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10年度開催結果


1998年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

「Present of......“EARTH”」
飯田市立竜峡中学校3年  永見 祐樹
 
 現在はSC(スペースセンチュリー)〇一九八年。人類がスペースコロニーに移住し始めてから、二百年が経とうとしている。何故、人類が宇宙のコロニーに移住したか、それは度重なる森林伐採、オゾンホールの出現、拡大などの環境汚染により、地球そのものが危険な状態になったからだ。

 そこで世界各国の首脳が集まり、サミットが開かれ、今後の環境汚染に対する方針が話し合われた(旧暦一九九九年)。その結果、自然の力で少しずつ環境を浄化していこう、ということになり、地球の人口の1/3は宇宙に建造した大小様々なコロニーに移住することになった。その移住の第一回目が旧暦の二〇二五年、そうSC〇〇〇一年だ。それ以来続々と人類がコロニーへ移住し、今では約二十億人の人間が約二五〇のコロニーで生活している。もちろん、地球に残っている人間も少なくないが、大多数の人間がコロニーに移住した。

 今日はそんなコロニーのひとつ、日系人が多く生活しているJ-3コロニーに住んでいる“ユウ・ムラカミ”という少年が体験した不思議な出来事を話そうと思う。

 いつものように、ユウは友達のケンと一緒に学校の帰り道を歩いていた。

「なぁケン、僕達の遠い故郷の“地球”ってどんなところだろう。」

と、ユウがふと口を開いた。

「昔は緑がたくさんあって、宇宙から見たらとてもきれいだったんだって。」

 ユウやケンの通っている学校は「JEMスクール」。昔、日本は宇宙ステーションの実験モジュールを建造していた。その名前が「JEM」だったので、その名前にちなんで「JEMスクール」という名がついたのだった。地球でいえば中学校にあたる。

「ふーん、あ、今日さ宇宙歴史でアポロ13号の事についてやったじゃん。液体酸素タンクが爆発してさ」

「ああ、それで月着陸船を救命ボートにして奇跡的に地球に帰還したってやつでしょ。でも月には降りられなかったんだよね。」

 ケンは早口でまくしたてた。ケンとユウは宇宙歴史が大好きで、特にアメリカの宇宙ロケット「アポロ」が好きだった。初の月面着陸、命綱なしの宇宙遊泳など、様々な新しい試みを成功させた宇宙飛行士を乗せたアポロは宇宙飛行士とともにたたえられた。

 家に帰ったユウは、着がえて宇宙展望台へと向かった。いつもはケンと一緒に行くのだが、今日は久しぶりに一人で行った。着いたら早速二階の一番見晴らしの良い所に行った。目の前には遠い故郷の地球が見えた。青く見える部分は海だ。(僕もいつかは地球に行って……いや帰ってみたい)ユウは心の中でつぶやいた。そう思ったか思っていないかのうちに、ユウが見ていた方向からぐんぐん火の集合体のようなものが迫ってきた。そしてユウはそれに包みこまれた。

 かすかなゆれを感じて、ユウは目を覚ました。「ここは……?」ユウはまるい部屋のまん中に置いてあるベッドのような物に寝ていた。

 急いで体を起こして、辺りを見回すと、大きな円い窓がひとつある部屋だった。部屋の中を歩いていると、流れるような声が聞こえてきた。

「私はデュウ星人、君達の地球(ほし)をずっと調査してきた。今、地球は君達自身の自分勝手な行動で大切な故郷を死の星にしようとしている。それを自然の力で直そうなんて考えて、自分達の責任を自然に押しつけるなど無責任だ!」

 デュウ星人の“声”は、少し熱を帯びていた。

「じゃあ、僕にどうしろって……。いきなりこんな所につれてこられて、そんなこと言われても……」

とユウはとまどいながら言った。

「いきなり連れてきてすまなかった。しかし、急がなければならなかった。地球は自然の力じゃ元に戻せないのだ。誰かが手を借してやらねばならない。その事実を知ってもらうために君に来てもらった。君は心の中で地球を愛している。その心を他の人達にも伝えてほしいのだ。」

「じゃあ、僕がこのことをみんなに伝えれば、地球は死の星にならずにすむの?」

 ユウは半信半疑だった。でも、このことが色々な人に伝われば地球が元に戻れるというのなら……。

「君の努力次第だ。この暗い宇宙の中でひときわ美しい“地球”というオアシスを失ってはいけない。頼んだよ。」

 そうデュウ星人が言ったか言ってないかのうちに、ユウはまた光に包まれた。

 気が付いたユウは展望台の元の場所に立っていた。目の前には地球が青々と輝いていた。

 早速ユウは、ケンにそのことを伝えた。ケンもはじめは半信半疑だったものの、すぐ真剣な顔つきになって聞いてくれた。

「分かった。僕も協力するよ。」と言って、その二年後には、J-3コロニー全体が地球環境回復に向かって動き出した。そのことを広め始めたユウとケンはコロニー市民栄誉賞を受賞した。そしてJ-3コロニーは先ず植林から始めた。そして十年後には無くなっていた森林の50%が回復した。

 一人の人間から始まった環境回復……。その知恵を授けてくれたのは、デュウ星人だった。緑の地球は、デュウ星人からの大切な贈りものだったのかもしれない。


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