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13年度開催結果


2001年 作文の部<小学生部門>入賞作品
宇宙開発事業団理事長賞

「地球旅行」
上尾市立瓦葺小学校6年  芝崎 祐基
 
「ただいまー、旅行は地球にしようよ。」
「帰ってくるなり一体なんなのよ。今年は天王星へ行くってお父さんが言ってたわよ。」
「今日の授業で習ったんだ。ぼく達火星人の祖先は大昔地球に住んでて、この火星に移住したってね。絶対に地球へ連れてってよ。」

 西暦年。

 数々の有害ガスによりオゾン層が破かいされ、非常に強い紫外線及び気温の急上昇に身体が耐えられなくなった地球人は、はるか昔、火星へ移住し、現在火星人として栄えている。

 地球がずっと人間の住める星であったなら、自分は地球人として暮らしていたと思うと興味を持たずにはいられない。ぼくは両親を説得して、夏の旅行は地球へ行くことにした。

「さあ、もうすぐ、ワープをぬけて到着するぞ。」

ガッキーン、ズドン。

「着いたみたいよ。」

 ぼく達は宇宙船をおりる前に、宇宙服を着用した。太陽の紫外線を直接浴びたらガンになるし、昼間の気温はかなり高温で、熱中症になってしまうからだ。

 紫外線をはじき、きれいな空気を送り込み、体温調節を自動的にしてくれる宇宙服は、なくてはならない必じゅ品というわけ。

「ここが地球かあ。」
「こんな人気のない不気味なとこ来ちゃって大丈夫かしら・・・」
「格安ツアーだからな、何が起きるかわからないぞ、覚悟しろよ。」

 父さんと母さんは勝手なことを言ってるけど、ぼくにはなんとなく、妙になつかしい、安心感みたいなものがあった。

「イラッシャイマセ、オマチシテオリマシタ。ワタシガ、ガイドノロボット“エフ”デゴザイマス。ヨロシクオネガイイタシマス。」

 早速、エフの案内で観光に出た。
 人間は住むことが出来ないというのに、自然は力強く、木々がさっそうとしげっている。

そして、見たこともない動物達がたくさんいた。「サル、クマ、シカニタカデゴザイマス。」
「へぇー、こんなところでよく生きてられるねぇ。」
「ハイ。ヨルニナルト、モットタクサンノドウブツタチガ、イッキニカツドウシマスヨ。ツギハウミヘゴアンナイイタシマス。」
「あ、わたし海を見るの楽しみにしてたのよ。」

ゴー、ザザザァー、ザッブーン。
 大きな激しい波音はまるで生き物みたいだ。

「海ってなんか格好いいね。」
「神秘的だよな。」
「これが海?ロマンチックで素敵だわ。」

 ぼく達は、心にしっかり刻み込まれたこの海の光景を、一生忘れることはないだろう。
 夜になると、紫外線はないし、気温も下がるので、宇宙服を脱いで、地球の生の空気を肌で感じることが出来る。

「うわ、冷たい。」
「わたし達ぬれてるわよ。」
「ソレハ、アメデゴザイマス。」
「え、雨?大変だ!酸性雨だからおまえ達、早く宇宙服を着ろ。」
「シンパイイリマセン。コノチイキノアメハキレイデスカラ。」
「お父さん、お母さん、見て!あそこになんかいるみたいだよ。」
「うっ、信じられんが、あれは人間かも?」
「純地球人てこと?そんなバカな・・・」

 すったもんだともめたあげく、ぼく達家族の出した結論は、わずかな地球人の生き残りが夜行性となって生き続けていたのではないか、ということ。進化の過程が違うから、姿形や知能も違うけど、不思議と親しみを感じるのは、火星人と地球人の元が同じだからなのだろうか。

 どうして祖先は地球を破めつに追いつめてしまったのだろう。ぼく達子孫のことは考えてくれなかったのだろうか。そう思うとものすごいいかりが爆発した。そして、人は自分のことだけを考えてはいてはいけない。周りのことや未来のこと、あらゆる角度からみんなの事を考えなければいけないと、深く思った。

 ぼく達家族は、地球がいつの日か元通りの青く輝くきれいな星にもどることを願いながら、火星に帰ることにした。ちなみに、地球人を発見!ということはだれにも内緒。公表すればつかまえられて動物園のパンダのようになってしまうからね。

「もう朝ご飯出来たわよ。起きなさい。」
「う、ううーん。げっ、ぼく眠ってたんだ。しかし、リアルな夢だったなぁ。ねぇお母さん、夏休みの旅行はどこ行くの?」
「どこって、お決まりでしょ、九十九里よ。」
「またぁー、たまには違うとこ連れてってよ。」
「だーめ。あそこが安上がりなんだから。」
「ふん。(まあ、現実はこんなもんか)」

 あーあ。火星でも連れてけっつーの。けど、地球が夢で見たようになったら困るし、今年から海水のゴミ拾いをせっせとしてみよっと。


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