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12年度開催結果


2000年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(一財)宇宙フォーラム理事長賞

「宇宙のある地点で」
昭和薬科大学附属中学校2年  嘉手川 周子
 
  ゴー、その宇宙船はある星を目ざして、とんでいた。たくさんの宇宙飛行士をのせて。彼らはその星に生物がいるかどうかを調べにいくのだが、誰一人として宇宙生物の存在を信じてはいなかった。
「おい、あとどれくらいでつくんだ?」
「まだだいぶかかるぞ」
「はぁ……。宇宙人探しなんてロボットにやらせればいいのに。」
「そうよね。どうせ、いないんだからわざわざ行くことないのよ。」
「全くだ。何がやりたくて、こんなことするんだろう。」
「おい、そろそろ地球との交信の時間だぞ。」

 スイッチを入れた。地球からのありきたりな質問。
「地球はどう見えますか。」

 宇宙からのありきたりな答え方。
「青くて、きれいですね。」
「そうですか。では、宇宙人がもしいるとしたら、どんな…すが…た……。」

 話は途中で切れた。何が起こったのか?
「何だ?故障か?」

 その言葉を言い終わらないうちに、スピーカーからとつぜん音楽のようなものが流れだした。かと思うと、話し声が聞こえだした。
「……ちは、宇宙ニュースの時間です。このニュースは、一部地域を除く、宇宙で放送されているため、宇宙共通語で話しております。さて、今日のトップニュースは……。」

 みんな動きが止まっていた。
「ばかばかしい。なんだこれ、誰かのいたずらじゃないか。だいたい何だよ、宇宙共通語って。英語にしか聞こえないぞ。」

 しかし、それは間違っていた。
「えっ、君には英語に聞こえるのかい?僕にはフランス語に聞こえるのだが。」
「おれは日本語だと思うんだけど……。」

 それは彼らの母国語だった。
「うそだろう?宇宙共通語って誰にも分かるようになっているのか。」
「……このニュース、本物?」

 しんとなった。信じられない。
「録音、録音だっ、はやくっ。」

 カチッ。隊員たちは、スピーカーに耳をぴったりとくっつけて聞いた。 「……です。次は特集です。今週は太陽系週間なので今日、明日、あさってにわたって太陽系を特集します。今日は水星と金星、地球です。

 最初は水星。水星は太陽系の中で一番太陽に近く、そのため表面の温度は三五〇度です。大気と呼ばれるものはほとんどなく、そのため人々は熱を利用して養分をつくっています……」

 人々?水星に人がいるというのか?隊員たちは耳を疑った。信じられなくても、本当なのだった。放送は続く。
「次は金星。この星は大気のほとんどが二酸化炭素によってできているため、地表の温度が四七〇度です。最近の流行は、ほとんど金星が発信地なので、ここ二年連続で若者の住みたい星ナンバー1です。名前のとおり、きらびやかになりそうな星ですね。」

 さて次は、いよいよ地球の番だ。隊員たちの胸もドキドキしてきた。どんなことを言われるのだろう。
「今日最後の星は地球です。残念なことに、この星は太陽系の中で唯一宇宙ニュースが放送されていません。我々は長い間、地球との交流を深めようと何回も試みたのですが、交流できるどころか我々の存在さえも信じてくれないのです。彼らは、自分の星が何よりも大切で外に目をむけようとはしません。もっとも、子供たちは我々の存在を信じてくれているのですが、重要な大人が動いてくれないと意味がありません。地球には水、森といった美しい、自然と呼ばれるものがたくさんありました。しかし、彼らはそれさえもつぶそうとしています。一体、何がしたいのでしょうか。もっと自然を大切にし、外の世界、宇宙に目をむけるべきです。最近では地球でもその意識が高まり、また科学も進歩しているので、地球でもこの放送がながれる日も、そう遠くはないでしょう。そしてもしも、地球人がこの放送を聞いていたら、全地球人に伝えてほしいですね。これで特集を終わります。明日は火星と木星、土星をお送します。ここで明日の天気を……」

 だんだん放送は聞こえなくなった。誰も話さなかった。しかし、ふと、
「俺たちは……宇宙と地球の交流の代表になったんだ。」

 誰かが言った。みんなうなづいた。彼らが向かっていた目的の星にはそろそろ着きそうになっていた。


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