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14年度開催結果


2002年 作文の部<小学生部門>入賞作品
日本科学未来館館長賞

「ぼくの宇宙散策ツアー」
八戸市立八戸小学校6年  高橋 駿
 
プシュー。
「終点、終点、銀河中央駅、銀河中央駅です。」
電車から降りるとそこは、見たことのない世界だった。
ぼくは、この夏休みを利用して、宇宙散策ツアーに出かけた。はじめての一人旅、何かすごいことがおきそうな予感がする。想像していた未来都市とは、まったく違い荒れはてた土地で、宇宙人は忙しそうに通りすぎていった。
「うわ。なんだここ。」
「ひどいなぁ。」
電車から降りた人々は口々に言っていた。
「それでは自由行動です。午後五時に銀河中央駅となりのホテルに集合です。」
ツアー担当者が言った。
「このあたりでも見てみようかな。」
歩いていると考えこんでいる老宇宙人がいた。話を聞くと、
「いやあこの畑を耕すのに手が足りなくてね。」
と言っていた。ぼくが、
「じゃあぼくが手伝います。」
と言ったら喜んでくれた。
見渡す限りの畑を耕していると、中から何か白いものが見えた。
「うわっ。がい骨だ。」
「違うよ。人工衛星の部品だよ。」
ぼくは、この荒れた土地からは、何か気持ちの悪いものが出てきそうな、心細いせいか悪いことばかり考えていた。老宇宙人は、教えてくれた。
「文化が発達しても、自然に影響があるのは、いやなことじゃのお。」
「そうですね。」
宇宙でも地球と同じ問題をかかえているんだなぁと老宇宙人の話を聞きながら考えていた。ぼくが手伝えば宇宙の環境維持に一役買っていることになりそうだ。
「ところで、君は何をしにきたのかな。」
「観光です。」
「そうか。手伝ってくれて助かった。ありがとう。観るばかりが観光ではないと思うが、体験することは、とても勉強になるよ。」
時間になりぼくは、ホテルに帰り、老宇宙人のことを聞いた。その老宇宙人はなんと百三十三歳だった。
「ええ、すごい。そんなに長生きしてるの。」

翌日、またその畑に行ってみることにした。また老宇宙人を手伝いながら、話がしたかったからだ。
「昨日、来てくれた子だね。」
「はい。そうです。」
「また来てくれたのか。うれしいね。じゃあ昨日のお礼に、すごい体験をさせてあげよう。」
「えっ。なに。」
「会いたい人はいるかね。」
ぼくは少し考えた。
「はい。ぼくが生まれて半年後に病気で死んじゃったおじいちゃんに会ってみたいです。でも無理ですよね。」
「そうか。じゃあ、会ってみるか。」
「えっ。」

ピュオン。
変な音とともに、ぼくと老宇宙人はどこかへワープした。
「あれっここは。」
「んっ、ここか。ここは十五年前の君の家だ。さあ、おじいちゃんに会って来なさい。」
「えっ。どうするんですか。」
「いいから。いいから。」
ピュオン。
「えっ。」
後ろを振り向くと、老宇宙人はいなかった。
「よし。入ってみよう。」

いつものぼくの家のげんかんだ。茶の間におそるおそる入っていく。写真で見たことのある着物を着て座っている。おじいちゃんだ。お父さんよりも大きい。新聞をよんでいる。メガネの上側からチラッとぼくを見た。
ドキッドキドキドキドキ
「あ、あのぼく。」
ゆっくりと新聞をたたむおじいちゃん。
「よく来た。よく来た。これここに座って大好きなポテトチップスを食べなさい。」
何でぼくがポテトチップスが好きなの知っているのかなと思っていると、
「ほら、コーラも飲みなさい。えんりょしないで。学校はどうだ。勉強は好きか。」
「はい。社会が好きです。たくさん本を読んでいます。野球と剣道もがんばっています。」
「そうか。たのもしいな。」
おじいちゃんはにっこり笑っていた。
「こんなに立派になって。お父さんにそっくりだ。」
おじいちゃんのとなりにすわっていると、ゆったりとした気分と、少しきん張した気分が入りまじっていた。もっと話したいな。どうしてここにいるか説明したほうがいいのかなぁとモゾモゾしていると、「駿というなまえには、いろんな願いをこめてつけたから、後でよくお父さんに聞いておきなさい。」
と頭に手をおいてトントンとしてくれた。
うれしいな。元気が出てきたぞ。
「よし駿、握手をしよう。」
ギュー。
力強く、あったかい、大きな手だ。ぼくの尊敬するお父さんのお父さん。目を見ると、厳しいけれど、引きつけられる。おじいちゃんのように、立派な人になれたらいいな。

ピュオン。
また、あの老宇宙人の畑にもどっていた。老宇宙人はいなかった。夢だったのかな。でもおじいちゃんの大きな手の感しょくが、ぼくの手に残っている。そうだ。老宇宙人がもどるまで畑を耕して待っていよう。銀河中央駅から、発車三十分前の音楽がなった。会ってお礼がしたかった。そしてぼくがおじいちゃんに会ったことは夢ではなかったことを確認したかった。でも駅へ行かなければ。
来た時と同じ席に座り、外をながめた。無数の星がきらめく美しい夜空が広がっていた。


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