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8年度開催結果


1996年 作文の部<小学生部門>入賞作品
(財)日本宇宙少年団理事長賞

「二〇一〇年の夢」
私立新島学園中学校2年  小山 修平
 
 「君の好きなものは何ですか?」と聞かれたら、ぼくは迷わず、「生き物を含めた自然と宇宙。」と、即座に答えるだろう。
 それほどぼくは、自然と宇宙に限りない興味と夢を感じる。星空を眺めている時は、いつも何もかも忘れて、ぼくの宇宙物語を自作してしまう。
 五月十日金曜日、「修平君、今日は空ばかり眺めているようだけど、どうかしたの?」と、突然担任の一倉先生の声に、ぼくの方がびっくりしてしまった。
 実は今日、南牧村にある天体望遠鏡を見に行くことになっているんだ。中学生になってから、部活や中間・期末試験などで結構忙しく、星をゆっくり見たいと思っても、なかなか都合がつかず、両親の都合と合わなかったり、天気が悪くて中止とかで、二ヶ月近くもチャンスの到来を待ちわびていたのだ。
 南牧村にある望遠鏡は、ぼくの望遠鏡とはけたはずれに違う。三十センチニュートン式望遠鏡で、パソコンを使って見たい星が簡単に入ってくれるので、本当にありがたい。
 父の車で、二時間と十五分、長野県佐久市に近い南牧村に着いた頃には、日はとっぷりと暮れ、見上げると満点の星空。ラッキー。ぼくは、まずパソコンを白鳥座の口ばしの所に輝く二重星アルビレオに設定した。
望遠鏡には、赤っぽい色の星と青色の星が飛び込んできて、この二つの星の神秘さと調和の美しさについ、我を忘れ見入ってしまった。乾ききったのどに、冷たい水を流し込んだような満足した気持ちで、いよいよぼくが行って見たい星、こと座のベガにパソコンを合わせる。なんとなく、マウスを握る手がワクワクして、すばやく動いてしまう。
 ベガは、夏の夜空で一番明るい星。七夕の織姫星として有名な星さ。実は、このベガの回りに、小惑星らしいものがあるって、赤外線観測衛星アイラスによって、最近確信されたんだ。そこには、地球と同じような条件の星、つまり生命が息づいている星があるのではないかと、話題になったんだ。もちろん、ぼくは、ぼくたちのこの地球より、もっと文明の進んだ生命体が住んでいる星があると思うんだ。それがベガロン星なんだ。
 このベガロン星は、全く地球と条件が酷似しているんだ。そして、偶然にも地球より百年時間が進んでいて、そこには、文明が栄えダーウィンの進化論を立証するがごとく、高等生物ベガロン星人が、この星を支配し、地球と同様、素晴らしい森、川、海、山という自然が、開発という名のもとに破壊され、数多くの貴重な生命体を、絶滅の危機におとしいれ、ベガロン星人そのものの存続すら危ぶまれていたんだ。
 ところが、ベガロン星人は、他の生命体との共存共生、自然との共存が、いかなるものより大切なんだということを悟り、文明、開発の道から、共存共生の道へと百八十度方向転換し、現在は、その星にいる生命体一つ一つが大切にされ、その事によって、数多くの生物がよみがえり、これまでに気づかなかった幸せを倍加させているんだ。
 ぼくは、ベガロン星人の暮らしぶりや、方向転換への鍵などを、ベガ宇宙国際大学教授ベガラン博士に教えてもらう約束をしたんだ。二〇一〇年、ぼくが二十七才の時だ。ぼくのふるさと「地球」を、いつまでも水と緑の星として宇宙に残していきたいからなんだ。
 今日の五時間目、国語の授業で、辰濃和男さんの「緑の長城はできるか」という論説文を勉強した。この緑の長城計画とは、中国の東北、華北、西北の七千キロに及ぶ砂漠や荒地を、緑の草原、農地に変えて、砂漠の拡大を抑えこもうという仕事だ。著者辰濃さんも、乾ききった山肌を見て、そんなことは、夢また夢と思えてきたそうです。
 しかし、中国科学院砂漠研究所の副所長邸さんが、砂漠に黄河の水を引いて、積もった土が一年に一センチ。“一年に一センチずつ”の小さな営みだけれど、緑の長城を築くため、五十年、百年後の夢を追っている姿にぼくは感動した。ぼくも将来、邸さんと一緒に地球の緑化活動に取り組み、宇宙から緑のライン、そうだ!「緑の長城」を見るんだ。
 二〇一〇年、インターネット宇宙局は、「日本で十人目の宇宙飛行士、小山修平が人類の夢だった、宇宙人ベガラン博士と会談。地球にも友人星が現れた」というニュースで、もちっきりだ。
 いよいよベガロン星からの帰路、スペースシャトル「ベガ一号」の小窓から地球を見ると、なんと緑の長城が。「わあー、やったぞ。緑のラインだ。あっ、アマゾン流域の熱帯雨林地帯にも、緑のジュータンが。」あまりのうれしさに、涙がこぼれそうになった。ぼくは、ぼくのふるさと「地球」にむかって、大きく大きく手を振った。


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