極端に大きな宇宙人。足が木みたいな宇宙人。大きな目が一つの宇宙人。頭から足の先まで真ん丸球形の宇宙人。ボールのように弾む宇宙人。「どの星からやってきたんだろう?」「宇宙全体から地球旅行に集まったんだね。」寝袋持参で順番を待つ、いろいろな宇宙人達が、みんな、地球行きシャトルの順番を待っている。もう待ちくたびれたんだろう、まだ赤ちゃんのぼくの弟が泣き始めた。
12時間後、やっとぼく達が乗船する時がきた。「もう、くたくただ。」座席に座る。シャトルは、ゆっくりと、銀河中央駅を発車する。「シュワー」シャトルは静かにどんどん加速、時間の空間を超える。待ちくたびれたこともあり、いつの間にか、ぼく達は眠っていた。
「わーっ!」
突然の緑の光にぼく達みんなが起こされた。
「緑いっぱいに輝いているよ。」「大気の層がやさしく青く包んでいるね。」「あれが海だね。やさしい光に包まれている。」「白く輝く氷が光り輝いているよ。」「これが地球なんだ。」今、シャトル全体が大きな歓声に包まれた。
ぼくのおじいちゃんも、おばあちゃんも、赤ちゃんの弟も、目を輝かせて目の前の地球を見つめている。とてもうれしそうだ。「旅の疲れ?」なんて全く消えてしまった。シャトルのお客さん、みんなが生き生きと輝いている。
「なんて、美しい星なんだ!」
シャトルは地球に到着。我先にと、みんながシャトル出口のドアに並ぶ。みんながワクワクしている。一時でも早く、この地球の大地に降り立ちたかった。まず、『地球ビジターセンター』に入った。ここに『宇宙遺産――地球』が歩んできた歴史が展示されていた。ぼくは、びっくりした。今からわずか百年前の20世紀末、この美しい地球は、破壊される寸前の状態であったんだ。
パネルで写した過去の地球には、地球破滅への道筋が、しっかりと刻まれていた。
毎年、広がる砂漠。森林伐採。汚れる大気。工場の煙突からはもくもくと黒い煙。気温の上昇。溶ける氷河。住む家を奪われたペンギン達。タンカーから海に広がる石油流出。油まみれの鳥。車の排気ガス。そして、戦争。
人と人とが憎み合う。憎しみはさらなる憎しみへと拡大。テロ。破壊。爆弾。ミサイル。化学兵器。細菌兵器。地雷。核兵器。
今の美しい地球からは全く想像できないような恐ろしい惨劇がパネルに展示されていた。
「何が地球を変えたんだ?」みんなの疑問。
答えは簡単だった。
次のパネル。大きな地震が起こった。すぐに世界中からたくさんの人が集合。ガレキに閉じ込められた人や動物を次々に救っている。地球の宇宙科学の進歩は、地球全体の様子を、リアルタイムで地球人に伝えた。さらに各国が協力して完成した宇宙ステーションからの地球映像。破滅への道を歩み始めていた地球を知った地球人。「このままでは、ダメだ。」
人間が宇宙に進出することは、地球人みんなの心に、大きな進化をもたらすこととなる。
今、この地球という星には、人と人とが憎み合う心なんて存在しない。動物も植物も人間もみんなが助けあって生きている。「地球を守りたい!」みんなの心が一つになった。
科学への夢と希望が、今にも壊れそうだった地球を、『永遠に緑輝く地球』へと変えた。
ぼく達宇宙人は、なぜ、こんな小さな星の『地球』が、宇宙最初の『宇宙遺産』に指定されたのかが、今、はっきりとわかった。
地球旅行の帰りのシャトル。乗船した見知らぬ宇宙人みんなが手に手を取り合っている。みんなの目が『希望』に向かって強く輝いている。それは、単に美しい地球を見たからではない。この地球の美しさは、地球人自らの力で破壊を止め、やさしい心と思いやりの気持ちによってみんなで再建、未来までずっと守り育てていくものであることを知ったからだ。
「地球人ができたことを、宇宙人のぼくらができないはずはない。」
シャトル全体を、地球で学んだやさしい心が包んでいる。この素晴らしい宇宙遺産――地球の心を、ぼく達は宇宙全体に伝えたい。
心の地球――最高の感動をありがとう。


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