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11年度開催結果


1999年 作文の部<中学生部門>入賞作品
宇宙開発事業団理事長賞

「太陽系宇宙団地一丁目、本日町内クリーンデー」
藤沢市立滝の沢中学校1年  藤崎 健太
 
  地球の生物が地球以外の宇宙空間に移住し始めてから数年がたった。最近は地球以外の星の生物も一緒に住むようになり、今や銀河系のあちこちに宇宙団地ができている。

 ぼくは地球の中学生。今は夏休み中で、ここ太陽系宇宙団地の一丁目にあるラベルさんの家にホームステイしている。ラベルさんはぼくと同じ地球人で、家は一丁目一番地のスペースコロニー(酸素・重力・自然環境などが地球と同じように設定された居住区)の中にある。住人はほとんどが地球出身だが、中にはここの美しさにほれ込んで住み着いた別の星の出身者もいるらしい。ラベルさんは元宇宙飛行士で、やはりここの美しさと、いろんな星の人たちとの同居が気に入り、おととし奥さんと二人で移住してきた。子供たちはすでに独立して、それぞれ月と火星と地球に住んでいるのだそうだ。

 さて、今日はこの町のクリーンデー。一丁目の住人たちで町内(宇宙空間)の掃除をする日だ。宇宙の掃除は危険なことが多いので、本当なら熟練した住人が行うのだが、頼み込んだらぼくも手伝わせてもらえることになった。コロニーを出て宇宙遊泳をするのは初めてではないが、宇宙空間で掃除をするなんてスゴイ経験になりそうだ。朝食の時、いつもなら冷たいミルクを飲むのに今日はホットミルクが出た。宇宙空間はものすごく寒いので、長時間出る時は体を冷やさない方がいいのだそうだ。トイレが近くなっちゃうのかなぁ?
宇宙服の中にはトイレがついているけれど、あふれちゃったら困るもんね。それにしても掃除に行くのがこんなに楽しみだなんて、生まれて初めてだ。

 朝食後、ラベルさんとぼくは足こぎ飛行機(地球より重力が小さいため人力でも楽に飛べる)でスペースエントリーセンターへと向かった。そこはコロニーと宇宙空間との出入口になっている所だ。センターへ着くとぼくたちは宇宙服に着替えた。宇宙服は、超低温と無酸素の宇宙空間の中で、地球人の命を守ってくれる大事な道具だ。最近は、ソーラー電池を織り込んだメタリックブルーの省エネ型のものがはやっている。ぼくのもそのタイプだ。さて、すべての準備が整い、いよいよ宇宙空間に出る時が来た。強化ガラスごしに見える宇宙空間では、すでにいろんな星の人たちが作業を行ってる。ラベルさんに続いて何重にもなっているエントリードアを抜け、ぼくは宇宙空間に飛び出した。

 太陽系宇宙団地一丁目で一番多いゴミ(スペースデブリ)は、ロケットや人工衛星の破片だ。二十世紀の末に地球から発進されたものが多く、大気圏突入時に燃えつきず飛び散ったものがよく飛んでくる。それらはものすごいスピード(弾丸より速いというウワサだ)で飛んでいて、小さなものでも大きな破壊力を持っている。この前は近くの宇宙ステーションの実験モジュールにあたって穴を開け、研究員の人たちが避難したらしい。ボーッとしていてそんなヤツにあたっては大変だから、宇宙空間ではいつも注意が必要だ。ぼくはラベルさんに教わりながら、まずスペースデブリを回収するための専用ネットを広げた。このネットはスパイダー星の大学生が発明したもので、磁気のある金属を混ぜ込んだ特殊なゴムでできている。飛んできたデブリがこのネットに引っかかったところ(高速のものはぶつかってスピードが落ちたところ)を回収する。とにかく丈夫で、大型なものならロケットだってキャッチできるというからスゴイ。そういえば実験中に、地球から飛んできたスペースシャトルをうっかりつかまえてしまったこともあるそうだ。ところでこのネット、けっこう取り扱いが難しい。何てったって開発したのが八本の手を持つスパイダー星人だから、地球人にはつらいのだ。ほとんど自動なのだが、細かい作業は手で行う。ぼくは自分の体にネットがからまって四苦八苦してしまった。一緒に作業をしたスパイダー星人はぼくを見て、さぞかし「地球人は不器用だ。」と思ったに違いない。ネットを広げて少しすると、次々といろんなものがかかってきた。次の作業はそれらを注意深く回収し、処理場に運ぶことだ。宇宙のゴミはもちろん分別して処理する。ラベルさんとぼくは、大型金属・ソーラーパネル耐熱タイル・強化ガラスなどの資源ゴミを担当することになった。ラベルさんの操縦する宇宙船にゴミを積み込んで、ぼくたちは処理場へ向かった。資源ゴミの処理場はラベルさんの息子が経営している『スペースデブリ・リサイクル・カンパニー』でぼくたちが行くと中を見学させてくれた。どんどん集まってくるゴミは次々とリサイクルされ、いろんな星へと運ばれていった。

 二十世紀の地球人がきずいたいろいろんな素晴らしい文化は、この時代になっても、また宇宙の別の場所へ来ても生きているんだな。勉強になった一日だった。


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