「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

14年度開催結果


2002年 作文の部<小学生部門>入賞作品
独立行政法人 航空宇宙技術研究所理事長賞

「アルファ星への冒険」
広島市立井口小学校6年  石丸 智章
 
アルファ星の核にオゾンホールを埋めるオゾン鉱石がある事が発見されたのは今から数百年前だ。アルファ星は二酸化炭素が増え続けて生命は絶滅したらしい。大気中のオゾンが、かたまりになって核に入ったらしい。地球人類は長い時間をかけてアルファ星までの銀河鉄道を作った。しかし、アルファ星の核までの道はかなり狭く、そこでオゾン鉱石の採取作業ができるのは年齢十一歳から十二歳の子どもに限定されている。それを超えると細胞が宇宙の重圧に耐えられなくなる。それ以下だと採取コンピューターの扱いが難しくなる。アルファ星の核までの道はコンピューターを苦心しながら作りあげたが鉱石採取場は子ども三人くらいでいっぱいだ。そうまでしてたどり着いても、核には一生命一回限り限定三十分しかいられないので採取には何度も失敗している。だから十一歳になった子どもは三人グループで訓練し次々とアルファ星に送りこまれているのだ。ぼくと親友のタツヤ、オーストラリアのミリアもそのグループのひとつで今からアルファ星にむかう。

銀河中央駅は修学旅行らしき集団がいくつかホールに座って先生の話を聞いている。家族連れが宇宙アイスを食べながら歩いている。太陽系の各惑星行きの電車が止まっている。
「アルファ中央駅経由核行きの切符でいいよね。」
タツヤがシステムカードを券売機に差しこむと切符がニューッと出てきた。
「早く採取して帰って銀河デパートのバーゲンに行きたいわ。」
ミリアの言葉に、
「ぼくも銀河ワールドのサイエンスコースターに乗りたいよ。」
ぼくの言葉に、まじめなタツヤが
「ぼく達には大切な任務があるだろ。」
と言った。アルファ星まではいろんな人と一緒だった。病院に行く途中のお年寄やテレフォンで話すサラリーマンなどでにぎやかな電車だ。しかし、核行きの改札は急に静かで三人の間に緊張感が生まれた。空気も急に冷たく感じられた。核には子ども三人しか入れないのでひっそりしている。おばけ屋敷に入る気分で電車に乗りこんだ。
「二度と来れないんだからよく見とこうね。」
ミリアがなぜかひそひそ声で言う。シューッ。ゆっくり見物する暇もなく核までついてしまった。
「サイエンスコースターより早いや。」
ぼくはつぶやいた。

そこは虹色に輝いていた。奥の方に青く光る鉱石が見えた。
「オゾン鉱石だ!」
ぼくは思わず叫んでドキドキした。
「ラッキーだな。すぐ見えてるなんて。いつも奥深くあるらしいじゃないか。」
「さぁ、三十分以内で採取するわよ。」
ミリアが採取しようとした時、後ろから
「待った。」
と大きな声が響き、三人しかいないと思っていたぼく達は肝をつぶした。
「だれ、だれだ。」
タツヤが声をふるわせた。ヌーッと白ひげ仙人のような人が出てきた。
「私も今、オゾン鉱石をとりにきたんだ。」
老人の声は耳にビンビンきこえた。
「ここは子どもしか来れないんじゃあ……。」
ぼくの問いに老人は答えた。
「私は太陽系裏のスーア人だ。スーアも地球以上に破壊され困っている。どうかその鉱石をゆずってくれ。」
「先に来たのはぼく達です。三十分しかいられないので困ります。」
「私はスーアで最後の採取人だ。頼む。」
老人の言葉にしばらくぼく達は黙りこんだ。
「いいわ。私達は別のグループがこれるし、おじいさんにあげるわ。」
ミリアの言葉に誰も反論しなかった。老人は明るい顔をして言った。
「ほう、優しい子達だ。君達になら鉱石をあげられる。実は私はアルファ星に残ったオゾン番人だ。思いやりのある子だけにわけてあげている。」
「なんだ、そうだったんですか。」
ぼく達は胸をなでおろし鉱石をうけとった。
「しかしオゾン鉱石も残り少ない。地球人はオゾン鉱石を発見してからまた気をゆるめた。環境破壊のもとをたたないと地球は消滅するぞ。それから私のことは内緒でな。」
老人の言葉をぼく達は肝に銘じた。地球にはオゾン鉱石と一緒にこの言葉も持ち帰ろうと思った。

地球では宇宙庁の人がうれしそうに待っていた。ぼく達は声をそろえて言った。
「このオゾン鉱石を大事に使い、もう採取に行かなくていいように真剣に環境問題を考えましょう。」


もどる