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11年度開催結果


1999年 作文の部<中学生部門>入賞作品
文部省宇宙科学研究所長賞

「私の宇宙日記・・・宇宙な音を求めて・・・」
奈良私立平城東中学校3年  梅畑 優貴子
 
〈二二〇〇年七月二十日〉

 音楽の好きな私は、いま、宇宙ステーションのホテルの一室。十日間の宿泊を予定している。

 部屋に聞こえてくるのは人工的な音。スペースシャトルの到着を告げる案内放送、発信予定を告げる放送等。これらの音の中でくつろげる唯一の音は、低音で流れるバックミュージック。

 地球では、自然に奏でるいろんな音が耳に入ってきた。家族の話す声、食事の準備の音、建物の外からは、近所の犬が吠える声、近くの林でさえずる鳥の声、廃品回収のアナウンス、遠くの高速道路を通る車の走行音、上空を通る飛行機の音等、実に様々。ステーションでは、建物の外からの音は聞こえてこない。地球とは違うという第一日目の感想。


〈二二〇〇年七月二十一日〉

 地球上でもそのままでは、聞くことのできない音もある。例えば、音を出さない生き物の代表のように思われていた樹木も、お医者さんの使う聴診器をあてれば、音を発していることが古い昔に見いだされている。

 また、植物からは電気的な信号が出されている。この信号を変換すると、これまでに聞いたことがないリズミカルな音に替わることも実験されている。環境が変化するとリズムが変わり、何らかのメッセージを送っているのかも知れない、と言われている。

 逆に、人間から微生物にメッセージを送ることも試みられている。日本酒を造る微生物は麹と酵母だが、この微生物が働いている時に音楽を流すと、おいしさが増すと言われる。言葉以外によるコミュニケーションの表現があると希望する由縁である。


〈二二〇〇年七月二十二日〉

 宇宙には音がなく、静寂の世界。けれども星や銀河が生まれたり、生まれた星や銀河がどんどん大きくなったり、長い長い時間が経過すると、星や銀河は爆発してその寿命を終えるという激しいドラマが展開されている。

 さまざまな星や星座がカラフルな写真で発表されているが、エネルギーに満ちる赤ちゃん星は、本当に静かなのだろうか。どんどん成長する若者の星は、そして寿命を全うするお年寄りの星は、どうなのだろうか。

 エネルギーは、音波とは異なる信号でキャッチすると音を発しているかもしれない。私は、宇宙の音を聞きたく、ここにいる。


〈二二〇〇年七月二十三日〉

 今日は、装置を点検。広範囲の信号を捉えるセンサー部、信号をフィルターに掛ける装置、フィルターに掛かった信号を増幅する装置、信号を人間の聞こえる音に変換する装置、変換後に実際に音を発する装置、これらのデータを保存する装置と、いろんな機能を持っているが、コンパクトな大きさに収まっている。点検の結果は、異常なし。


〈二二〇〇年七月二十四日〉

 最近では、ステーションの外で活動できる測定用ロボットが貸し出しできるようになっている。このロボットを借り、ステーション界隈で第一回目の音の収集実験を行なって見ることにした。幸いに順番待ちなく借りられると言うことで、手続きをおこなった。


〈二二〇〇年七月二十五日〉

 借りてきたロボットに装置の組み付けをおこなった。目玉の処にセンサーを取付け、発信機と受信機を調整した。センサーは両方の目玉に取付け、方向が特定できるようになっている。明日は、試運転を行なって見よう。


〈二二〇〇年七月二十六日〉

 今日はうれしい出来事があった。試運転の結果である。宇宙船の発着場の端から、ロボットを宇宙空間に泳がした。このロボットの移動は、宇宙ホテルのコントロールセンターから指示を行なう。順調に機能するようである。満足。


〈二二〇〇年七月二十七日〉

 ロボットを遊泳させ、センサーを太陽の方に向けた。モニターをみると、データ処理はスタンバイ。音変換装置のスイッチをオンにすると、たちまちダイナミックな音調……、どちらかといえば、ドラムの打撃音に近い……音が聞こえてくる。オリオン座の方向にセンサーを向けるように指示すると、ジャズ調の音が、散間星団にセンサーを向けるとある時はサンバ調、ある時はフラメンコ調に近いリズムが流れている。


〈二二〇〇年七月二十八日〉

 もっともっと宇宙の音を集め、地球にはない感触の宇宙メロディーを作ってみたい。どんどん移り変わっていく世の中に、ミステリアスで激しく、且つ元気のでるアルバム公開を楽しみにしている。


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