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14年度開催結果


2002年 作文の部<小学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙フォーラム理事長賞

「手紙」
いわき市立四倉小学校4年  小牧 泉希
 
どのくらい乗っていたでしょうか?
長い時間をかけて、ようやく駅のような建物がまどから見えました。ずーっと見わたすかぎりの暗やみの世界から、にぎやかな町へたどりつくようです。
そして、わたしは列車から一歩足をふみだしました。するとこのどこかで見たようなけしきに一しゅん目をうばわれました。なんということでしょう。これは、わたしが学校の宿題で書いた(うちゅう駅)の絵とまるっきり同じだったのです。ただ一つちがうとしたら、太陽が二つあるというくらいです。その太陽を見て
「やっぱり、ここは地球じゃないんだなぁ。」
と、わたしはため息をつきました。
駅名は、(銀河中央駅)となっていました。行きかう人もみな、人間のようなすがたをしています。まるで、地球のようです。とても長い間、列車に乗ってたどりついた所とは思えませんでした。ゆめでも見ているようなふしぎな気持ちになりました。
ドン。
「いたい。」
見知らぬ少年が、ぼーっとまわりをながめていたわたしにぶつかってきました。やはり、いたかったのでどうもゆめではないようです。
「あ、ごめんなさい。君は、地球人?」
少年はおどろいたように、わたしを上から下までながめました。わたしは、少しふきげんに、
「そうだけど……。」
「これは、どうもしつれい。ぼくは、地球人に会うのは、初めてなんだ。」
どう見ても地球人にしか見えないその少年は少しうれしそうにそう言いました。
「あなた、地球人じゃないの?」
「そうだよ。ぼくはこの星の住人。君は何しにきたの?」
わたしは、その時ようやく銀河鉄道に乗ったわけを思い出しました。
わたしは、ある日家の古いくらからとんでもなく古ぼけた小さな箱を見つけました。まるでうらしま太ろうがもらった玉手箱のようなその箱を、わたしはしんちょうにそっとそーっと中を開くと、そこにはこんなまき物が入っていたのです。
わたしのかわいいむすめ、今あなたは幸せですか。お前がいなくなってから、わたしもばあさんもずっとないてくらしています。でも、お前が幸せになるには、わたし達のそばからはなれることもしかたがなかったのかもしれません。このたよりが、お前にとどくことはないだろうけれど、わたし達はいつまでもお前を自分の子どもだと思っていますよ。
どうやら、これはおじいさんが月に帰っていったかぐやひめにあてた手紙らしいのです。わたしは思いました。うちゅうに行けるこの世の中、この手紙をかぐやひめにとどけてあげよう。不死の薬を飲んだかぐやひめは、月で今も幸せにくらしていることでしょう。

だから、この銀河鉄道に乗ったのです。でも、月にはだれ一人いませんでした。そのいきさつを少年に話すと、少年は、
「かぐやひめは月にはいないよ。だってぼくの母さんだもん。」
わたしは、びっくりしました。かぐやひめがこの星にいるなんて……。あぜんとしているわたしに少年は続けました。
「ぼく達が、君たち地球人と同じすがたをしているのは、みんな地球が好きだからなんだ。地球人はとてもよい人ばかりだから見習っているんだよ。」
なんだか少しくすぐったい気持ちになりました。とても、わたし達地球人がいい人だとは、思えません。地球の上では、必ずどこかであらそいが起き、今や地球の自然かんきょうは、人間の勝手なふるまいによって最悪のじょうたいです。わたしが、返す言葉にこまっていると、「もうすぐ千五百年に一度の地球行き列車がでてしまうよ。その手紙はぼくがわたしてあげるから。」
そう言って少年はまき物を受け取ってくれました。そのかわり、かれは小さなにじ色のふうとうと星形のペンダントをわたしに差し出しました。
「ありがとう。でもこれ……。」
「ぼくも、母さんにたのまれて地球へこの手紙をとどける所だったんだ。さあ、早く行って。」
少年は、いつまでも手をふっていました。

目が覚めると、わたしはベットの上にいました。まくらもとには少年が別れぎわにくれたあのペンダントと手紙がありました。その手紙にはたった一言、 「すばらしい星、地球をいつまでも守って。」
と書いてありました。そしてそれは、読んだと同時に消えてしまいました。わたしは、心の中で、
「まかせて、きっと守ってみせるから。」
と星空にちかいました。


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