「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

11年度開催結果


1999年 作文の部<中学生部門>入賞作品
審査員特別長賞

「-君へ贈るクリスマスソング-」
旭川市立北門中学校1年  上西 雄三
 
 大きな窓の外は、どちらを向いても果てしない宇宙が広がり、点々と輝く星が美しい。

 僕は今、宇宙旅行にきて、宇宙ステーションの大展望室にいる。ここは空気圧も調節され、地球で生活するのと全く同じように歩くことも、食事をすることも可能だ。

 三日前に、超高速宇宙ロケットで地球を出発。宇宙に飛び出して見た地球という星の美しさに驚きの声をあげた。僕達の住む青と緑の美しい星地球がすぐ目の前にあった。

 途中、月にたち寄り、宇宙服に着がえて、月面の散歩。歩くというより、デコボコの地面を、はねている感じ。家族や友達に、お土産品にと、小石を拾った。

 昨日は火星まで探検。火星は、今、第二の地球を目標に、開発の手が加えられている。火星は、地球に比べ百分の一の気圧、その九十五パーセントが、二酸化炭素なのだが、今試験的に、区域をしぼって、人間が、バイオテクノロジーで作り出した何種類もの植物を植えている。それは、水を必要とせず、二酸化炭素をとりこんで、酸素をはき出すという植物だ。遠い未来、火星も緑の星になるのだろうか。

 今日は、地球時間十二月二十三日。「地球では、みんなクリスマス準備かな。」と思いながら、窓の外を見ていると、急に丸く赤いピンポン玉くらいの球状のものが横切った。次の瞬間、部屋は真っ暗になった。その暗闇の中、僕の目の前を青白く光りながら、ひらひらと飛ぶものが見えた。

「虫?」と思って目をこらすと、どこからか

「ボクが、わかる?」

と、声が聞こえる。続いて、

「ボクは、直接、君の脳に話しかけてるんだ。今、君の目の前に見えるのがボクの姿。立体映像でみせているから実像ではないけれど。ボクらは、何千年も前から宇宙を旅し、いろいろな銀河で、生命体とコンタクトをとってきた。君達は知らないかもしれないが、いくつもの星の生命体が宇宙空間を自由に移動し友好関係を築いてきた。君達地球人は最近やっと自分の星から飛び立つことができたが、ボク達は、君達を宇宙の仲間として受け入れるかどうか迷っている。なぜなら、君達地球人は、自分の星を壊しているようにしか見えないからね。ボクは、直接地球人が何を考えているのか知りたくて、話しかけたのさ。」

 一方的に話すその言葉は機械音のようにアクセントが全くなかった。僕は、立体映像で見えるその羽のある小さな生命体を見つめた。こわいという感じは全くなく、僕は、その生命体の目を見て話しはじめた。

「地球は青と緑の美しい星だ。あの青く美しい水からたくさんの生命を生み出してきた。僕達人間も、その水から生まれた生命の一つ。君達が、何千年も前から地球の移り変わりを見て知っている通り、地球は、美しい水と太陽の光に守られ新たな生命を次々と生み出し進化し、長い年月をかけ現在のようになった。

 確かに僕たち人間の歴史の中では、自分のことしか考えない人間もいて戦争や自然破壊をまねいた。残念なことに、今僕達の地球は二酸化炭素の増加やオゾン層の破壊、酸性雨などの問題にさらされている。それも、まぎれもなく人間が作り出した問題だ。

 でも、僕達人間は愛するということを知っている。人や自然を愛し受け入れ、共に認め合い助け合うことの大切さを知り、未来の地球のために努力を続けている。

 君がこの広い宇宙のどの銀河に属する星に住み、どんな文明を持っているかはわからないけれど、自分の生きている星を愛する心は君と同じはずだ。

 僕達は花を見て心が優しくなったり、動物と触れ合うことで心がなごんだり、言葉をかわしたり歌を歌ったりすることで、心が温かくなる。それがどんなに心地よいことか知っている。僕達は、人間の知恵で美しい地球を守り未来へ引き継ぐ使命があるということを知っている。君達に、宇宙の仲間として認めてもらえるためには、まだ時間が必要かもしれないけどね。そして、聞いてみてよ。これが僕達地球人の大好きな音楽さ。」

 僕は、部屋に置いてあったピアノで、習いたてのクリスマスメドレーを弾いてみせた。

「地球では明日、こんな音楽を聞きながら、家族で平和や愛を確かめ合うんだよ。」

 それまで黙っていた彼が

「その音楽っていうのは、ボクの心にも、とても心地よいな。地球人の心の温かさを感じることができたよ。もっと聞きたかったな。」

 かすかに、それだけ聞きとれ、目の前の立体映像はスッと消えてしまった。

 気がつくと部屋は元どおり明るく、僕はピアノの前に座っていた。

「夢だったのかな。」

 明日は、地球に帰って、白い雪に囲まれた我が家で、いつもの年のように、家族でクリスマスケーキを作ろう。


もどる