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13年度開催結果


2001年 作文の部<中学生部門>入賞作品
国立天文台長賞

「宇宙への家族旅行」
私立東大寺学園中学校3年  梅畑 豪紀
 
 まず、家族を紹介しよう。本人の僕は中学3年生、姉は高校2年生、それにやせてはいない父と母の4人だ。
 さて、昨今は宇宙に造られたショッピングセンターや保養所、宇宙空間研究センターなどがちまたに知られるようになってきた。宇宙マップも作られ、宇宙が一段と身近になってきている。宇宙旅行へ、チラシのほか宇宙CMが流されるようになってきた。我が家でも、旅行しようという話が持ち上がった。
 何といっても、この旅行に一番の乗り気は「行きたーい。」という姉。理由は、宇宙製の化粧品にあるようだ。何でも宇宙栽培の植物成分を加えた化粧品は、肌をきわめて滑らかにするとか。大きな評判になっている。なかなか手に入らないことから、宇宙ショッピングセンターへ是非足を運びたい、という。
 僕の希望は、宇宙空間研究センターを訪問することだ。宇宙空間には、音も匂いも場所によっては光もないと言われているが、実際にどうなのか。空気中に取り出すと香りが出る分子が、宇宙空間に漂っている可能性を確認したい。言うまでもなく、この鼻を宇宙空間に出して嗅ぐのではない。超高感度測定器を用いるのだ。
 父の目的は、宇宙保養所。髪の数など若い頃の面影がないほど大いに変化しているが、気持ちは逆にそのままのようだ。つい最近までは「リニアモーターカーに乗って旅をしたい」などと言っていたが、今はもっぱら地上から離れた宇宙。何でも今度は、母と共に地球を宇宙保養所から見たいそうだ。
 さて、宇宙旅行への注意書きによると、ロケットに乗り込む時、重量は超制限される。私物はほとんど持てないし、父親などは体重を減らしたらどうか、とまでほのめかされたほど。
 ともあれ、出発には支給された宇宙服を着込み、ロケットに乗り込んだ。僕のスリムな身体は宇宙服を着ると、残念であるが、父の体型と同じように見えてしまう。顔を覆っている強化プラスチックは透明であるけれど、宇宙服の中身は誰であるかは、もっぱら背の高さや歩き方で判断するしかない。
 地球上空で、宇宙ステーションに乗り移った。宇宙服を脱いで、ふわふわと予約の部屋に入った。まずは、お風呂といきたいところであるが、日本でのように、お湯をたっぷりとはとてもじゃないがいかない。宇宙では水は超貴重品である。
 宇宙マップで見ると、宇宙ショッピングセンター、宇宙保養所、宇宙空間研究センターは各々離れている。それぞれへは、宇宙船でおおよそ往復日のスケジュールである。
 早速、翌日は宇宙ショッピングセンターを訪問。明るい照明、光沢のある床、軽やかな音楽、陳列台には、例えば、宇宙携帯電話、宇宙サングラス、なぜかお守りなどが展示されている。一巡したのち、姉が目的とする売り場に向かった。地球と異なる点は、売り場には人がおらず、地球人に極めてよく似たロボットが応対しているところにある。もちろん、初期のロボット「アシモ」などから格段の進歩。スマートであり、声もよく、お客との対話もりゅうちょうにできる。姉は展示している化粧品の中から目的とする品物を出してもらい、思わずにっこり。八重歯がこぼれ出る。
 二日目は宇宙空間研究センターに出かけた。ここでの応対も、研究者風のやせ型ロボット。声はしぶい。事前に必要事項を連絡しておいたので、比較的スムーズに話は進んだ。センターかいわいの宇宙で測定したデータをみせてもらった。残念ながら匂いの分子は、キャッチできていない。ただし、「希望を捨てるな。今後、調査空間を広げる予定であるから可能性が残っている」と対応者は語る。
 最後の三日目は、宇宙保養所。ここの特徴は、例えば赤く輝くガスが花びらのように広がるバラ星雲とか、ドーナッツのようにぽっかり浮かぶリング星雲とか、渦を巻いているひまわり銀河、かなたにある地球の姿等、部屋中で感じられるようになっている。雄大かつきれいな星雲などに囲まれ、ゆったりとした音楽の中、パイン風宇宙ジュースなどを飲んでいる内に、疲れは癒されてしまう。
 疲れが癒されたところで、スケジュールは終了。宇宙ステーションに戻って、最後の宿泊となった。翌四日目はロケットに乗り換え、一路地球へ。家族の感想は次の通り。
 姉は、「満足だわ。念願の化粧品を持って帰れるなんて・・・。」
 母は、「身が軽やかで、宙に舞う気持ちという通り。この感じが続きますように。」
 父は、「月の黄色もよいが、地球の青色はその上を行く。青色であるが黄金の眺めだ。」
 僕は、「残念だ。宇宙には、良い香りを放つ分子が漂っているはず。再度チャレンジしたい。」


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