「一般財団法人日本宇宙フォーラム」トップページへもどる 「宇宙の日」ホームページへ戻る
「宇宙の日」ホームページ

 

9年度開催結果


1997年 作文の部<中学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙フォーラム理事長賞

「宇宙人の皆さん、こんにちは」 『春の虫同好会』のぼくです
旭川市立北門中学校・1年  上西 雄太
 
 ぼくは雄太。地球に生まれて十二年。日本という島国の北海道で暮らしています。普通の中学生です。
 ぼくの好きなことは、友達と一緒にするテレビゲームとサイクリングと虫採り。天気のよい日は水筒を持って自転車で出掛けます。今は、この集まりのことを「春の虫同好会」と呼んでいます。
 小学生の頃は家で、よく虫を飼っていました。スズ虫、かぶと虫、バッタ、あり、青虫と、いろいろ飼っていましたが、産卵期になると庭へ放します。
 ある時、弟が学校の勉強で青虫が必要になりました。昔はどこでもみられた青虫も、現在はけっこう探さなければなりません。ぼくは近くに一か所キャベツ畑があることを知っていたので、弟を連れて行きました。ちょうど畑のおじさんが働いていて、
「青虫を採ってもいいですか。」
と、聞きますと、
「明日には薬をまいてしまうから、ちょうどよかったね。」
と、言われて採らせてくれました。そこで、小さな青虫を十匹くらい家で飼って観察しました。
 数日後、成長した青虫が突然動かなくなり、背中の部分が黒くなってきました。翌日になると、その青虫から白い小さな虫が出た時はとても驚きました。先生に聞くと、それはコマユバチの幼虫で、卵を青虫に産みつけ、その幼虫は、青虫の体の中で養分を吸って成長し、食い破って外へ出てくるというのです。
 ハチは、種類も生態も非常にたくさんあるということです。ぼくは、その時昆虫全般の異常大繁殖を適当に制御している昆虫の大部分はハチ類だということを知りました。
 地球上の全ての生物は食物連鎖でつながっています。生物のバランスを、あの小さなハチがとっていることを考えると、ぼくは、とても不思議な気持ちになりました。
 しかし、本当に今、自然の流れの中で地球の生物達は正しく食物連鎖が行われているのだろうかと、思わずにはいられません。
 自然が豊かと言われる北海道に住んでいても、祖父の代では泳げた川が、父の代には泳げなくなり、ぼく達の代では、コンクリートで固められ、そばにも近づけません。ほたるを見るために昆虫館に出かけたり、店で虫が売られたりしています。以前、買ったかぶと虫は、スイカにもメロンにも目もくれず、売られてる昆虫ゼリーしか食べませんでした。
ぼくは、「これは養殖かぶと虫だ。」と、確信しました。
 現在、さけが上らなくなった川や、さぎが来なくなった青さぎの森があります。山の奥まで開発したため、熊が里に下りて来たり、北きつねが町のゴミをあさったり、ハチの大群が人を襲ったりします。人間の生活のために、自然が壊され、人以外の生物が迷惑しているのです。
 ぼくは虫がとても好きです。飼っていた虫には名前をつけたり、その虫が卵を産む時期に放してやる時には、いつも「元気でな。たくさん卵産めよ。」と、心で呼びかけていました。
 ぼくの夢の一つに、テレビで観た「幻のちょう」といわれるゴライアストリバネアゲハを実際に見たいという願望があります。標本でみたゴライアスは体身二十センチメートルの緑色で、インドネシアのセラム島にいるということです。しかし、環境が悪化し、絶滅の危機にあり、ぼくが大人になるまで、大きな羽を輝かせてセラム島で飛んでいるか、とても不安です。
 ぼくは、地球環境を守りたいと思います。今の地球では生物の食物連鎖を全てハチに任せておくのが良いとは思いません。他のどんな生物も、地球の仲間だと思う気持ちを人間がもたなければならないと思います。人間のためだけの地球ではないんだ、とみんなに気づいてほしいのです。そして、地球が人間だけのものでないのと同じように、宇宙も地球人だけのものではないはずです。宇宙の開発も、宇宙のどんな小さな一つ一つの星にも悪影響を与えないように進めていかなければならないと思います。そして将来、どこかの宇宙人に会った時、地球人は、汚しっぱなしだと怒られないように、自分達さえよければいいという宇宙開発はしてはいけないと思います。これまでの地球の歴史の中で、絶滅した生物、失った美しい自然の大切さを勉強したぼく達が大人になった時、地球を大事にしてあげたいと思います。そして、宇宙人の君に会った時、
「『春の虫同好会』のぼくです。ぼく達は、努力して地球を守ってきました。ですから、こんな美しい昆虫が飛び、いろいろな生物が生き生きしています。これから、宇宙の仲間として、どうかよろしくお願いします。」
 と、胸を張って言えるような生活を送りたいと思います。


もどる