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13年度開催結果


2001年 作文の部<小学生部門>入賞作品
文部科学大臣賞

「宇宙家族旅行-やっと会えたよ、
 笑顔のじっちゃん。ありがとう」

玉穂町立三村小学校6年  嶋田 修一郎
 
「修一郎、おらは、まだまだ働けるぞ!」
「そうだよ、これからだよ、じっちゃん!」

 じっちゃんの優しい笑顔・・・ぼくはこれが見たかったんだ。

 地球の周りの宇宙空間。じっちゃんは、今、自分の力で動き、働いている。20世紀時代の衛星のごみ。それらを、一つ一つ手でつかんでは、宇宙ステーションのごみ回収ボックスに入れる。生きる希望を取り戻したじっちゃん。ぼくはうれしくて、涙が止まらなかった。

 じっちゃんを、脳出血が襲ったのは、今から二年前。たくさんの手術を乗り越え、やっと取り戻した命。しかし、じっちゃんの右半身と両足は動かない。左も、うでをやっと20センチ上げるしか動かせない。『障害一級』自分の力では、ベッドに座ることもできない。じっちゃんからすべての笑顔が消えていた。『宇宙清そうボランティア旅行募集』の広告。

 「重力の少ない宇宙空間なら働けるはずだ」
じっちゃんの目に強い意志。「家族みんなで、じっちゃんを応援するんだ」ぼく、母さん、父さん、ばっちゃん、ペットのちんちら、家族みんなで参加。不安や心配は消えていた。

 -12型ロケット出発ロビー。じっちゃんの車イスを引きながら、ぼくはびっくりした。
集まったのは手足の動かない人はもちろん、盲どう犬を連れた目の見えない人、耳の聞こえない人、点滴を付けたままの病気の人、あかちゃんもいた。どの家族も宇宙へ旅立つんだ。

 ロケットが発射。みるみるうちに地面が遠く離れて行く。目の前の大きな窓に種子島全体が見えたと思うと、すぐに九州全体が。そして、日本列島がどんどん小さくなる。空気の青い光の層から暗い宇宙空間へと進む。「清そうボランティアを始めます」家族でじっちゃんの着替えを手伝う。そして、みんなで手を取り合って宇宙空間へと飛び出して行く。

 今、目の前に、さんさんと緑の美しい光を放つ地球が輝く。たんたんとした真っ青の海がある。どこまでも透明な水がある。うすく青い空気の層が地球の回りをおおっている。

 「大気が地球全体を暖かくつつんでいるよ」

 「地球は、とってもやさしい星なんだね」

 このとき、ぼくは見た。寝たきりだったぼくのじっちゃんが、重たくて動かせなかった手足を使って、自分の力で泳いでいるんだ。じっちゃんだけではない。目の不自由な女の人も、ぴったりと横にいる盲どう犬から説明を受けている。見えない目を地球の方向に向け、うれしそうに大きくうなづいている。みんな病気なんてどこかに消えてしまったみたい。ここでは、みんなが生き生きと輝いている。

 西暦2020年、地球の温暖化はますます進み、もう連日40度をこえる、うだるような暑さが続いていた。世界中で異常気象が発生。南極の氷が溶け、海水面が上昇。東京では周囲に防波堤を建設し、波から街を守るという状況になった。こんなとき、二つの科学技術が地球を救った。『情報科学』と『宇宙科学』だ。

 情報技術は21世紀、人間だけではなく、動物や植物の世界へと広がって行った。動物の脳波や植物の幹を流れる水の音から、動物や植物の心を翻訳する『自動生物言語翻訳装置』

 「おれたちの木を切ってはだめだよ!」切ろうとすると、アマゾンの木々の声。「南極の氷河がなくなってきたぞ!」首に黄色いえりまきをつけた皇帝ペンギンがテレビで訴える。「川をきれいにして魚がいっぱいとれれば、ぼくたちの家族も増えるのに」日本カワウソがつぶやく。「渡り鳥すると真っ黒になる。もっと大気をきれいにしてくれよ」白鳥が抗議する。「ごみを捨てないで!砂浜に卵を産みたいの」と、大きなこうらを持った青海ガメの親子。

 緑いっぱいの地球に戻し、育てるために、人間だけでなく、すべての地球上の動物と植物の意見が取り入れられ、大きな意識改革が始まった。「地球を守りたい!」地球上に住む生物たち、みんなの心が一つになった。

 こうして、みんなが力を合わせ、守り育て、よみがえった地球が今、目の前に広がる。そして宇宙技術の開発が、すばらしい地球の姿を、みんなに自分の目で確認させた。20世紀は限られた人しか行けなかった宇宙。今では障害を背負ってしまった人も、みんなお客さん。「宇宙で最もすばらしい星。それは地球だ!」みんながかけがえのない地球を直接感じる。

 動かせる体全体で感じる地球。失ってしまっても残された感覚のすべてで感じる地球。そして、地球を守るために、今、自分が働いているという強い自信。ステキな笑顔。今日はここで最高の一日をみんなで過ごした。

 宇宙から、今日も目の前に緑いっぱいの地球が輝いている。みんなが暖かい太陽の光を体いっぱいにあび、とても幸せに感じている。こうして、地球に住むみんな一人一人の協力と努力が、この地球に永遠の輝きを与えた。

 「宇宙旅行に家族で参加。本当に良かったね」

 「最後まであきらめないという科学への夢と希望がある限り、未来はこれからも、ずっと続いていくんだね。ありがとう」


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