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14年度開催結果


2002年 作文の部<小学生部門>入賞作品
文部科学大臣賞

「緑の森とSL『すばる号』」
札幌市立富丘小学校4年  菅原 紗也香
 
いつのまにか、いねむりをしていたらしい。
「いて座に突入したぞぉ。もうすぐ銀河中央駅だ。サーヤ、起きろ!」
担任のタカ先生の大声にビックリして目が覚めた。宇宙エクスプレス『SUBARU』のまわりは、虹色に輝いている。ゆらゆらゆれるオーロラのレースに、思わずうっとり。
私たち、火星小学校四年生の今年の見学旅行はスゴイんだ、『天の川本線・星座めぐりツアー』なんだから……。しかも、光より百倍も速く走る、あこがれの宇宙エクスプレス『SUBARU』に乗って行く。太陽系を飛び出して、広い銀河を旅するなんて、みんな生まれて初めてだから、もう大こうふんだ。 火星小学校は、開校百周年をむかえた。つまり、私のひいひいおじいさんが、地球から火星に移住して、百年たったということだ。おいわいのイベントがたくさんあって、今年満十歳になる四年生の私たちが『天の川本線・星座めぐりツアー』に行くことになった。ラッキー!!
「銀河中央駅って、きっとキラキラの宝石ばこをひっくり返したみたいに、きれいな色であふれているよね。」
「ちがうよ。スライムみたいに、ちょっとすきとおっていて、グニャグニャのイメージだよ。」
「エッ、オレンジ色のけむりの中に、金色の円ばんがうかんでるんじゃないのぉ?」
みんな、いろいろ想ぞうしているけれど、私は、銀河中央駅は三角形や星形のとがった立体が組み合わさっていて、色はやっぱり銀色で、白っぽく光っているんじゃないかと思う。駅長さんもどこかの星の人ではなくて、銀色のロボット。だって宇宙の最先端の技じゅつが集まってできているのが、銀河中央駅のはずだ。なんだかとてもわくわくする。

「ゴォー!」
真っ暗なトンネルに入ったと思ったら、次のしゅん間、あたり一面緑色におおわれて、宇宙エクスプレス『SUBARU』は停車した。さあ、銀河中央駅だ。
あーっ! 外のけしきに、私は息が止まりそうなぐらいおどろいた。あの、もこもこした緑色の物体は、いったい何?それに、数えきれないくらいの小さな手のようなものが、ひらひら、そよそよと動いている。ちょっときみが悪いなぁ。すると、先生がさけんだ。
「いやぁ、これは森じゃないか。地球の歴史について調べたとき、写真で見たことがあったけれど、まさか銀河のど真ん中で本物にお目にかかれるとは!」 感げきしたタカ先生は、大ハリキリで私たちに説明してくれた。小さなひらひらの手は“葉”、もこもこの物体は“木”、それが集まって“森”。私のひいひいおじいさんのふるさとの地球は、今でも『緑と水の星』とよばれているんだって……。ふぅん、そうなんだ。
「おれたち、大昔の地球にタイムスリップしちゃったんじゃないよなぁ。」
だれかが言ったけれど、私はそれも悪くないなと思った。

「さぁ、おりるぞぉ。」
先生に続いて駅におりた私は、うしろをふりむいてギクッとなった。宇宙エクスプレス『SUBARU』がない! そのかわり、黒い大きな石のかたまりのようなものがけむりをはきながら止まっていた。何か書いてある。『すばる号』? どうなっているのぉ?
「火星小学校のみなさん、銀河中央駅へようこそ! 私は駅長のモーリーです。」
やさしそうな笑顔の駅長さんが目の前にいた。私たちと同じ地球人みたいだ。私は思いきって聞いてみた。
「ここ、まさか地球じゃないですよね?」
「アハハ、緑の森にビックリしたんだね。ここは天の川本線の銀河中央駅にまちがいないよ。そう、銀河系宇宙の中心さ。この駅は百年前の地球の豊かな森を再現してるんだ。地球から火星にひっこしてきた人たちは、まず初めに大きな森をつくろうとした。でも火星ではむずかしかったから、宇宙ステーションの中につくることを考えたのさ。それにふしぎなのは、宇宙エクスプレス『SUBARU』も、この駅ではSL『すばる号』に変身するんだよ。昔の地球の乗り物だ。カッコイイだろう?」
私は深呼吸をした。森の香りって、なかなかいいな。ホッとする。あれっ、何の声?
「あの鳴き声はフクロウ、森の守り神だよ。地球では“知恵のシンボル”といわれる鳥さ。この駅には、いろいろな星からたくさんの人がやってくる。宇宙に住むみんなが仲よくできるように、知恵を働かせないとね……。」
モーリー駅長さんの話はステキだった。いつか火星を『緑と水の星』にしたい! はくちょう座にむかいながら、私は、そう考えた。


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