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12年度開催結果


2000年 作文の部<中学生部門>入賞作品
科学技術庁長官賞

「チューコン星今日のニュースです。」
旭川市立緑が丘中学校2年  森 明日樹
 
「こんばんは。今日のニュースの時間です。今日午後三時頃、我がチューコン星の上空を、宇宙探査機が通過しました。本日は予定を変更し、このニュース特集をお送り致します。

 解説に宇宙評論家トウテンさんをお招きしました。さて、トウテンさん、この探査機はどこから発射されたものなのでしょうか。」

「はい、それはですね、地球という星からのものとわかりました。この探査機はボイジャー二号といい、アメリカという国が発射しました。地球時間で一日に六〇万キロメートルの速さで、太陽系から遠ざかっており、地球暦一九七〇年代に木星、一九八六年天王星に接近し、各惑星の映像を地球に発信しています。このままいくと四万年後にアルファケンタウリのそばを通過する予定です。もちろん、ボイジャーは無人探査機です。」

「なるほど。それでは、その『地球』という星について、もっと詳しく教えて下さい。」

「はい。地球というのは我がチューコン星と同じ、銀河系に属し、ここから約一光年離れた太陽系の第三惑星です。ボイジャーは地球時間で五百六十年程かけてここまで来たということになりますね。」

「その五百年余りの間にたくさんの映像を送り続けたのでしょうね。地球の宇宙進出はどこまで進んでいるのでしょうか。」

「我がチューコン星と比べると、かなり遅れていますね。衛星『月』に宇宙団地を建設し、火星とその衛星ダイモスに、研究と観光のための宇宙ステーションを作ったばかりです。我がチューコン星の存在さえ、まだ知りません。

 地球は大気と水に恵まれた星でして、大変多くの種類の生命体が存在しますが、中でも『人間』と呼ばれる生物が最も高い文明を持っています。」

「ははあ。『人間』というのは、どのような生物か興味がわいてきました。」

「ええ。こちらの映像をごらん下さい。このような生物です。ネズミ系ホ乳類が進化したものと思われます。地球には私達とよく似た系統で、『昆虫』と呼ばれている生物もいますが、残念ながら脳の進化が遅れたことと、体格が小さかったことから、地球の支配権を人間に奪われたようですね。ごらんの通り、我々のような頑丈な外骨格も、羽根もバネの効く足もありませんので、運動能力はかなり劣ります。例えば我々ですと、バッタ系は体長の数百倍の跳躍力がありますが、人間はその点ほとんど無能です。しかし、それを補うべく乗り物を初めとする機械の発明に心血を注いできました。そのために、環境破壊が進み、文明の発達と自然保護のバランスのとり方に苦しんでいる様子です。また、もう一つ困ったことに、種族間の争いに化学兵器を使うので、地球は常に滅亡の危機にさらされてきたのです。」

「はあ……高度なのか低俗なのかわからない生物ですね。我々に似た生命体があると聞き親しみがわいてきましたが……。」

「実は、我星の宇宙生物愛護事業団は、人間達の自然破壊によって生命の危機にさらされている仲間を見かねて、地球上の昆虫を救おうと何度か地球にプロジェクトチームを送り、一部の昆虫を保護しています。」

「あ、そうでしたか。その際に地球人とのコンタクトはあったのですか?」

「いえ、まだそこまではいっていません。しかし、その時我星の宇宙船を見たり、飛行跡を発見した人々がいて、UFOとか、ミステリーサークルとかと、地球では大ニュースになっていたようです。」

「地球人といつかコミュニケーションがとれる日はやってくるのでしょうか。」

「そうですね……。自然破壊、化学兵器ときくと、大変野蛮な生命体だと思うでしょうが、実は地球人は我々より優れた面もありまして、感性が発達しているんですね。それで、チューコン星には存在しない音楽とか絵画とか、『芸術』と呼ばれる文化が存在します。『愛情』という感情が行動の根幹を支えているという、特徴もあります。その特徴が、あやういながらも何とかバランスを保って地球環境をギリギリのところで守ってきました。欲で環境を破壊し、他の生物をいくつも絶滅させてしまった一方で、地球を守ろう、生物を保護しようと努力している人々もいます。宇宙進出が進めば、ますます地球人の視野も広がるはずです。全ての生命体に地球人特有の『愛情』をもって接することができるようになった時、我々は銀河系の仲間として、手をとりあえるはずです。」

「その日が待ち遠しいですね。トウテンさん、ありがとうございました。今日のニュースをお伝えしました。それではまた明日!」


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