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11年度開催結果


1999年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)宇宙少年団理事長賞

「私の宇宙日記」
茨城大学教育学部付属中学校2年  別所 侑香
 
 私は、火星近くの人工の星に住んでいる中学二年生。三か月前、地球からここに越して来た。今、朝の八時。早く学校に行かなきゃ遅刻しちゃう。

「行って来まーす!」

とドアを開けて、学校まで三百メートル。ダッシュで行けば十秒で着く。今日も空は真っ青できれい。向こう側が透けて見えそうな位。でも、一時から二時までは雨ってニュースで言ってた。地球に住んでた頃は、目の前の学校へ行くのにもたっぷり三十秒かかってたし、私達の都合なんかにかまわず雨は降ってた。

「おはよう。」

 どうやら遅刻は免れたみたい。となりの席のアモイ君は金星人だ。水星人もいれば、中国人もいる。この星は異文化共存圏なのだ。

 一時間目は国語。宇宙共通語を習う。今日は、コンピューターでワークをやる。普段の日常会話は、通訳機があるから、母国語とか母星語で済むんだけど。来年、さそり座アンタレスに修学旅行に行くから、その時までには何とか覚えたい。

「ガシタワ イセクガウヨシ ノ ロコ…」

 私が小学生の頃…。ガシタワが私が、イセクガウヨシが小学生、ノはそのままでロコが頃。日本語と同じ順番だから覚えやすい。画面に表示。一時間目、終わり。次は体育だ。体育だって、地球にいた時は、何よりも嫌いだった。でも、ここは、地球の三分の一の重力だから、地球の三倍は高く跳べる。ソフトボールをやれば、ホームランが続出。みんなと比べたらまだ下手だけれど、今では体育大好き人間になっている。今日は幅跳び。ピョーンと跳べば……十メートル。地球ならば世界新記録。初めてここに来た時は、体が軽くて、何だか変な感じがしたけれど、今となってはもう慣れっこで、地球では絶対出来ない事も朝飯前になった。

 三・四時間目は、数学・理科・社会。まずは数学から。今、海王星と冥王星はどれだけ離れているかを計算する。凄くややこしい。周期まで考えなきゃいけない。やっと解けた。解けてしまえば天国で、次の理科は宇宙船から星空を眺めて天体の勉強。オリオン座がきれい。先生の話を聞きながら星を見ていると、天然の星 地球が少し懐かしくなった。気をとり直して社会は木星の地理。ガス惑星だから、宇宙船から見るだけだけど。昔、カッシーニが発見した「大赤斑」も見える。飲み込まれてしまいそうな位大きくて、何万メートル離れていても見えそう。驚いた所で、数学の答え合わせ。実際に測ってみる。秒速千万メートルで五百三十二・三五八七二秒だから、五百三十二万三千五百八十七・二キロメートルも離れてるんだ。ちょっと違う。

 帰りは、星を見ながら給食。水星産キュウリのサラダとパン、星くずゼリー。いつも、教室の中とか、校庭で食べるのとは違って、真昼だけど星が見えて、格別においしく感じる。

 学校に着いたら、昼休み。今日はみんなでバスケをしよう。ドリブルをすれば、凄いスピードでボールをつけるし、ロングシュートだって、パスだって、凄く遠くまで飛ぶ。相手のボールも、高くジャンプ出来るから、バンバンカットできる。それ、シュートだ。ボールはきれいな放物線を描いて、宙を舞った。

「バン」

と大きな音を立てて、バックボードにボールが当たった。次の瞬間……入った!「ナイスシュート」みんなから声がかかる。

 五時間目、美術。外に出て、花の写生。とにかく、きれいに花が咲き乱れている。ちょうちょやはちも飛んでいる。ここは、工場も煙や排水を出さない様な設備になっているし、車も、排気ガスを出さない車しか走っていないから、空気も水も済んでいる。描いていると、あっという間に時間が来る。もうちょっとで二時だ。早くしないと雨が降ってきちゃう。教室に戻ると、みんなはもう席に着いている。みんなで帰りのあいさつをして、あとは部活へ行っても、家に帰っても自由だ。私は家に帰ることにした。

 雨が降り出す前に家に着いた。地球のいとこからEメールが届いている。

「TO 侑香ちゃん

 今日は学校はどうだった? 私の方は、普段と変わらず、平凡な一日を過ごしました。そうそう、今日、地震があったんだよ。そっちは地震とかないんでしょ? どんな感じ? 私も住んでみたいな。夏休み、泊まりに行って、宇宙生活を体験してみたい。その時は、よろしくね。 From みゆき」


 宇宙で生活する事に憧れている私は今、このEメールの様な気持ちでいる。こんな宇宙生活が実現する日が待ち遠しい。


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