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13年度開催結果


2001年 作文の部<中学生部門>入賞作品
宇宙開発事業団理事長賞

「地球はなくなるの?」
敦賀市立角鹿中学校2年  山本 梓
 
 宇宙。その広く未知なる世界に存在する地球。「地球はなくなるの?」弟の言葉が、私の心を変えました。
 新聞をよんでいるお父さん、台所で働くお母さん、せんぷうきにあたるおばあちゃん、ゲームをしている小学校一年生の弟、そして中二の私。この家族が、一生に一度、体験できるかできないかという、宇宙旅行に行くことになったのです。家の中は、もう大パニックです。やったー、と喜んでいる、私達子供の周りで、したくに追われる大人達。私の心は、想像と期待で大きくふくらんでいました。
 そして、ついに運命の日が来ました。たくさんの機械がついたロケットの中で、カウントダウンの声が響いて聞こえました。ものすごい音といっしょに、私達は空へ向かいました。雲を突きぬけて、あっという間に、広い闇に包まれました。そこには、いくつもの星の輝きがあり、見たこともない世界があったのです。こここそが宇宙だ、と思い声をあげました。
 「わぁ、すっごい。」
 弟は、初めて知る世界に感激し、窓にはりついていました。お父さんとお母さんは、カメラのシャッターを押し、私とおばあちゃんは、外を見つめていました。そこに、今回の目的地の月が見えました。太陽の光で美しく輝く姿は、どんな星にも負けないすばらしいものでした。
 外に出て、一面に広がる銀色の地面に立った私達は、ため息ばかりしていました。
 その時でした。弟の衝撃的な言葉を聞いてしまったのです。
 「お姉ちゃん、地球って黒いの?」
 「えっ?」
と、私は隠しきれない緊張の中、ゆっくりとふりかえりました。そこには、少し海の青さが交じった、黒い地球が本当にあったのです。私は涙が出そうになりながらも、その残こくな姿を、ただじっと見つめているだけでした。
 これは現実なのかと思い、ほっぺたをつねってみました。ほっぺたは当然のように痛く、胸の奥まで、その痛みが伝わりました。
 「全て人間のせいなんだよ。」
とお父さんは言いました。
 「人間が住みやすい環境を求めて、森林を伐採し、海や川を埋め立てたりしたんだ。だから、自然はどんどん減っていった。それから、人間の技術の進歩にも、係わっているんだよ。工場などの煙、メタンガス、ダイオキシンなどで、大気汚染っていうのが問題になっているんだ。地球の周りに、オゾン層っていう層が見えるか? あの層の破壊にもつながっているんだよ。オゾン層が破られると、地球の温暖化が進んでしまう。もっと、もっと、地球には問題があるってことを分かっておくんだ。」
 難しい説明だったけど、私には、このままじゃ地球が危ない、ということがすぐに分かりました。
 「じゃあ、地球はなくなるの?」
 わけもわからず、すなおな気持ちを発した弟に、誰一人、答えてあげられませんでした。
 今から大人になり、この世界を知っていく弟のことを思うと、自分の将来のことを思うと、宇宙のように私の心は闇に包まれてしまいました。ロケットにもどる足どりは重く、顔もあげられませんでした。
 どんどん地球が近くなり、すごく不安になりました。けれど、今の私に何ができるかということを考えてみました。まだ一人じゃ何もできない私達でも、できること。それは、一人一人が地球を助けることに対して、自覚を持つことだと思いました。ゴミのポイ捨てや水の節約など、小さなことでも、がんばろうと思いました。その小さなことを、たくさんの人がすれば、きっと大きなことにつながるんだと、心の中でつぶやきました。きっと弟の言葉にも、きっぱりと
「なくならないよ。」って言えると思います。
 そして、地球が月のように、きれいに美しく輝くだろうと、地球がもとのように、すんだ青色の星にもどるだろうと思いました。
 そんなことを考えながら外を見ていると、流れ星が目の前を通りました。その星は、とてもきれいに光っていました。


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